イラン最高指導者にモジタバ師、専門家会議が選出 父ハメネイ師の後継者に 

法衣をまとい頭部を黒い布で覆った人物が群衆の中心にいる。メガネをかけ白と黒の毛のひげを生やしている

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画像説明, モジタバ・ハメネイ師(2019年撮影)
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イラン国営メディアは9日、殺害された最高指導者アリ・ハメネイ師の後継者として、息子のモジタバ・ハメネイ師(56)が「専門家会議」によって選出されたと報じた。

アリ・ハメネイ師は、アメリカとイスラエルによる2月28日の最初の攻撃で、首都テヘランの自宅敷地内で殺害された。それを受け、宗教指導者らで構成する「専門家会議」が後継者選びを進めていた。

イラン国営テレビは9日、司会者が専門家会議の声明を朗読。「厳しい戦時環境と、敵がこの国民的機関を直接脅し、専門家会議の事務局事務所への爆撃で数人の職員と警備隊員が殉教したにもかかわらず、イスラム体制の指導者を選出し公表するプロセスは一瞬たりとも中断しなかった」とした。

司会者は続けて、「アッラーフ・アクバル(神は偉大なり)、アッラーフ・アクバル、ハメネイ師が指導者だ」と大声で唱えた。

法衣をまとい頭部を黒い布で覆った人物の胸から上の写真。メガネをかけ白と黒の毛のひげを生やしている。背後にはイラン国旗が見える

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画像説明, イラン国営テレビは、モジタバ師の最高指導者選出の発表にあたり、この写真を放映した

モジタバ師は1969年9月8日、イラン北東部の都市マシュハド生まれ。アリ・ハメネイ師の6人の子どもの上から2人目とされる。

イランメディアによると、モジタバ師は17歳のとき、イラン・イラク戦争で数回にわたり短期間の兵役を務めた。1999年に、イスラム教シーア派神学の中心地とされる聖地コムへ行き、宗教研究を続けた。

父親と異なり、モジタバ師は目立ってこなかった。政府の役職に就いたことはなく、公の演説やインタビューの記録もない。公表されている写真や動画はわずかだ。

ただ長年、父親の秘書役として影響力をもつ人物だとうわさされてきた。AP通信によると、告発サイト「ウィキリークス」で2000年代後半に公開された米外交公電は、モジタバ師を「法衣の背後に潜む実力者」と呼び、イラン政権内で広く「有能かつ強力な指導者」とみなされていると評していた。

裏で影響力を行使してきたとされ、大統領選挙への関与や、民兵組織「バスィージ」の指揮、強大なイスラム革命防衛隊(IRGC)との緊密な関係などが指摘されている。

イランの体制を支持する人々は、モジタバ師の最高指導者への選出を祝い、街頭へ繰り出している。その多くは、同師が父親の強硬路線を継承すると考えているとみられる。

動画説明, イラン最高指導者の後継は息子、「強硬派の勝利」とBBCペルシャ語特派員

トランプ氏は明確に反対

アメリカのドナルド・トランプ大統領は先週、そして8日も、イランの新たな最高指導者選びに自らが関与することへの意欲を示していた

トランプ氏は、旧指導部と関係のある人物が後継者となることは受け入れると示唆してきた一方で、モジタバ師については、「ハメネイの息子は私には受け入れられない」と明確に反対を表明してきた。

8日も、モジタバ師選出が発表される数時間前に、自分の承認を得ずに後継者となった人物は「長くは続かない」と述べていた。

一方、イスラエルは同日、モジタバ師の選出が明らかになる前に、アリ・ハメネイ師を「誰が引き継ぐとしても、追及し続ける」と声明で警告した。

イランで軍司令部や石油施設に爆撃

イスラエル国防軍(IDF)は、イランの革命防衛隊(IRGC)空軍司令部を攻撃したと発表した。同司令部が、イランの航空作戦を指揮する「主要な指揮統制」センターとして機能していたとIDFは説明した。

イラン・テヘランでは、8日にかけての夜間に石油貯蔵施設を狙った激しい空爆があった。市民らはBBCペルシャ語に、「焦げくさい」などとメッセージを送ってきた。

BBCペルシャ語は、BBCニュースのペルシャ語サービス。イラン当局によって遮断され、日常的に妨害されているものの、世界中で2400万人が利用している。利用者の大半はイラン国内にいる。

イランの死者については、同国のアミール・サイード・イラヴァニ国連大使が6日の時点で、アメリカとイスラエルの攻撃によって民間人1332人が殺害されたと話した。

米中央軍司令部は8日、イランが先週、中東各地で実施した初期の攻撃による米兵の死者が7人になったと発表した。

一方、イスラエルの攻撃を受けているレバノンの保健相は、レバノンの死者が約400人に上ったと発表した。

サウジアラビア当局者は、飛翔(ひしょう)体が住宅地を直撃し、2人が死亡したと明らかにした。

米国務省は、サウジアラビアにいる米政府職員とその家族に対し、イランによるドローン攻撃のリスクを理由に、緊急を要する理由がない限り同国から退去するよう指示している。