トランプ氏、「イランとの核協議を継続する」と強調 イスラエル首相との会談で

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アメリカのドナルド・トランプ大統領は11日、ホワイトハウスでイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相と会談し、イランとの核協議を継続する考えを強調した。ただ、合意に至らない場合には、イランへの対抗策を講じる可能性があると警告した。
両首脳の会談は、中東地域で緊張が高まり、イランの核兵器開発を抑制するための交渉が激化する中で行われた。
ネタニヤフ首相は、イランのウラン濃縮活動の停止に加え、弾道ミサイル計画、イスラム組織ハマスやレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラといった代理勢力への支援を制限する合意を目指すよう、トランプ氏に迫るとみられていた。
イランは、制裁緩和と引き換えに核計画を制限する用意があると示唆しているが、そのほかの要求については拒否している。
トランプ氏とネタニヤフ氏の会談に先立ち、イランのマスード・ペゼシュキアン大統領は、イランは「彼らの過度な要求には屈しない」と警告していた。
ネタニヤフ首相がアメリカを訪れるのは、トランプ大統領の2期目就任以来6度目で、世界各国の指導者の中で最多。
約3時間にわたる今回の首脳会談は、異例の控えめな雰囲気の中で行われた。ネタニヤフ氏は報道陣の目に触れないよう、通用口からホワイトハウスに入った。
会談後の会見も開かれなかった。
トランプ氏は自分のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」への投稿で、「非常に良い」首脳会談だったと述べた。
「イランとの交渉を継続し、合意が成立するか見極めるつもりだと私が強調した以外、決定的な結論は何も出なかった」
そして、合意は「望ましい」としつつ、合意に至らなければ「我々はその結果がどうなるか見守るしかない」と付け加えた。
イスラエル首相官邸は、両首脳が「交渉の文脈におけるイスラエル国家の安全保障上の必要性」について協議し、「緊密な連携と関係」を継続することで一致したと発表した。
トランプ氏と親しい関係にあるネタニヤフ氏は長年、イランはイスラエルの存亡に関わる脅威だと主張し、中東地域におけるイランの影響力を抑制するようアメリカに強く求めてきた。
イスラエル首相府はネタニヤフ氏の訪米に先立ち、「いかなる交渉にも、弾道ミサイルの制限と、イランの枢軸への支援の停止が含まれなければならないと、首相は考えている」との声明を出した。
10日にワシントン入りしたネタニヤフ氏は、アメリカのスティーヴ・ウィトコフ特使とトランプ氏の娘婿ジャレッド・クシュナー氏と面会。ウィトコフ氏とクシュナー氏からは、「先週金曜日(6日)にイランと行った1回目の交渉について、最新の報告があった」と、イスラエル首相府は発表した。
アメリカ、中東での軍事プレゼンスを強化
アメリカは中東での軍事プレゼンスを強化している。トランプ氏は、イランが核計画をめぐる合意に応じず、イラン国内での反政府抗議の参加者を殺害するのをやめなければ、アメリカはイランを攻撃する可能性があると警告している。
トランプ氏は10日、中東に二つ目の空母打撃群を派遣することを「検討している」と述べた。
アメリカは先月、イラン政府が国内の大規模デモを弾圧し数千人が死亡したことを受け、空母エイブラハム・リンカーン」を旗艦とした打撃群を同地域に派遣していた。
トランプ氏は米ニュースサイト「アクシオス」の取材に対し、「一艦隊が向かっており、もう一艦隊が加わる可能性がある」と語った。イランが「合意をとてつもなく望んでいる」とし、外交的解決の可能性は残されていると付け加えた。
米FOXビジネスに対しては、良い合意とは「核兵器もミサイルもない」もののことだと述べた。
「屈しない」とイラン大統領、軍事行動の可能性は

