イラン反体制抗議、これまでに2400人死亡と人権団体 イランが抗議者処刑すれば「強力な措置」とトランプ氏

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イランでの抗議活動に対する治安部隊の暴力的な弾圧で、これまでに2400人以上が殺害されたと、人権団体が13日に報告した。
アメリカに拠点を置く人権活動家通信(HRANA)は、イランでインターネット遮断が続く中、過去17日間で抗議者2403人と、子ども12人が殺害されたのを確認したと報告した。また、政府関係者も150人近くが殺されたと述べた。
一方、イラン当局者はロイター通信に対し、2000人が死亡したと述べ、「テロリスト」が原因だと非難した。
こうしたなかドナルド・トランプ米大統領は、イラン当局が抗議参加者を処刑した場合、アメリカは「非常に強力な措置」を取ると述べた。
ノルウェー拠点のクルド系人権団体ヘンガウは、イランで8日に拘束された26歳の男性がすでに死刑判決を受けたと、この男性の家族と共に明らかにした。
エルファン・ソルタニ氏の親族はBBCペルシャ語に対し、「極めて迅速な手続きで、わずか2日以内に裁判所が死刑判決を下し、家族には水曜日(14日)に処刑される予定だと告げられた」と語った。
「これほど早く進んだ事例は見たことがない」と、ヘンガウのアウヤル・シェキ氏はBBCに語った。「政府は人々を抑え込み、恐怖を広めるために、あらゆる既知の手段を使っている」
トランプ氏は13日、米CBSニュースに対し、「もし彼らが人々を絞首刑にすれば、何かが起きるはずだ。(中略)そんなことをすれば、我々は非常に強力な措置を取る」と述べた。

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トランプ米大統領は13日夜にイランに関する会合に出席し、「正確な」死者数を把握するとした。
「殺害は重大なものに見えるが、まだ確実には分からない」と、ホワイトハウスに戻る途中で記者団に語った。
そのうえで、数字を把握したら「それに応じて行動する」と述べた。
トランプ米大統領は13日、自身のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」で、イラン当局は殺害の「大きな代償を支払うことになる」と警告。人々に「抗議を続けるよう」呼びかけた。
また、「抗議者に対する無分別な殺害が止まるまで、イラン当局者とのすべての会談を中止した。支援は向かっている。MIGA!!!」と付け加えた。MIGAは、アメリカを拠点するイラン反体制派のスローガン「Make Iran Great Again(イランを再び偉大に)」を指す。
トランプ氏は弾圧への対応として、軍事行動を含む選択肢を検討している。またすでに、イランと取引するすべての国に対して25%の追加関税を課すと発表している。
通貨リヤルの急落と生活費の急騰への怒りに端を発した抗議活動は、イラン全31州の180の都市や町に広がっていると報じられている。
抗議はすぐに政治的変革を求める動きへと拡大し、1979年のイスラム革命以来、宗教指導者が率いてきた体制にとって最も深刻な挑戦の一つとなった。

