英首相、イランへの先制攻撃に不参加の決定を擁護 カタールに戦闘機を追加派遣へ

飛行する戦闘機を下から撮った写真。両翼の下についているライトが反射している

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画像説明, イギリス王立空軍の戦闘機「タイフーン)
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イギリスのキア・スターマー首相は5日、アメリカとイスラエルが2月28日に実施したイランへの最初の攻撃に参加しなかった自身の決定を擁護すると述べ、最善の方法は協議だと強調した。

英首相官邸での記者会見でスターマー氏は、イギリスには「私たちの価値観と原則を守る力がある。たとえそうしないよう求める圧力がかかってもだ」と述べた。

また、イギリスの長年の立場として、最善の道は「イランが核への野心を放棄すると交渉によって合意することだ」としたうえで、紛争を「緩和する」ための取り組みが必要だと述べた。

一方でスターマー氏は、王立空軍(RAF)の戦闘機「タイフーン」4機を新たにカタールに派遣すると発表。この紛争は「しばらくの間」続く可能性があると述べた。

イギリスは3月1日に、イランのミサイル基地に対する防衛的な攻撃に限り、アメリカによる英軍基地使用の要請を認めている。

トランプ氏はまた、最初の決定は「衝撃的」だったと述べ、米英関係は「以前のものではない」と語った。

これに対し、スターマー氏は5日の記者会見で、英米の特別な関係は損なわれていないと強調。「見てほしい。特別な関係は今まさに機能している」、「我々は通常通り、24時間体制で情報共有している。これが特別な関係だ」と述べた。

また、イギリスの人々が、「この事態に巻き込まれている家族や友人を非常に心配している」のを知っていると話し、「イギリス国民の生命を守るために、可能な限りのことを行う」とした。

一方で、イギリスが紛争への準備をしていなかったとの見方を否定。年初からアメリカや他の同盟国と共に、中東で軍備を増強していたとし、特にカタールと、東地中海の島国キプロスでそうしていたと述べた。

国防関係者によると、この数週間で400人のイギリス兵が追加派遣され、キプロスにある各英軍基地で防空活動を支援しているという。

紛争への準備に関する批判は、先週末にバーレーンとキプロスの英軍基地が攻撃を受けた際の政府の対応を受けて噴出した。

スターマー氏は、「多くの事前計画が行われ、数多くの事前展開が進められてきた」、「我々は国民の安全を確保できると確信している」と述べた。

国防筋によると、迅速に展開されるとされるタイフーン戦闘機に加え、対ドローン能力を備えた哨戒ヘリ「ワイルドキャット」2機も、6日にキプロスに到着するという。

英海軍の45型駆逐艦「ドラゴン」もキプロスに向かう予定。ジョン・ヒーリー国防相はBBCに対し、同艦が「今後、数週間以内」に到着すると述べた。

ドラゴンの派遣は、先週末にキプロスにある王立空軍(RAF)アクロティリ基地の滑走路がドローンの攻撃を受けたことへの対応。英国防省は、この攻撃の影響について「最小限の損傷」と説明している。

ヒーリー国防相はこの日、キプロスで同国のバシリス・パルマス国防相と会談した。首相報道官によると、両者は「共有する安全保障」を支えるため、イギリスがどのように防空体制を強化しているかを協議した。

会談後、ヒーリー氏はBBCの取材に対し、イギリスがアメリカとイスラエルによるイラン攻撃に加わる可能性を排除するかどうかについて回答を避けた。

「今、我々はイギリスが最も得意とすることを行っている。ここキプロスには、どの国よりも多くの戦闘機を展開している」と、ヒーリー氏は述べた。

一方で、「どんな戦争や紛争も、その性質は変化する」、「イランが何をするかについて、確実なことは分からない」と述べ、イギリス政府は国民と軍隊、同盟国を守るために行動を調整すると付け加えた。

アクロティリ基地を攻撃したドローンについては、最も有力な評価は「レバノンから発射された可能性が高い」というものだと述べた。

最大野党・保守党のケミ・ベイドノック党首は4日、BBCのラジオ番組「トゥデイ」に出演し、「時には、関与したくないからといって事態を長引かせるのではなく、早く終わらせようとすることが状況を緩和する最善の方法だ」と述べた。

「一度、我々の基地が攻撃を受けた以上、望むと望まざるとにかかわらず、我々はこの事態の当事者になったと思う」とも、ベイドノック氏は指摘した。

キプロスに35年住むイギリス人のロレイン氏(仮名)はBBCに対し、「自分の国からよりも他のヨーロッパ諸国からのほうが支援されていると感じる」と語った。

ロレイン氏は、キプロスへの攻撃後、すぐに支援に動いたギリシャとフランスを称賛。イギリス政府へのメッセージとして「もっと対応を強化してほしい」と述べた。

こうしたなか、イギリス政府はキプロスへの渡航情報を更新し、テロ攻撃の危険性は排除できないと警告した。

中東滞在のイギリス人の帰還第1便が出発

スターマー氏は、中東で足止めされていたイギリス人向けの政府チャーター便の第1便が、オマーンから出発したと述べた。

この帰還便は3日夕に出発する予定だったが、技術的な障害により離陸できずにいた。

スターマー氏は、すでに約4000人のイギリス人が中東から帰国したものの、依然として数千人が同地域に滞在したままだと述べた。中東に所在していると政府に登録しているイギリス人は14万人以上いるという。

5日にはさらに7便がアラブ首長国連邦(UAE)からイギリスに向かうほか、今後数日以内に追加便を手配する予定だと、スターマー氏は述べた。

スターマー氏は、ブリティッシュ・エアウェイズがオマーン便を毎日運航していると説明。政府は「空輸作戦の速度と規模を高める」ために関係者と協力し続けると述べた。

イランはアメリカとイスラエルの空爆に対抗し、カタール、バーレーン、ヨルダン、UAE、クウェート、オマーン、サウジアラビアを含む湾岸地域のアメリカ同盟国と、イスラエルに対して攻撃を行っている。