ハンガリー次期首相候補、プーチン氏から電話があれば応答し「ウクライナでの戦争停止」求めると

画像提供, Léa Guedj/BBC
ハンガリーで12日に投開票が行われた総選挙で、地滑り的勝利を収めた中道右派の政党「ティサ(尊重と自由)」のマジャル・ペーテル党首は13日、すでに10人の欧州指導者と協議したと明らかにした。総選挙ではオルバン・ヴィクトル首相率いる与党「フィデス・ハンガリー市民連盟」が敗北し、16年ぶりに政権交代が実現することになった。
マジャル次期首相候補は、オルバン氏と親しいロシアのウラジーミル・プーチン大統領については、自分から電話をかけるつもりはなく、プーチン氏から電話があれば話をすると話した。
「ウラジーミル・プーチン氏から電話があれば、私は電話に出る」と、マジャル氏は総選挙での勝利を受けて開かれた3時間にわたる記者会見で述べた。
マジャル氏は「そんなことは起こらないと思う」と強調しつつ、「もし私たちが話す機会があれば、(プーチン氏に)こう伝えたい。4年が経過した今、殺りくをやめ、この戦争を終わらせてほしいと」とした。
ロシア政府は、ハンガリー総選挙でのマジャル氏の勝利を尊重すると表明。ハンガリー政権との「現実的な」関係を維持していくとの見通しを示した。
オルバン氏は、ドナルド・トランプ米大統領の重要な盟友で、トランプ氏はオルバン氏の再選を支持していた。J・D・ヴァンス米副大統領も先週、2日間の日程でハンガリーを訪問し、オルバン氏の選挙集会で演説するなど、その関係をさらに強固なものにした。
マジャル氏は記者会見で、トランプ氏にも自分から電話はしないとしつつ、トランプ氏から電話がかかってきた場合は、「北大西洋条約機構(NATO)の強固な同盟国」として歓迎するつもりだと述べた。そして、来年10月に開催される、ソヴィエト連邦占領に対する蜂起から70年を記念する式典に招待するとした。
オルバン氏率いるフィデス党の元党員だったマジャル氏は、政府内の汚職や縁故主義を終わらせるために草の根運動を開始した。
総選挙の最新の暫定結果によると、ティサ党は136議席を獲得した。当初伝えられた138議席からは2議席減ったが、憲法改正に必要な議席の3分の2(133議席)は上回っている。
まだ約40万票が未集計で、残りの議席の一部も獲得できると、マジャル氏は楽観視しているという。
また、ハンガリーの有権者は単なる政権交代ではなく、「完全な体制転換」のために投票したのだと、マジャル氏は話した。

ティサ党が有権者に劇的なまでに支持されたことで、翌13日には欧州の指導者たちの注目がマジャル氏に集まった。
欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は「今夜(12日)、ハンガリーでヨーロッパの心臓はより力強く鼓動している」とソーシャルメディアに投稿。「ハンガリーはヨーロッパを選んだ。ヨーロッパは常にハンガリーを選んできた」とした。
マジャル氏は13日、フォン・デア・ライエン氏を含む複数の指導者とすでに協議したと、国内外の報道陣に語った。
退陣するオルバン政権が何を計画していようと、ハンガリーは欧州連合(EU)に属すると、マジャル氏は強調し、ユーロ圏への参加は自国の利益になると付け加えた。同氏はすでに、首相就任後の最初の外交訪問先として、親和性が高いとするポーランド、オーストリア、ドイツをあげている。
オルバン氏はかねて、ウクライナでの戦争長期化について、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領やEUに責任があるとの主張を繰り返してきた。一方で、現在45歳のマジャル氏は、オルバン氏とはまったく異なる論調を展開した。
オルバン氏の陣営は、EUとゼレンスキー氏が、ロシアによるウクライナでの全面戦争を長引かせていると主張。先月には、EUによるウクライナへの900億ユーロ(約16兆8000億円)の融資を阻止し、欧州諸国からは背信行為などと非難された。
13日の記者会見でマジャル氏は、ロシアとの戦争の被害者はウクライナだと、ハンガリー国民の誰もが知っていると述べた。
また、この戦争はロシアの視点から見ても理にかなっていないと指摘。「何万人ものロシア人が命を落とし、数万、あるいは数十万ものロシアの家庭が破壊されている」とした。これには、ウクライナ在住のロシア語話者も含まれると指摘した。
マジャル氏は、たとえプーチン氏と電話で話すことになっても、「話はおそらくすぐ終わるだろうし、私の助言で彼が戦争を終わらせるとは思えない」とも述べた。
ロシア寄りのオルバン氏にも、EU諸国に盟友はいる。しかし、EUの対ウクライナ融資策に拒否権を行使しようとしたのはオルバン氏だけだった。
ハンガリーのシーヤールトー・ペーテル外相が、ロシア制裁に関するEUの会議の前後に、ロシア当局者と情報を共有していたことを認めたため、オルバン政権とロシアとの関係にはますます厳しい目が向けられるようになった。
流出した情報によると、シーヤールトー氏はロシアのセルゲイ・ラヴロフ外相に対し、「私にお申し付けください」と述べていたとされる。この流出を受け、オルバン氏は盗聴をめぐる調査を命じた。
13日の記者会見中にメモを手渡されたマジャル次期首相候補は、シーヤールトー氏がこの日、外務省の施設内で、対ロ制裁に関する機密文書をシュレッダーにかけていたと主張した。
この件について、ハンガリー外務省はコメントしていない。










