イラン、アメリカと「指針となる原則」で理解に達したと 核などめぐる協議

オマーン総領事館の門前から敷地内を写した写真。手前の門柱には金属の表札とドアベルが設置されている。門の向こうには公邸と国旗などを立てるポールが見える

画像提供, Reuters

画像説明, アメリカとイランの間接協議は、スイス・ジュネーヴのオマーン公館で行われた
この記事は約 9 分で読めます

ピーター・ボウズ北米特派員、クリス・グレアム記者

イランは17日、核計画をめぐるアメリカとの対立解消に向け、主要な「指針となる原則」についてアメリカとの理解に達したと述べた。

ジュネーヴでの間接協議後に発言したイランのアッバス・アラグチ外相は、なお取り組みが必要だと付け加えた。アメリカ側は「進展があった」と述べた。

交渉を仲介するオマーンのバドル・アル・ブサイディ外相は、交渉は「共通の目標の特定と、関連する技術的課題の特定に向けて、大いに前進した後、終了した」と述べた。

イランの核計画死者を出している反政府抗議への弾圧をめぐり、アメリカは繰り返し軍事的な脅威を示している。一方で、ドナルド・トランプ米大統領は先に、イランが合意締結を望んでいると思うと述べていた。

アメリカと欧州の同盟国は、イランが核兵器の開発に向かっていると疑っているが、イランはこれを一貫して否定し、平和目的での開発だと主張している。

ジュネーヴのオマーン総領事館で行われた会合を前にイランは、自国の核計画と、アメリカが科した経済制裁の解除の可能性に焦点を当てるものだと述べていた。一方、アメリカは、別の課題についても協議したい意向を示していた。

会合でどの範囲の問題が協議されたのか、直ちには明らかになっていない。アメリカの政府高官はBBCに対し、「進展はあったが、依然として議論すべき詳細は多い。イラン側は、いくつかの立場上の隔たりを埋めるための詳細な提案を、今後2週間以内に提示すると述べた」と語った。

白い壁や棚を背に、大理石のテーブルに花やたくさんの水のボトルやガラスコップなどが置かれている。テーブルに向かった3人は笑顔で話し合っている

画像提供, Reuters

画像説明, 関節協議に先立ち、オマーンのアル・ブサイディ外相(右)とアメリカのウィトコフ特使(中央)、クシュナー氏が会談した。写真はオマーン外務省提供(17日、ジュネーヴ)

アメリカのJ・D・ヴァンス副大統領は、FOXニュースのインタビューで協議について問われ、「うまくいった部分もある。(イランは)今後も会合を続けることで合意した。しかし一方で、(トランプ)大統領が示したいくつかのレッドライン(訳注:超えてはならない一線、の意味)について、イラン側がまだそれを認めて向き合おうとしていないことが、とてもはっきりしていた」と述べた。

一方、マルコ・ルビオ米国務長官は、イランと合意に達するのは「非常に難しい」との見解を示した。ハンガリーを訪問中のルビオ氏は、「外交的に合意へ到達する機会があると思う。しかし、過度に楽観視したくはない」と語った。

トランプ氏は今回の協議を「非常に重要」だと位置付けていた。先には、自身が協議に「間接的に」関与すると述べるとともに、イラク側には交渉に臨むだけの動機があると示唆していた。

トランプ氏は、大統領専用機内で同行記者団に、「合意しなければどうなるか、その展開をイランは望んでいないと思うと」話し、アメリカが昨年夏にイランの核施設を爆撃した際に、イランは自分たちが強硬姿勢を貫くとどうなるかを学んだのだと述べた。

トランプ氏は、「核能力を無効化するためにB2(戦略爆撃機)を投入する代わりに、合意を得ることもできたはずだ。しかし、我々はB2を出さなくてはならなかった」と、ステルス爆撃機による昨年の攻撃に言及し、「今回は、(イランには)もっと理にかなった対応をしてもらいたい」と述べた。

イラン最高指導者、トランプ氏の脅しに反応

イランの最高指導者アリ・ハメネイ師は17日、軍事行動をほのめかすトランプ氏の威嚇(いかく)に反応し、「空母よりも危険なのは、それを海の底に沈めることができる兵器だ」と述べた。

「彼はアメリカ軍が世界最強だと言う。しかし『世界最強の軍隊』は、時に立ち直れないほどの打撃を受けることもある」

ハメネイ師はまた、アメリカが交渉の結果をあらかじめ決めようとしていると非難し、それは「誤った愚かな行為だ」と述べた。

イランのアラグチ外相は17日、国際原子力監視機関(IAEA)のラファエル・グロッシ事務局長と会談。その後、自分は「公正で衡平な合意の実現」に向けてジュネーヴにいるとソーシャルメディアに投稿した。

また、「脅しを前にした屈服は、交渉の選択肢になっていない」と述べた。

両国の最初の間接協議は今月初めに、やはりオマーンで行われた。アラグチ氏は協議後、「良い滑り出し」だったとし、今後も協議を続けると述べていた。

アメリカの中東増派と配備

アメリカはここ数週間にわたり、中東地域で軍備を増強している。

BBCヴェリファイ(検証チーム)は、人工衛星画像を用いて、米海軍の空母「エイブラハム・リンカーン」が、イランにさらに近づいていることを確認した。

アメリカはまた、世界最大の軍艦とされる「ジェラルド・R・フォード」を中東に派遣したと報じられている。同艦は今後3週間以内に、中東に到着する可能性がある。

海上を3隻の軍艦が航行している。右側の空母は特に大きい

画像提供, Reuters

画像説明, 米軍は2月、アラビア海におけるエイブラハム・リンカーン空母打撃群の画像を公開した。左側を航行するのがアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦「フランク・E・ピーターセン・ジュニア」とルイス・アンド・クラーク級貨物弾薬補給艦「カール・ブラッシアー」、右側が空母「エイブラハム・リンカーン」

BBCヴェリファイはこれまでに、アメリカが中東に配備している艦船12隻を人工衛星画像から追跡してきた。

ニミッツ級原子力空母の「エイブラハム・リンカーン」は、アーレイ・バーク級駆逐艦3隻と空母打撃群を構成している。また、長距離ミサイル攻撃が可能な駆逐艦2隻と、沿岸戦闘専門の艦船3隻が、バーレーン海軍基地に配備されている。これに加え、東地中海のスーダ湾アメリカ軍基地の近くで駆逐艦2隻と、紅海でさらにもう1隻が確認されている。

アラビア海に停泊する米空母「エイブラハム・リンカーン」の人工衛星画像と、オマーン沖の同艦の位置を示した地図が横に並んでいる。地図にはイランとオマーンのほか、サウジアラビアとイエメンが示されている。出典は欧州「コペルニクス」計画の人工衛星「センチネル2」、2026年2月15日の画像

イランは、アメリカの軍事的増強に対し、自国の力を誇示して応じている。16日にはイラン革命防衛隊(IRGC)が、オマーンとイランの間に位置するホルムズ海峡で海上軍事演習を開始した。ホルムズ海峡は、世界で最も重要な海上輸送路の一つで、石油輸送の要衝とされている。

追加取材:ゴンチェ・ハビビアザド記者(BBCペルシャ語)