フィリピン上院で銃声、ICCから逮捕状の議員が立てこもる中

画像提供, Reuters
ジョエル・ギント、ヴァーマ・シモネット・リヴェラ、ジョナサン・ヘッド東南アジア特派員
フィリピン上院で13日、銃声が聞こえ、軍などが出動して建物を封鎖した。上院には当時、国際刑事裁判所(ICC)から逮捕状が出されている上院議員が、身柄拘束を逃れようと立てこもっていた。
銃声は数発響いた。当局は、誰が発砲したのか明らかにせず、死傷者はいないと説明した。
テレビ放送された映像では、迷彩服姿の警察の特殊部隊員らが13日夜、マニラの上院の建物に突入した。建物の周囲は、盾とヘルメットを装備した機動隊員らが包囲した。
立てもこもっていたのは、ロナルド・デラ・ロサ上院議員。同議員は発砲騒ぎの前、自らの拘束が差し迫っているとし、これを阻止するよう国民に呼びかけていた。
当局によると、同議員は無事で、警備スタッフと共にいるという。
同議員は、ロドリゴ・ドゥテルテ前大統領による「麻薬戦争」の最中に警察長官を務めた。その間に数十人を殺害したとして、ICCによって訴追されている。この麻薬戦争では、麻薬密売人とされる数千人が射殺された。
ドゥテルテ前大統領は、麻薬戦争における人道に対する犯罪の疑いでICCから訴追され、昨年3月にフィリピンの警察に逮捕された。その後、ICC本部があるオランダ・ハーグに移送され、拘束されている。
上院の外では、デラ・ロサ議員の拘束と、ドゥテルテ前大統領と共に裁判にかけられることを求める人々がデモを繰り広げた。
一方、同議員の弁護団は、身柄の引き渡しを阻止するよう最高裁に申し立てている。

画像提供, Reuters

画像提供, Reuters
銃声が聞こえて以降、上院の建物は封鎖されており、議員らは中にとどまっている。
政府は、デラ・ロサ議員の拘束を試みてはいないとし、誰が発砲したのかは捜査中だとした。
ジョンヴィック・レムラ内相は、フェルディナンド・マルコス・ジュニア大統領が、上院議員らの安全を確保するよう「厳命」したと説明。デラ・ロサ議員は「無事」で、警備スタッフと共にいるとした。
内相はまた、「私たちはデラ・ロサ上院議員を拘束するためにここに来たのではない」、「実際には、彼を守るためにここにいる。その点ははっきりさせたい。彼の家族にもそれは明確に伝えた」と話した。
内相によると、この発砲事件での逮捕者はいないという。

画像提供, Reuters
上院のアラン・ピーター・カエタノ議長は、「捜査に役立つ可能性のある動画」の提供を人々に呼びかけた。
上院は現在、ドゥテルテ前大統領の支持者らによって支配されている。前大統領の娘サラ氏はフィリンピン副大統領を務めている。
ドゥテルテ家とマルコス家は同盟関係にあったが、2年前に仲たがいし、激しい確執が生じている。
下院は11日、副大統領の弾劾手続きの開始を可決した。ただ、上院はこれを阻止する権限をもつ。

画像提供, Reuters
ドゥテルテ前大統領は、大統領在任中の2019年に、フィリピンがICC設立協定のローマ規程から脱退したことを理由に、ICCの手続きを認めない姿勢を示している。
しかし、ICCの予備審理部会の裁判官らは先月、容疑の犯罪は2011~2019年に発生しており、当時はフィリピンがまだICC加盟国だったとして、前大統領の主張を退けた。これにより、前大統領の裁判の道が開かれた。
(追加取材:サイモン・フレイザー、エラ・キプリング)










