EU、イランの革命防衛隊をテロ組織に指定 反政府デモ弾圧めぐり

緑と赤の制服を着てライフルを手にした大勢の兵士が隊列を組み、行進している

画像提供, EPA

画像説明, イランのイスラム革命防衛隊(IRGC)の兵士(2024年9月)
この記事は約 1 分で読めます

欧州連合(EU)は29日、イランのイスラム革命防衛隊(IRGC)をテロ組織に指定した。イラン当局が数週間にわたり、反政府デモを暴力的に弾圧し、多数の死者が出ていることを受けての措置。

EUのカヤ・カラス外務・安全保障政策上級代表(外相に相当)は、「弾圧は黙認できない」と述べ、この措置により、イランの主要な軍事・政治・経済勢力である IRGC が、アルカイダや「イスラム国」などのジハード主義者と同じレベルに位置付けられることになると付け加えた

イランのアッバス・アラグチ外相は、EU の決定は「人目を引くための行為」であり、「重大な戦略的誤り」だと述べた。

複数の人権団体は、イランで昨年12 月から今年 1 月にかけての数週間にわたって続いた騒乱の中で、IRGC を含む治安部隊によって何千人もの抗議者が殺害されたと推定している。

29日にベルギー・ブリュッセルで開かれたEUの外相理事会に出席した、フランスのジャン=ノエル・バロ外相は、イラン当局による抗議者の殺害を「イランの近代史上最も暴力的な弾圧」と表現し、「犯罪が罰を免れることはない」と述べた。

フランスはこれまで、イランとの外交関係が全面的に断たれることを恐れ、IRGCをテロ組織に指定することに消極的だった。

しかし28日、フランスは方針を転換させ、IRGCをブラックリストに加えることを推進するイタリア主導の動きを強力に支持する姿勢を見せた。

こうした状況でカラス氏は、「どんな政権も、何千人もの自国民を殺害するなら、自らの終焉(しゅうえん)へ向かうことになる」と、ソーシャルメディアに短い声明を投稿した。

カラス氏はまた、IRGCをテロ行為に関与する組織のリストに追加した後も、イランとの外交ルートは維持されるだろうとの見解を示した。

EUは、イランの6団体と個人15人に対して新たな制裁を科した。対象には、イスカンダル・モメニ内相、モハンマド・モヴァヘディ=アザド検事総長、イマン・アフシャリ裁判長が含まれる。

EUは声明で、「彼らは皆、平和的な抗議活動に対する暴力的な弾圧や、政治活動家や人権擁護者の恣意(しい)的拘束に関与していた」と指摘した。

EUにテロ組織に指定された組織は、渡航禁止や資産凍結などの制裁対象となる。これらは、支援ネットワークの解体を目的とした措置だ。

イランで最も強力な武装勢力であるIRGCは、1979年のイラン革命から間もなく、イスラム体制を守るために創設された。約19万人の現役兵を有し、陸・海・空で対応できる能力があり、イランの戦略兵器を管理しているとされる。

同盟関係にある各国政府や武装組織に資金や武器、技術、助言を提供することで海外に影響力を及ぼしているほか、イラン国内では、反体制派の弾圧に利用されてきた数十万人規模の準軍事組織「バスィージ抵抗部隊」を統制している。

オーストラリア、カナダ、アメリカはすでに IRGC をテロ組織に指定しているが、イギリスはまだ指定していない。

デイヴィッド・ラミー英副首相は28日、イランによる「平和的な抗議者たちに対する残忍な弾圧」を非難したが、英政府の長年の方針として、「特定の組織を禁止対象とするかについてはコメントしない」と述べた。

イランをめぐっては、今週初めにアメリカのドナルド・トランプ大統領が、同国の「巨大な艦隊」が「大きな力、熱意、そして目的をもって迅速に」イランに向かっていると述べている。

海を航行する空母

画像提供, Handout via Reuters

画像説明, 米空母エイブラハム・リンカーン(資料写真)。トランプ氏は、同艦を旗艦とした空母打撃群が中東に向かっているとしている

トランプ氏は28日、イランに対し、核計画をめぐる合意交渉を行うための「時間はなくなりつつある」と警告。「交渉の席に着く」よう促した。

29日には、イランに対する軍事行動を回避するために、核合意の可能性についてさらなる協議を行いたいとも述べた。

トランプ氏はこの日、妻メラニア氏に関するドキュメンタリー映画のプレミア上映会で記者団の取材に応じた。「私は大統領1期目に軍を強化し、今はその一部をイランという場所へ向かわせている。その部隊を使わずに済むことを願っている」と、トランプ氏は述べた。

イランとの協議の可能性を問われると、トランプ氏は、「協議は行ってきたし、今後も予定している。今まさに、非常に巨大で強力な艦船が多数イランへ向かっているが、それらを使用せずに済むなら素晴らしい」と答えた。

イランのアラグチ外相は、イラン軍が「引き金を引く準備を整え」、いかなる侵略行為にも「即時かつ強力に反撃する」態勢にあると表明した。

アラグチ氏は、ヨーロッパは「我々の地域での全面戦争」を回避するよう取り組むどころか、「火に油を注ぐことに忙しい」と述べた。

トランプ氏は今月初め、イランで起きた反政府抗議で暴力的な弾圧の対象となった人々を支援するために、アメリカが介入すると約束していた。

イランでは当局がインターネットを遮断しているため、抗議者に対する政府の暴力行為の実態を把握するのが困難になっている。

アメリカに拠点を置く人権活動家通信(HRANA)は、昨年12月末に騒乱が始まって以来、5925人の抗議参加者を含む6301人以上の死亡を確認したと述べた。

ノルウェーに拠点を置く人権団体「イラン・ヒューマン・ライツ」は(IHR)は、最終的な死者数は2万5000人を超える可能性があるとしている。

イラン当局はこれまでに3100人以上が死亡したと発表しているが、その大半は治安要員か、「暴徒」に襲われた傍観者だと主張している。

BBCを含む大半の国際報道機関は、イラン国内からの報道ができない状況だが、治安部隊が群衆に向けて実弾を発射する映像が本物であることは、BBCが確認している。