抗議活動は8日に急激に拡大。当局はこれに対し、武力で殺傷する対応に出た。インターネットと通信サービスをほぼ完全に遮断して隠蔽(いんぺい)を図った。
HRANAによれば、騒乱の中で1万8434人以上の抗議者が逮捕された。
他の国際的な報道機関と同様、BBCはイラン国内から報道できないため、この流血の実態を正確に把握するのは難しい。
しかし、11日にインターネット上に投稿された動画には、首都テヘランのカフリザク法医学診断研究所で人々が家族の遺体を探す様子が映っていた。BBCはこの映像で、白布に包まれた遺体や遺体袋を少なくとも180体確認した。
12日に共有された同施設の別の動画では、約50体の遺体が確認できた。
BBCペルシャ語が取材した活動家の一人は12日、「友人は兄を探すために(カフリザクへ)行ったが、自分の悲しみを忘れてしまった」と語った。
「サアダターバード、ナジアーバード、サッタルハーンなど、あらゆる地域からの遺体が積み上げられていた。だから自分の住所の山に行って探すんだ。使われた暴力のレベルの、ほんの一部しか分からない」
テヘランの病院も、負傷者の数に圧倒されていると報じられている。
ロンドンを拠点とするイラン人腫瘍学者のシャフラム・コルダスティ教授は、13日にBBCの「ニュースデイ」に対し、テヘランの同僚から最後に受け取ったメッセージには「ほとんどの病院が戦場のようだ。物資が不足し、血液も足りない」と書かれていたと語った。
さらに他の医師らも、「2〜3カ所の病院」で数百人の負傷者や死亡者を治療したと述べたという。
カスピ海沿岸近くのラシュトに住むイラン人の一人は、街が見分けがつかないほど変わったと語った。「至る所が火で焼けている」と話した。
アメリカの国防当局者は12日夜、BBCがアメリカで提携するCBSニュースに対し、トランプ氏が長距離ミサイル攻撃、サイバー作戦、心理戦対応など、幅広い秘密工作や軍事的手段について報告を受けたと語った。
一方、イランのアッバス・アラグチ外相はカタールの衛星放送局アルジャジーラに対し、イランは外交に応じる用意があるが、「過去に試された軍事的選択肢をアメリカが再び試したい場合を含め」その他の選択肢にも備えていると述べた。アメリカは昨年6月、イランとイスラエルの間で勃発した「12日間戦争」で、イランの主要な核施設に空爆を行った。
アラグチ外相はまた、イラン政府は抗議者らと対話してきたが、国外から運営される「訓練を受けたテロ組織」がデモに潜入し、治安部隊を標的にしたため、行動を取らざるを得なかったと語った。
アラグチ氏の発言は、イランの最高指導者アリ・ハメネイ師の言葉を反映している。ハメネイ師は12日、国内各地で政府主催の集会に集まった支持者らに対し、「国内にいる雇い兵によって実行されるはずだった外国の敵の計画を無力化した」と述べた。

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イギリスのイヴェット・クーパー外相は13日、イランの抗議者らに対する「恐ろしく残虐な殺害」に抗議するため、イラン大使を呼び出したと述べた。
国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は、フォルカー・テュルク国連人権高等弁務官が、イラン当局に対し、平和的な抗議者らへのあらゆる暴力と弾圧を直ちに停止するよう求めたと発表した。
テュルク氏はさらに、暴力を正当化するために抗議者らを「テロリスト」と呼ぶことは容認できないと指摘。イラン当局者の発言に、迅速な裁判を通じて抗議者に死刑を適用する可能性が示されていることは「極めて憂慮すべきだ」と述べた。
イランのゴラムホセイン・モフセニ・エジェイ司法長官は12日、騒乱に関与した者は「厳しく、重く対処される」と述べた。同国の検察当局も、一部の者が国家安全保障犯罪である「神への敵意」で起訴されるとし、この罪には死刑が科されると説明した。

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テュルク氏はまた、イラン当局に対し、インターネットやその他の通信サービスへの完全なアクセスを回復するよう求めた。
監視団体ネットブロックスによると、13日にはイランから一部の国際電話が使えるようになったが、インターネットの遮断はすでに120時間を超えている。
テヘラン近郊で人工衛星サービス「スターリンク」を通じて接続している人物はBBCペルシャ語に対し、「街のすべての区画に検問所があり」、車両と乗員の携帯電話が治安部隊によって検査されていると語った。
こうした中、ここ数日の抗議活動を映した新たな動画も共有されている。BBCペルシャ語は、中部アラク、西部タブリーズ、ウルミア、ホッラマバードで撮影された映像を検証・確認した。
ホッラマバードの映像では、治安部隊と抗議者の衝突の最中に銃声が聞こえる。また、抗議者の一部は石を投げている。
抗議者たちは「独裁者に死を」と、ハメネイ師を指すスローガンや、「レザ・シャー(国王)、あなたの魂が安らかでありますように」と、1979年の革命で打倒された故モハンマド・レザ・パーレヴィ国王を指すスローガンを叫んでいる。息子で元皇太子のレザ・パーレヴィ氏は、アメリカで亡命生活を送っている。










