トランプ前米大統領の元側近、ジョージア州での選挙介入で有罪認める

Sidney Powell, attorney for President Donald Trump, concludes a news conference at the Republican National Committee on lawsuits regarding the outcome of the 2020 presidential election on Thursday, November 19, 2020.

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画像説明, シドニー・パウエル弁護士

アメリカのドナルド・トランプ前大統領の元側近で、2020年米大統領選のジョージア州での結果を覆そうとした前大統領を手助けしたとして起訴されたシドニー・パウエル弁護士が19日、6件の罪状について有罪を認めた。

パウエル氏は、他の被告らと共謀して選挙業務を意図的に妨害した罪に問われていたが、今回、検察との司法取引に合意。6年間の保護観察処分を受け入れ、今後の裁判で証言することになった。

ジョージア州フルトン郡の大陪審は今年8月、同州での大統領選の選挙結果を覆そうとしたとして、トランプ前大統領と関係者18人を起訴した。被告人の大半は無罪を主張している。

こうした中でパウエル氏が証言に同意したことは、検察側にとって大きな勝利となる。同氏は、ジョージア州での2020年大統領選の結果を覆そうとする試みで、中心的な役割を果たしたとされている。

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検察は、2021年1月にジョージア州コーヒー郡で選挙システムに不正アクセスしたトランプ氏関係者と支持者のグループの中に、パウエル氏がいたと指摘している。このグループは、選挙が何らかの形でトランプ前大統領に不利なように操作されていると、関係者や有権者を説得しようとしたとされる。

パウエル氏は特に、コーヒー郡に解析チームを送り込み、政府のコンピューターに不正アクセスして有権者のデータを調べさせたとして罪に問われていた。

検察によると、パウエル氏は投票機や電子投票用紙、有権者データに手を加え、投票所から投票用紙を持ち出させ、選挙作業員の仕事を止めさせようと共謀したという。

パウエル氏の裁判は20日に始まる予定だった。

司法取引では、自分の行動に関する口頭説明の録音や、罰金の支払い、ジョージア州民への謝罪文の提出なども求められた。

トランプ前大統領は、2020年の大統領選でジョー・バイデン氏に敗れたことを認めず、選挙が不正だったとする根拠のない主張を繰り返している。パウエル氏は、前大統領のこうした主張を最も声高に支持していた一人だった。

特に、米ドミニオン・ヴォーティング・システムズ製の投票機が、「トランプ大統領から一定の割合の票を奪い、バイデン大統領に回す」ためにハッキングすることができると、根拠なく主張していた。ドミニオンは現在、パウエル氏を名誉棄損で訴えている。

トランプ前大統領はジョージア州での刑事裁判で、脅迫や共謀など13件の罪に問われている。

トランプ前大統領に限定的な発言禁止命令

Donald Trump

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画像説明, ドナルド・トランプ前大統領

トランプ前大統領に対しては、首都ワシントンの連邦地裁の判事が16日、同地裁での裁判に関わる検察官や裁判所、証言予定者などへの批判を禁じる命令を出した。前大統領は、2020年米大統領選の結果を覆そうとしてアメリカ国民を欺いた罪などで連邦大陪審によって起訴されており、ワシントンの連邦地裁が審理を担当している。

トランプ前大統領は先に、この裁判で検察を「悪党集団」と呼んだほか、証言者の一人を「根性なしの豚」と攻撃していた。

タニヤ・チャトカン判事はトランプ氏に対する限定的な箝口(かんこう)令について、「公判前の中傷キャンペーン」を防ぐために必要だと説明した。

一方、トランプ氏の広報担当者は、この命令を「党派色の強いナイフ」だと批判した。前大統領は無罪を主張している。

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捜査を主導していたジャック・スミス特別検察官は、トランプ前大統領の発言が検察官や陪審員、裁判所職員を含む裁判の参加者に「偏見を与える」可能性があるとして、箝口令を要求していた。また、証言予定者への攻撃がこの裁判に「恐ろしい」影響を与えるかもしれないと指摘していた。

トランプ氏は2024年の大統領選に出馬する意向を示しており、共和党候補の指名争いで現在、先頭を走っている。こうした状況でチャトカン判事は、司法手続きの保護と、立候補者の発言の自由の間で、高度なバランス保持が求められている。

今回の部分的な箝口令では、バイデン大統領や司法省、この裁判が行われるワシントンなどを批判することは禁止されていない。

一方で、スミス特別検察官やそのチーム、裁判所職員、証言予定者などに言及することは禁じられた。ただし、トランプ政権で副大統領を務め、2024年大統領選では党の指名を争うマイク・ペンス氏についてはこの限りではないという。

一方、前大統領の代理人を務めるジョン・ラウロ弁護士は、前大統領の「豊かな言葉遣い」は政治の「荒波」の一部だと擁護した。

また、前大統領は選挙運動の真っ最中であり、「抑圧に対して真実を語る権利がある」と主張した。

チャトカン判事はこれに対し、 「大統領選に立候補していると、脅しをかける権利があるのか」と反論した。

Judge Tanya Chutkan

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画像説明, タニヤ・チャトカン判事

トランプ前大統領はこれまでに4回、刑事事件で起訴されている。

前回の大統領選に絡んでは、連邦大陪審とジョージア州によって起訴されている。ワシントンでの裁判は来年3月4日、共和党の候補者選が行われるのと同日に開かれる予定。

3月25日には、ポルノ俳優への口止め料の支払いに絡むニューヨーク州での裁判に出廷する。同5月20日にはフロリダ州で、大統領退任後に私邸マール・ア・ラーゴで発見された機密文書の取り扱いに関する裁判の公判が予定されている。

前大統領はこれらすべての事件で無罪を主張している。