トランプ氏の対イラン戦争の権限制限、決議案を米上院が否決

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アメリカのイランに対する攻撃をめぐり、ドナルド・トランプ米大統領の戦争遂行能力を制限しようとする超党派の動きが米連邦議会でみられており、4日に上院で決議案の採決があった。決議案は反対多数で否決された。
決議案は、議会の承認のないイランでの米軍の行動を停止させる内容だった。
採決の結果、反対53、賛成47で否決された。トランプ政権を支える与党・共和党と、反対する野党・民主党の議員らが、ほぼ党の方針に沿って投票した。
党の立場を超えて行動したのは、反対票を投じた民主党のジョン・フェターマン上院議員(ペンシルヴェニア州)と、賛成票を入れた共和党のランド・ポール上院議員(ケンタッキー州)の2人にとどまった。
今回のイラン攻撃をめぐり、民主党はトランプ氏を、議会を軽視しており、戦争の理由も次々と変えていると批判している。
民主党のチャック・シューマー上院院内総務は、決議案への賛成票を投じる前に、「中東での終わりのない戦争に疲れ果てた米国民と共にあるのか、それとも、私たちをまたも戦争へと突き落とそうとしているドナルド・トランプやピート・ヘグセスと共にあるのか、それが問われている」と訴えた。
一方、共和党の穏健派のスーザン・コリンズ上院議員(メイン州)は、もし決議案が可決されれば、イランと米軍に誤ったメッセージを送ることになると主張。「今の状況では、兵士らへの揺るぎない支援を示すことが極めて重要だ。政府による議会との継続的な協議も同様に重要だ」と述べた。
共和党議員は大多数が決議案に反対したものの、今後数週間で戦争が拡大すれば、姿勢を転換するかもしれないと話す人もいる。
戦争の「出口」が不透明ななか、ピート・ヘグセス米国防長官は4日、戦争が8 週間続く可能性があるとした。これは、トランプ氏が先週末に述べた期間のほぼ 2 倍にあたる。
決議案は5日に下院で採決にかけられる。ただ、可決は厳しい情勢となっている。
米政府は戦争規定を順守と主張
アメリカでは、大統領は正式な宣戦布告なしに軍事行動を開始する広範な権限をもつ。ただし、敵対行為の開始から48時間以内に議会に通知しなくてはならない。
マルコ・ルビオ国務長官は、トランプ政権がその規定を順守していると主張している。
今回、議会の指導部には、最初の攻撃の開始前に通知があった。トランプ氏は2日、議会に書簡でも通知した。ただ同氏は、その必要性はなかったとしている。
トランプ氏は過去にも、議会の承認なしに軍事作戦を命じてきた。昨年6月のイラン核施設への攻撃や、今年1月のヴェネズエラのニコラス・マドゥロ大統領の拘束などだ。
米議会は1973年、当時のリチャード・ニクソン大統領のヴェトナム戦争遂行に関する権限を制限するため、戦争権限決議を可決した。
これにより、アメリカが戦争をするためには、大統領に軍事行動開始後48時間以内に議会に通知することを、議会には攻撃開始後60日以内に軍事力行使承認決議(AUMF)を可決することを義務付けた。
米政府は2001年以降、中東における軍事力行使を正当化するうえで、同年9月11日の同時多発攻撃の後に可決されたAUMFを根拠にしてきた。
このAUMFを廃止しようとする試みがこれまで何度かあったが、いずれも失敗に終わっている。
ルビオ国務長官は、「そもそも、戦争権限法を合憲と認めた大統領はいない。共和党の大統領も、民主党の大統領もだ」と述べた。














