英首相、クリスマス前に感染対策の規制強化しない しかし可能性は排除せず

イギリスで新型コロナウイルスのオミクロン変異株による感染が急増する中、ボリス・ジョンソン英首相は20日、クリスマスに向けて「慎重」に行動するよう国民に呼びかけた。クリスマス前の感染強化は発表していないものの、政府はその「可能性を残す」必要があると述べた。
2時間にわたる閣議後に記者団を前にしたジョンソン首相は、追加規制は発表しなかったが、政府は感染データを「毎時間」検証しており、「あらゆることを見ている」と話した。「今後の対応を決める前に、はっきりさせなくてはならないことがまだいくつかある」とも述べた。
追加規制をすべきかについて、賛成と反対の意見は拮抗していると首相は述べ、「公共の健康を守り、国民保健サービス(NHS)の医療機関を守るためには、残念ながらさらに対策をとる可能性を残しておかなくてはならない。行動するとなったら、ためらったりしない」と話した。
またクリスマス後に規制強化する可能性について聞かれると、首相は「何も排除しない」としながら、「現時点で全員に、慎重に行動するよう気を付けてほしい。つまり換気と、適切な場所でのマスク着用、手を洗うなどいつものこと。そしてオミクロン株がいかに感染しやすいか、忘れないでほしい」と呼びかけた。
さらに、「本当に大事なのは、全員がワクチンを受けて、追加接種を受けることだ」と強調した。
イギリスでは20日、新型コロナウイルスの感染者が新たに9万1743人確認された。パンデミック開始以来、1日の感染者として2番目に多い。
政府の科学顧問たちは、追加規制がまもなく必要になるとしている。多人数の集まりの規模を縮小し、感染リスクの高い場所を閉鎖するよう提言している。
イギリス政府に助言を与え、政府の新型ウイルス対策を策定している非常時科学諮問委員会(SAGE)は、現在の感染対策「プランB」から対策をさらに強化しなければ、1日の入院患者は3000人に達する恐れがあると警告している。リークされた議事録から明らかになった。
関係省庁の担当者らはすでに、最も厳しいものから緩やかなものまで、追加対策の計画を3種類策定していると、BBCの取材で分かった。
規制強化への反発
一方で与党・保守党内では追加規制に対する抵抗が強い。ナイトクラブなどでワクチン接種証明の提示を求める感染対策「プランB」については、下院採決で保守党議員100人近くが政府方針に造反した。欧州連合(EU)との交渉担当相だったフロスト卿は18日、政府の「強制的な」新型ウイルス対策に抗議して辞任した。


感染拡大に伴いイギリスでは、演劇など多くのイベントが休演になったり、多くの人が外食や旅行の予約をキャンセルしたりしている。これについてジョンソン首相は、市民のこうした行動変容が飲食業などに打撃を与えていると認めた上で、経済への影響は「常時、検証し続けている」と話した。
ロンドンのサディク・カーン市長は、飲食業や小売業、文化事業における雇用を守るために政府が「ただちに支援」するよう呼びかけ、「時間切れが迫っている」とツイートした。
NHS連盟のマシュー・テイラー代表は、行動制限をさらに強化することは「人の健康と健全な状態にとても悪影響を与える」ため、医療専門家は現在、追加規制を求めていないとしている。ただし、規制強化の議論はもはや「必要なのかどうかではなく、いつ必要なのか」の論点に移っているようだとも述べた。
「プランBと追加接種で足りないなら、政府が得ている助言とデータのモデリングに沿って、国益のために速やかに、そして予防的に対応してくれることを、医療関係者は想定している」とテイラー氏は述べた。
「プランB」と呼ばれるイングランドの現在の決まりでは、ナイトクラブや大規模イベントなどでは接種証明などの提示が必要となっているほか、多くの公共の場所でマスクの着用が求められている。さらに、可能な人は自宅で勤務するよう推奨されている。
国内の他の自治政府もこれに似た対策を実施している。スコットランド自治政府はこれに加え、クリスマス前に他の世帯の人と集まる際には最大3世帯に限定するよう求めている。ウェールズ自治政府は12月27日からナイトクラブに休業するよう命令している。
過去最多の接種数
イギリスでは18日、102万4833人が新型コロナウイルスのワクチンを受けた。同ワクチンの1日の接種数としては過去最多。3回目の接種を受けた人はこのうち、94万606人だった。
翌19日の接種数は91万9521回だったが、それでも過去4番目。これより多かったのは、今月16日と17日だった。
これで、イギリスでは対象人口の50.4%にあたる2900万人近くが追加接種を受けたことになる。2回の接種を済ませた人は81.8%、1回の人は89.5%に上る。
野党の批判
最大野党・労働党のウェス・ストリーティング影の保健相は、ジョンソン首相が「何も新しいことを言っていない、何の計画も用意していない」とBBCラジオで批判した。
ストリーティング氏は、ジョンソン首相が「与党の平議員を恐れるあまり、力を失い身動きがとれずにいる。誰だってクリスマスを目前にあえて国民に厳しいことを言いたくない」と話した。
野党・自由民主党のサー・エド・デイヴィー党首は、ジョンソン首相が「優柔不断」だと批判。市民が「喫緊に明確な方向性の提示と安心材料」を必要としている時に、首相は「事態をいっそう混乱させ混沌(こんとん)とさせている」と述べた。











