トランプ氏、イラン次期指導者選びへの関与に意欲 中東各地で報復攻撃続くなかレバノンに戦火拡大の懸念も

画像提供, Reuters
イスラエルと共に対イラン軍事作戦を継続するアメリカのドナルド・トランプ大統領は5日、イランの次期最高指導者の選出に自分が「関与する」必要があると主張した。米ニュースサイト・アクシオスが報じた。一方、イスラエル軍参謀総長のエヤル・ザミール中将は、対イラン作戦を「次の段階へ移行中」だと明らかにし、レバノン深部にも攻撃を行っていると述べた。
アクシオスによると、トランプ大統領はインタビューの中で、先月28日の攻撃で殺害されたイランの最高指導者アリ・ハメネイ師(86)の息子が後継者に指名される可能性があるとの報道に言及した。
トランプ大統領は、「彼らは時間を無駄にしている。ハメネイの息子は取るに足らない存在だ。(次期最高指導者の)任命には私が関与しなければならない。ヴェネズエラのデルシー(ロドリゲス副大統領)の時と同じだ」と述べた。
さらに、「私はハメネイの息子は受け入れられない。イランに調和と平和をもたらす人物を我々は望んでいる」と話したという。
米軍は1月、ヴェネズエラに軍事攻撃を仕掛け、ニコラス・マドゥロ大統領夫妻を拘束し、米ニューヨークへ移送した。現在はロドリゲス副大統領が暫定大統領を務めている。
BBCはアクシオスの報道について、ホワイトハウスにコメントを求めている。
米中央軍司令部で5日に記者会見を開いたピート・ヘグセス米国防長官は、イランの次期最高指導者の選出に関する報道について記者から質問を受けた。
ヘグセス長官は、「進行中の作戦を踏まえると、(トランプ)大統領はイラン指導者の決定に多大な影響力を持っていると思う」との考えを示した。
そして、「我々の目標が拡大しているわけではない。我々は自分たちが何を達成しようとしているのかを明確に理解している」と述べた。
「イラン以上に戦いたいと思っている」とトランプ大統領
トランプ大統領はこの日、ホワイトハウスで記者団に対し、米軍はイスラエルと共に「予定よりはるかに早く」イランの標的を「完全に破壊」していると述べた。
そして、イラン政府が「47年間におよぶ恐怖」をもたらし、無実のイラン国民に害を与えてきたと主張した。
「我々の仲間は素晴らしい仕事をしている」とも、トランプ大統領は述べた。
また、アメリカはイランのドローンとミサイル能力を「刻々と」攻撃していると説明。「彼ら(イラン)には空軍も、防空システムもない。(イランの)航空機は全滅し、通信手段も失われている」とした。
トランプ大統領はさらに、イラン側が何らかの合意を求めて接触してきたとしたうえで、イランの対応は「少し遅かった」、「我々はいま、彼ら以上に戦いたいと思っている」と述べた。
アメリカとの協議をめぐっては、イランのアッバス・アラグチ外相が5日、米NBCのインタビューで、アメリカと「向き合うべき理由は見当たらない」と述べた。
「実際、アメリカとの交渉でいい経験をしたことがない。特にこの(トランプ)政権とは。昨年と今年に2度交渉したが、交渉の真っただ中に(アメリカが)我々を攻撃してきた」
アメリカの作戦状況は
ヘグセス米国防長官は米中央軍司令部での記者会見で、イランにおけるアメリカの作戦は「決定的に前進している」と述べた。
「イランは、我々がこれ(作戦)を維持できないことを望んでいる。しかし、それは本当に誤った計算だ」
そして、アメリカの「弾薬に不足はなく」、必要な限り作戦を継続できる状態だと、記者団に語った。「我々は戦い始めたばかりだ。断固として戦う」。
米中央軍のブラッド・クーパー司令官によると、米爆撃機部隊は過去72時間で、イラン国内の200近い目標を攻撃した。
また、米東部時間5日夜の時点で、計30隻超のイラン艦船を撃沈したという。
「ここ数時間では、第2次世界大戦時の空母とほぼ同じ大きさのドローン空母を攻撃した。この空母は炎上している」と、クーパー司令官は述べた。

画像提供, EPA
イラン国民の悲しみと希望
イランの首都テヘラン東部の住民はBBCペルシャ語に対し、爆発音と窓の揺れで目が覚めたと語った。
「爆発が起きるたびに、この国の人や物の一部が跡形もなく消え去っていくことが本当に悲しい」と、アミールという名の住民は述べた。
イラン中部イスファハン在住のミムさんによると、街にあった防衛産業がすべて、イスラエルとアメリカに攻撃されたという。
「戦争がもたらすのは破壊と死、そして国家の人的・物的資源の消滅だけだ」
北東部マシュハドで暮らすジャヴァドさんは、攻撃開始からの数日間は複数の爆発音が聞こえたが、その後は普段よりも静まり返っていると話した。
一方で、西部サナンダジは10回以上の爆撃を受けたものの、住民は未来への希望を失っていないと、ダヴードさんは述べた。
BBCペルシャ語は、BBCニュースのペルシャ語サービス。イラン当局によって遮断や日常的な妨害を受けているが、世界中で2400万人が利用している。利用者の大半はイラン国内にいる。

