【解説】 アンドリュー元王子の逮捕、イギリス王室にどれくらいダメージを及ぼすのか

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ジョニー・ダイモンド王室担当編集委員
イギリスの王室と王族、そして君主制にとって、今回の事態は悪い影響しかもたらさない。
チャールズ国王の弟アンドリュー・マウントバッテン=ウィンザー元王子が19日、国王の私有地であるサンドリンガムの邸宅で逮捕され、連行され、写真と指紋をとられた。
この人は少し前まで、ウィンザー城の敷地内にある30室の豪邸「ロイヤル・ロッジ」で生活していた。
この人はわずか数カ月前、アンドリュー「王子」として、国への義務と自分の無実を宣言する声明を、王族の公務を管理するバッキンガム宮殿を通じて発表していた。
この人はその1カ月前には、ケント公爵夫人の葬儀に出席し、他の王族と共にウェストミンスター大聖堂の階段に立って写真に納まっていた。
そして、2011年に貿易特使の役割から退いた後に何年間も、この人物は自身の投資事業「Pitch@Palace」を引き立てるために、バッキンガム宮殿を利用していた。
チャールズ国王が置かれている今の状況を、うらやむ者はいないだろう。国王を支持する人たちは、国王がこれまですでに行ってきた対応、つまり自分の弟から称号と住まいを取り上げ、あらゆる捜査に協力すると約束してきたことを指し、国王がいかに素早く断固として行動してきたかを強調する。
国王の支持者たちはさらに、アンドリュー元王子の逮捕から数時間のうちに国王が発表した声明にも言及する。この声明は、国王と元王子がどういう血縁関係にあるか、まったく触れていなかった。
声明の中で国王は、「アンドリュー・マウントバッテン=ウィンザーと公務における不正行為の疑い」について「深く憂慮している」と書き、当局には「全面的かつ誠心誠意に、支持と協力を提供する」と述べた。
国王の支持者たちはこの声明を受けて、国王が家族をどれだけ大事にしているとしても、それを脇に置いたのだと主張する。
国王の伝記作家で友人でもあるジョナサン・ディンブルビー氏は、19日にBBCのラジオ番組「ワールド・アット・ワン」に出演し、王族と君主制の間に線を引いた。
BBCの著名記者で司会者だったディンブルビー氏は、今回の逮捕が「君主制を傷つけるとは思わない」と述べた。「家族の概念と君主制という制度を、分けて考える必要があると思う」。
「これは非常に重要なことだと思う。両者を結び付けてしまうのは、とても簡単だ」
今回の逮捕によって、王族と王室は一息つけるようになるという見方も一部にはある。アンドリュー元王子を「普通の容疑者の一人」として扱うことで、王室がすでに受けたダメージは軽減されるというのだ。
王室にとってひどいニュースの日に、これはわずかな慰めとなるかもしれない。だが楽観できるような状況には程遠い。
「王室」、つまり王族の指示の下で王族に仕える機構は、長年にわたり、王族の公務と私生活の間に線を引いてきた。

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アンドリュー元王子が公務から退くと同時に、王室も彼を代弁しなくなった。
しかし、この区別は王室にとって極めて重要だが、多くの人にはまったく意味がない。王室と王族と君主制は、一つのものに見えている。
アンドリュー元王子はここ数年、バッキンガム宮殿のバルコニーに姿を見せなかった。このバルコニーは、式典などの際に主要な王族が国民の前に姿を見せる、象徴的な場所だ。
元王子の父フィリップ殿下(故人)は、王室を「ファミリー・ビジネス」と呼んでいた。そして、元王子はそうしたものに60年以上も携わっていた。
なので、これが「私的な問題」だとか、あるいは私的な問題だったなどとする考えは、全く意味をなさない。アンドリュー・マウントバッテン=ウィンザー氏は元「アンドリュー王子」であり、依然としてイギリス王室の王位継承順に名を連ねている。王族の血統こそ、世襲君主制の核心なのだ。
仮に元王子が単なる「一般人」だったとしても、王族および王室と過去に関係があったというそれだけで、イギリスの君主制はこの問題に巻き込まれる。
国王は当局に「誠心誠意」協力すると約束した。そこからいったい何が明らかになるのだろう。
王室は、これまで国王が取ってきた前例のない一連の措置を指摘する。国王はアンドリュー元王子から称号と住まいを取り上げ、当局への支援を申し出た一方で、当局には何の便宜や計らいも求めなかった。
国王が、家族への忠誠心、即位によって引き継いだ状況、そして「王冠」への義務の間で葛藤を抱えてきたことは間違いないだろう。
だが、君主制とは継続だ。過去から積み重ねられたものであると同時に、現在に反応する生身の制度でもある。
国王の支持者らは、国王がこれまで行ってきた措置を強調する。一方で君主制を批判する人々は、なぜ王室がもっと早く行動しなかったのか、なぜ報道や疑惑が増える中でいっそう注意深く対応しなかったのか、そして元王子の扱いがなぜ、いつ変わったのかを疑問視するはずだ。
今日の騒動はいずれ収まるだろう。だがダメージはすでに生じている。そして、今後さらに何が、どれくらい起きるのか。王室、王族、そして「王冠」にとっては、それが問題だ。










