モディ首相、インド国民に在宅勤務や渡航控えを呼びかけ イランでの戦争続く中

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ギータ・パンデイ・デリー特派員
インドのナレンドラ・モディ首相は10日、中東で続く危機による世界的なエネルギー価格の急騰に対応するため、在宅勤務の再開、金の購入抑制、海外渡航の制限を行うよう、国民に呼びかけた。
モディ首相は南部ハイデラバードで行われた公開イベントで、一連の緊縮策によって、インドの燃料使用量が減り、外貨の節約につながると述べた。緊縮策は、新型コロナウイルスのパンデミック期を想起させるものだ。
インドは石油の90%を輸入に頼っており、米・イスラエルとイランの戦争開始以降、原油の輸入額は数十億ドル規模で急増している。石油貿易の要のホルムズ海峡は、2カ月半以上にわたって事実上封鎖されたままだ。
アナリストらはモディ氏の呼びかけについて、これまでで「最も大胆」だと評した。
モディ首相は、「愛国心とは、国境で命をささげる覚悟だけを意味しない。このような時代においては、日常生活で責任ある行動を取り、国家への義務を果たすことだ」と述べ、「現在の状況では、外貨の節約に最大限の重点を置かなくてはならない」と強調した。
モディ氏は、地下鉄などの公共交通機関を利用するよう国民に促し、燃料節約のために自動車の相乗りも提案した。また、農業従事者に対しては、肥料の使用量を半分に減らすよう求めた。
11日のインド市場には早くも、この発言の影響が表れた。インドの主要株価指数SENSEXは、経済の長期的な混乱への懸念が広がる中、取引開始直後に1000ポイント以上、下落した。アナリストらは、その理由の一つがこの発言だったとみている。
経済や産業への影響が徐々に
インドはこれまで、公営の燃料小売業者への圧力が高まる中でも、給油所でのガソリンとディーゼル価格の引き上げを回避してきた。しかし、長期化する紛争と石油供給の混乱が、経済全体に負担をかけ始めている。
その影響は複数の産業で表面化しており、ガラス製品やプラスチック製品、タイルを製造する工場では、何十万人もの雇用が危険にさらされている。また、肥料の供給減少が、農産物の収穫量低下や食料価格上昇への懸念を高めている。
だが、最も顕著な影響が出ているのは通貨ルピーで、ここ数週間で対ドルで過去最安値を更新。これが輸入コストを押し上げ、インフレへの圧力を強めている。
モディ氏の発言は、政府が近くエネルギー使用抑制の新政策を導入する可能性を示すものだと、複数のアナリストは指摘する。これには、石油製品の価格改定も視野に入っているという。
一方インドの野党指導者らは、モディ氏の発言は連邦政府の無計画ぶりを示すものだと批判した。
国民会議派のラフル・ガンディー党首は、政府が「国民に責任を押し付け」、自らは説明責任から逃れていると述べた。
ガンディー氏はソーシャルメディアで、「(モディ氏の提案は)説教ではない。失敗の証明だ」と批判した。
イランでの戦争とホルムズ海峡の封鎖は世界各地、とりわけアジアの経済に影響を及ぼしており、多くの国が燃料費の上昇に苦しんでいる。国際エネルギー機関(IEA)は、これを「歴史上最大の供給途絶」だと表現した。
戦争開始後の数日間で、消費者や経済への影響を抑えるため、いくつかの国が対策を導入した。
中国は当面の間、製油所に対して燃料の輸出停止を命じたが、それでも国内ではガソリン価格が高騰した。また、航空機燃料価格の上昇を受けて、一部の中国系航空会社は便数を削減した。
オーストラリアの一部の州では、運転を控えるよう促すため、公共交通機関を無料にしたり、運賃を半額に引き下げたりしている。
フィリピンは3月に国家非常事態を宣言。政府は運転手への補助金を提供したほか、フェリーの運航を減らし、公務員に対して週4日勤務を導入した。
スリランカも燃料配給制を導入したほか、一時的に週4日制に移行し、水曜日には学校や大学、その他の政府機関を閉鎖した。