画像提供, EPA/Shutterstock
イランの報復続く、中東各地で攻撃が報告
バーレーン内務省は5日深夜、首都マナマのホテル1棟と集合住宅2棟がイランによる攻撃の標的となったと発表した。
「物的損害はあったものの、死者は出ていない」と、同省はソーシャルメディアに投稿した。
バーレーンでは今週初め、米海軍基地がイランのミサイル攻撃を受けた。
カタール国防省は6日早朝、中東最大の米軍基地であるアルウデイド空軍基地を標的としたドローン攻撃を阻止したと発表した。
カタール政府は先に、国内で携帯電話を通じてアラートを発令し、住民に窓の近くや開けた場所から離れるよう警告していた。
米国務省は5日夜に声明で、クウェートの首都にある米国大使館の業務を停止したと明らかにした。
アメリカ人職員に負傷者は出ていないが、在外アメリカ人の安全確保が最優先事項だと、同省は説明している。
「クウェートにいる米国民は、国外へ安全に退避できるのであれば、民間あるいはそのほかの利用可能な交通手段で出国すべきだ。退避できない米市民は現地での避難を継続すること」と、同省は付け加えた。
BBCがアメリカで提携するCBSはその後、アメリカが在クウェート米国大使館に対し避難命令を出したと報じた。
避難は6日にかけて、夜間に実施されたという。職員は情報の破棄と機密サーバーの消去を命じられたと、米当局者2人はCBSに語った。
これに先立ち、クウェート軍は、同国の防衛システムが領空を侵犯したミサイルを迎撃したと発表していた。
クウェート軍の報道官は、ソーシャルメディアに声明を投稿し、「迎撃作戦の結果、いくつかの破片が落下し、車両1台が損傷するという限定的な物的損害が生じたが、人的被害は確認されていない」と説明した。
作戦が「次の段階へ」、レバノン深部も攻撃とイスラエル
イスラエル軍参謀総長のザミール中将は5日、対イラン作戦を「次の段階へ移行中」だと明らかにし、イランの「体制と軍事能力をさらに解体する」ことになると強調した。
イスラエルとアメリカはイランを「戦略的に孤立」させ、「かつてないほどの」弱体化に追い込んでいると、ザミール中将は述べた。
2月28日に作戦を開始してからの6日間、イスラエルは「休むことなく」イランを攻撃し、「作戦は我々が計画したペースで進んでいる」という。
ザミール中将は声明で、「制空権を確立し、弾道ミサイル群を制圧した奇襲攻撃段階を完了し、我々はいま、作戦の次の段階へ移行している」と説明。
「次の段階では、(イランの)体制と軍事能力をさらに解体する。詳細は明かさないが、今後さらなるサプライズを用意している」とした。
ザミール中将はレバノン情勢についても言及し、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラが今回の戦闘に加わったのは「戦略的誤り」だと主張。イスラエルはレバノンとの「前線およびレバノン深部で攻撃を行っている」と述べた。
ヒズボラは長年、イランから支援を受けている。
仏大統領が戦争拡大阻止を呼びかけ、レバノン首都では爆発
フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、「戦争をレバノンにまで拡大しないよう」イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相に要請した。
また、レバノンへの地上部隊の派遣や「大規模作戦」の実施を控えるよう、イスラエルに求めた。
レバノン国内で活動するヒズボラに対しては、イスラエルに対する攻撃を停止し、武器を置き、「国外からの命令を受ける民兵組織ではないことを示す」よう求めている。
マクロン大統領によると、「レバノン当局は、ヒズボラが掌握している拠点を支配し、レバノン全域の安全に対して全責任を負うことを私に約束した」という。
「私は彼らを全面的に支援する。フランスはレバノン軍との協力を強化し、装甲輸送車両の提供に加え、作戦および後方支援を提供する」
マクロン大統領は、レバノンが「再び戦争に巻き込まれる」のを防ぐため、「あらゆる手段を講じなければならない」と付け加えた。
こうした中、レバノンの首都ベイルートでは複数の爆発が報告されている。イスラエル国防軍(IDF)はベイルート南郊の数十万人に対し、大規模な避難命令を出していた。
IDFは、「ベイルート南郊にあるヒズボラのテロインフラを標的とした、一連の空爆を開始した」とソーシャルメディアに投稿した。
IDFによると、ベイルート南郊への攻撃は、5日遅くから始まった。
ヒズボラ、国境付近のイスラエル住民に避難を警告
ヒズボラは6日早朝、レバノンとの国境から5キロメートル以内に暮らすイスラエルの住民に対し、避難するよう警告した
この警告は、メッセージアプリ「テレグラム」のヒズボラの公式チャンネルを通じて、ヘブライ語で発進されたと、ロイター通信は報じている。
ヒズボラは、「(イスラエル)軍による、レバノンの主権と安全な市民に対する侵略行為、民間インフラの破壊、現在行われている追放作戦を、黙って見過ごすわけにはいかない」とした。












