アメリカとイランの核協議が終了、「大きな進展」あったと仲介国オマーンの外相

画像提供, Foreign Ministry of Oman
ヒューゴ・バシェーガ中東特派員(エルサレム)
アメリカとイランの当局者は26日、スイス・ジュネーヴで、イランの核計画をめぐる間接協議を行った。仲介役を務めるオマーンのバドル・アルブサイディ外相は、「大きな進展」があったと協議後に明らかにした。しかし、両国間の戦争回避につながる合意に至るかは依然不透明だ。
オマーンのアルブサイディ外相によると、アメリカとイランは今回の協議結果を自国に持ち帰り話し合ったうえで、「近く」交渉を再開する予定。来週にはオーストリア・ウィーンで、実務者レベルの協議が行われるという。
イラン代表団を率いるアッバス・アラグチ外相は、「良い進展」があったと説明。一部の対立点では合意に至ったものの、依然として意見の相違があるものもあるとした。
アラグチ氏によると、次回の交渉は1週間以内に実施される見通し。
今後も協議が続く見通しが示されたことで、アメリカのドナルド・トランプ大統領がかねてから警告しているイランへの攻撃を実行する可能性は低くなるかもしれない。
トランプ氏は、中東において2003年の米主導のイラク侵攻以来最大規模となる軍備増強を命じている。これに対しイランは、アメリカから攻撃されれば武力で対抗すると誓っている。
アメリカとイスラエルは数十年にわたり、イランが秘密裏に核兵器の開発を試みていると非難してきた。イランは核兵器の保有を目指している事実はないとし、自国の核計画は平和目的だと主張している。ただ、イランは核兵器を保有していない国としては唯一、兵器級に近い濃縮度までウラン濃縮を行ったことのある国だ。
イラン国営メディアによると、イラン交渉団は、自国には原子力を平和利用する権利があると主張。イラン領内でのウラン濃縮の全面停止や、約400キログラムの濃縮ウランをイラン国外に移送することを求めるアメリカ側の要求を拒否したという。
一方で、イラン側は譲歩案も提示したとみられているが、その内容は公表されていない。報道によると、国際的な監視下で3~5年間のウラン濃縮停止期間を経て、イランに最小限のウラン濃縮を認める内容が含まれるとされる。
アラグチ氏はイラン国営テレビに対し、イラン交渉団は合意の見返りとして、イラン経済を苦しめている制裁措置の解除を求めたと語った。
イランの反体制派は、聖職者による統治を延命させることになるとして、いかなる制裁緩和にも反対している。
今回の間接協議は2部構成で行われ、午前の部は3時間、夕方の部はより短時間で終了した。協議の結果について、アメリカ側から即時の反応はなかった。
前回と同様に、アメリカ側の代表者はスティーヴ・ウィトコフ特使とトランプ大統領の娘婿ジャレッド・クシュナー氏が務めた。国際原子力機関(IAEA)のラファエル・グロッシ事務局長も協議に加わった。
トランプ大統領がどのような条件を受け入れ可能とみなすのかは、いまも分かっていない。イスラエルとイランの軍事衝突の最中に、アメリカがイランの核施設を空爆してから8カ月が経過したいま、なぜイランに対して軍事行動を取る必要があるのかについても、トランプ氏は十分に説明していない。
イランはすでに、自国の弾道ミサイル計画を制限し、中東地域の代理勢力への支援を停止することに関する議論を拒否している。イランの代理勢力には、パレスチナ・ガザ地区のイスラム組織ハマスや、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラ、イラクの民兵組織、イエメンの反政府武装組織フーシ派が含まれる。

画像提供, Reuters
アメリカはここ数週間、兵士数千人と、トランプ氏が「艦隊」だとする部隊を中東に派遣している。これには、空母2隻などの軍艦、戦闘機、空中給油機が含まれる。
トランプ氏がイランを空爆するかもしれないと初めて警告したのは、イランで先月、治安部隊が反政府デモを残忍に弾圧し、数千人を殺害したことがきっかけだった。しかしその後は、トランプ氏の関心はイランの核計画へ移っている。

画像提供, AFP
トランプ氏は24日に米連邦議会で行った一般教書演説で、イラン情勢に簡潔かつあいまいに言及したものの、イラン空爆の根拠について明確な説明はしなかった。
また、イランが「近く」、アメリカ本土に到達可能になるミサイルの開発を進めていると主張したが、詳細は示さなかった。昨年の空爆後にイランが核兵器計画を「一からやり直そう」としているとも非難し、「世界一のテロ支援国家に(中略)核兵器は持たせる」わけにはいかないと述べた。
一方、イランのアラグチ外相は、トランプ氏の一般教書演説の数時間前、自国は「いかなる状況下でも核兵器を開発することはない」とソーシャルメディアに投稿していた。

画像提供, Reuters
アメリカは昨年6月、イスラエルによるイラン空爆作戦に加わる形で、イラン国内の核関連施設3カ所を攻撃した。
トランプ氏は当時、核施設が「完全かつ徹底的に抹消された」と述べていた。この攻撃を受け、イランはウラン濃縮を停止したと主張しているが、IAEAの査察官が損傷した施設に立ち入ることは認めていない。
米メディアは匿名の政府関係者の話として、トランプ氏がイラン指導部に圧力をかけるため、イラン革命防衛隊(IRGC)あるいは核施設への初期攻撃を数日中に実施することを検討している可能性を報じている。
報道によると、交渉がうまくいかなければ、イラン最高指導者アリ・ハメネイ師の体制の打倒を目的とした作戦を命じる可能性もあるという。
米軍統合参謀本部のダン・ケイン議長は、イラン空爆はリスクを伴うもので、アメリカを長期的な紛争に引きずり込む可能性があると警告したとされる。しかしトランプ氏は、ケイン氏がイランに「容易に勝てる」とみていると主張している。
一方でイランは、いかなる攻撃にも、中東やイスラエルにある米軍の資産を攻撃して対抗すると警告している。
アメリカの中東の同盟国は、イランへの攻撃が紛争を拡大させるのではないかと懸念している。また、空軍力だけではイラン指導部を変えることはできないと、警鐘を鳴らしている。
こうした中、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、イランの弾道ミサイル開発を阻止し、代理勢力への支援を停止する内容を含まない合意には反対の姿勢を示している。
ネタニヤフ氏は長年、イランはイスラエルにとっての主要な脅威で、地域の不安定化の要因と位置づけてきた。
複数のアナリストは、ネタニヤフ氏がイラン政権打倒を目的とした作戦を推進している可能性があるとみている。
アメリカは世界第2位の核兵器保有国だ。イスラエルも核兵器を保有していると見られているが、同国はこれまで、肯定も否定もしていない。











