核合意などめぐる米・イランの高官級協議、「良い滑り出し」だとイラン外相 

ウィトコフ氏とアラグチ氏の顔写真が横に並べられた画像

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画像説明, アメリカのスティーヴ・ウィトコフ特使(左)とイランのアッバス・アラグチ外相が、それぞれの代表団を率いた
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ヒューゴ・バシェーガ中東特派員

アメリカとイランの間で衝突への懸念が高まるなか、両国は6日、オマーンで高官級の協議を行った。イランのアッバス・アラグチ外相は、両国は今後も協議を続けると述べた。

アラグチ外相は、仲介を通じた協議について「良い滑り出し」で、「核問題に限定したもの」だったと述べた。交渉担当者らは今後、国内での協議のためそれぞれの首都に戻るという。

この協議に先立ち、アメリカの高官は、イランの弾道ミサイルや、中東地域の武装勢力への支援についても議論したいと述べており、両国の立場の隔たりが浮き彫りになっていた。

アメリカは協議後、すぐにコメントしていない。

今回の協議は、イランで先月、全国的な反政府抗議が暴力的に弾圧されたことを受け、アメリカが中東で軍事力を増強するなかで行われた。人権擁護団体は、この弾圧で数万人が死亡した指摘している。

また、ドナルド・トランプ米大統領はこの数週間、核をめぐる合意に至らなければイランを爆撃すると警告。アメリカは数千人規模の部隊と、トランプ大統領が「艦隊」と表現した空母や他の軍艦、戦闘機を含む戦力をこの地域に派遣している。

一方、イランは攻撃を受ければ武力で応じると宣言。中東およびイスラエルにあるアメリカの軍事拠点を攻撃すると脅している。

湾岸地域に配備されている米軍部隊を示した地図。ヨルダンにはムワファク・サルティ空軍基地に戦闘機が配備されている。バーレーンにはハリファ・ビン・サルマン港に駆逐艦と戦闘艦が配備されている。カタールにはアル・ウデイド空軍基地に新たな防空システムが導入された。また、インド洋には空母エイブラハム・リンカーンが主導する艦隊がいる

アラグチ外相はイラン国営テレビの取材に対し、両国の間には「克服しなければならない不信の雰囲気」があると述べた。また、次回協議の詳細は後日決定される見通しだと語った。

この日の協議は、オマーンのバドル・アル・ブサイディ外相が仲介した。同外相はソーシャルメディアへの投稿で、協議は「イラン側とアメリカ側の考え方を明確にし、進展の可能性がある分野を特定するのに有益だった」と述べた。

イランの代表団はアラグチ外相が率い、アメリカ側はスティーヴ・ウィトコフ特使と、トランプ大統領の娘婿のジャレッド・クシュナー氏が代表として出席した。

両国の協議は、イスラエルとイランの昨年6月の戦争以来、初めてだった。

12日間の戦争で、アメリカはイランの主要な核施設3カ所を爆撃した。会合が続く可能性はあるものの、大きな対立点が残っており、合意が可能かどうかは依然として不透明だ。

複数の専門家によると、追い詰められたイランの指導部にとって今回の協議は、アメリカの軍事行動で体制がいっそう不安定になる事態を回避する機会になり得る。専門家たちは、イラン政府は1979年のイスラム革命以降で最も弱い状況にあるとみている。

協議の行方は

イランでは昨年12月末、深刻化する経済危機をきっかけにデモが発生。その後、大規模な反政府抗議運動へと発展したが、治安当局が残酷に弾圧を進めた。トランプ大統領の脅しは、こうしたなかで始まった。

アメリカに拠点を置く「人権活動家通信社(HRANA)」は、少なくとも6941人の死亡を確認したと発表。実際の死者数はさらに多い可能性があると警告した。また、5万人以上が拘束されたと明らかにした。

現在の対立は、長年にわたり欧米との争点となってきたイランの核計画の問題を再び協議の中心に押し戻した。イランは何十年にもわたり、自国の計画は平和目的だと主張してきたが、アメリカとイスラエルは、核兵器開発の一環だと非難している。

イラン当局者は譲歩に応じる姿勢を示している。その中には、ウラン濃縮のための地域コンソーシアム創設や、400キロに上る高濃縮ウランの備蓄を第三国へ移転する案についての協議も含まれている。こうした案は以前のアメリカとの協議で提案されていたが、イスラエルがイランを奇襲攻撃したことで頓挫(とんざ)した。

イランは一方で、弾道ミサイル計画の制限や、地域の代理勢力への支援停止を求める要求については、受け入れられないものであって、自国の主権を侵害するものだと主張している。イラン政府が「抵抗の枢軸」と呼ぶ代理勢力には、パレスチナ・ガザ地区のハマス、イラクの民兵組織、レバノンのヒズボラ、イエメンのフーシ派が含まれる。

交渉がどのような形になっても、イランは自国経済を疲弊させてきた制裁解除を求めるとみられている。イランの反体制派は、制裁緩和は聖職者指導部への延命策になると指摘している。

アメリカにとって今回の協議は、トランプ氏が行ってきた軍事的な脅しからの出口となり得る。湾岸諸国は、アメリカが攻撃すれば、より広範な衝突やイラン国内での長期的混乱につながる可能性に懸念を示している。さらに、空爆だけではイラン指導部を打倒できないと警告している。

トランプ氏は4日、イランの最高指導者アリ・ハメネイ師は心配した方がいいのかと記者団に質問されると、「大いに心配するべきだと言いたい。そう、心配すべきだ」と述べた。

マルコ・ルビオ米国務長官も、「意味のある成果」を得るには、協議が核問題を超えた範囲を扱う必要があると述べた。

「この相手と合意に至れるかどうかは分からないが、可能性を探るつもりだ」とルビオ国務長官は語り、「何かできることがあるかどうか確かめようとするだけなら、害はないと考えている」と述べた。