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一方、イラン・テヘランでは11日、イスラム革命47周年を記念する集会が開かれた。会場で演説したペゼシュキアン大統領は、「イランは侵略に屈しない。しかし、この地域の平和と平穏を確立するため、近隣諸国との対話を全力で継続している」と述べた。
また、イランは「核兵器の取得を模索してはいない」と改めて表明。「何度も繰り返しているように、我々はいかなる検証にも応じる用意がある」と付け加えた。
イスラエル政府関係者も、アメリカとイランの核合意が成立しない場合、イスラエルはイランに対して軍事行動を取る権利があるとしている。
複数専門家によると、イスラエルのネタニヤフ首相は政府内の極右勢力から、トランプ氏との関係をいかして、イスラエル政府の安全保障上の懸念を解消するような広範な米イラン合議をトランプ氏に働きかけるよう圧力を受けているという。
米ジョージタウン大学外交学院のダニエル・バイマン教授は、「イスラエルは(トランプ)大統領がイランとの合意を急ぐあまり、同国のミサイル計画や代理勢力への支援には対処しないとする合意を受け入れたり、核計画の一部を残すような合意を受け入れたりするのではないかと懸念している」と指摘した。
また、「トランプ政権下のアメリカについて、イスラエルやほかの同盟国が懸念しているのは、トランプ氏が特定の成果よりも合意そのものを優先する可能性だ」とした。
イラン国内での大規模な抗議行動と、昨年のアメリカとイスラエルによる、イランの核施設や軍事施設に対する12日間の空爆により、イラン指導部の立場が弱まっていると、複数のアナリストはみている。
「イランの今日の体制は、非常にぜい弱だ」と、米海軍大学院の教授で、中東政治に詳しいモハメド・ハフェズ氏は指摘した。「アメリカとイスラエルは、自分たちが主導権を握っていると感じている。イランは劣勢なので、自分たちは最大限の要求を突きつけられると考えている」。
トランプ氏は第1次政権時代に、バラク・オバマ政権時代に締結したイランとの核合意から離脱。対イラン制裁を再開させ、イラン経済に深刻な打撃を与えた。第2次トランプ政権では昨年、イスラエルとイランの戦闘が始まる前に、新たな合意締結を目指す協議が再開された。
トランプ氏はここ数週間、核合意が成立しなければイランを攻撃するかもしれないなどと、強硬な発言を重ねている。それでも、トランプ氏は直接的な軍事衝突は避けたいと考えているかもしれないと、米政府の元関係者はみている。
アメリカの駐イラク大使と駐トルコ大使を歴任したジェイムズ・ジェフリー氏は、「トランプ氏が、(中間)選挙を控える年に、イランとの大規模な軍事衝突を望んでいるとは思わない」、「イラン側もそのことを理解していると思う」と述べた。
ガザ停戦は
こうした中、トランプ政権はイスラエルとハマスに対し、パレスチナ・ガザ地区をめぐる停戦合意の次の段階に進むよう迫っている。
ネタニヤフ氏は11日、アメリカのマルコ・ルビオ国務長官と面会。ガザに関してトランプ氏が提唱する「平和評議会」にイスラエルが参加するため、文書に署名した。
ホワイトハウスのアナ・ケリー報道官は、イスラエルにとって「歴史上、トランプ大統領ほどの良き友人はこれまでいなかった」と述べた。
「我々は同盟国イスラエルと緊密に連携し、トランプ大統領の歴史的なガザ和平合意の履行と、中東地域の安全保障強化への取り組みを継続していく」
ハマスは2023年10月7日、イスラエル南部への襲撃を主導し、約1200人を殺害、251人を人質として連れ去った。
これを受けてイスラエルはガザ地区での軍事作戦を開始した。ハマス運営のガザ保健省によると、これまでに7万1000人以上が殺されている。
イスラエルとハマスは停戦合意の第1段階が発効した昨年10月以降、合意に違反したと互いを非難し合っている。
合意の第2段階には、ハマスの武装解除やイスラエル軍のガザからの完全撤退、ガザ沿岸地域の再建が含まれる。しかし、イスラエルとハマスは第2段階に向けてほとんど進展をみせていない。











