米ニューヨーク市、ワクチン接種を民間の全企業に義務付け
ルーシー・フッカー、ビジネス担当記者、ニューヨーク

画像提供, Getty Images
米ニューヨーク市のビル・デブラジオ市長は6日、市内のすべての民間企業の従業員に対し、新型コロナウイルスのワクチン接種を出社の条件にすると発表した。
同市は秋からすでに、公的機関の職員に対してワクチン接種を義務付けている。反対の声も上がり退職者も出たが、この施策によって接種率は上昇した。
デブラジオ市長は6日の放送局MSNBCの番組で、接種義務を今月27日からすべての民間企業の従業員に拡大すると述べた。約18万4000の事業所が対象となるという。
同市長によると、民間企業までワクチン接種義務を拡大するのは、アメリカの市としては初めて。詳しい指示は15日に出される。
同市長は番組で、「ニューヨーク市は先制攻撃をすると決めた」と話した。
「新たな要因としてオミクロンが現れた。寒い季節になり、デルタ変異株対策はさらに大変になる。休暇でみんなが集まる」
「ワクチン義務化が、切り抜けるための手段だ」
市中感染の可能性
これまでの新型ウイルスより感染力が強いとみられているオミクロン変異株は、ニューヨーク市内と近郊でも感染者が見つかっている。
感染者の1人は、市内マンハッタンで先月23日に開かれたアニメのイベントに参加していた。屋内の会場では数百人が交流していた。
デブラジオ市長は、ニューヨークですでにオミクロン変異株の市中感染が起きていると想定すべきだと述べた。
現地紙ニューヨーク・タイムズによると、同市の新型ウイルス感染率は10万人当たり約20人で、全国平均の同33人より低い。だがここ1カ月ほど、上昇傾向にあるという。
アメリカのワクチン接種率は、人口の約60%。ニューヨーク市では約69%が接種を完了しているが、地域によって差がある。
他市にも呼びかけ
デブラジオ市長は、国内の他の都市もニューヨークに続くべきだと強く促した。
「全国の市長、知事、CEO(企業などの最高経営責任者)に勧めたい。ワクチンを義務付けるべきだ。対象が広がるほど、従業員は自分の番だから受けると言うようになる。業界を移ったり、会社を移ったりしても意味がないからだ。私たち全員を守るには、あらゆる場所で実施される必要がある」
同市長は、ニューヨークのビジネス界からは協力を得られるとの見通しを示した。以前、レストラン内での食事やイベント開催、スポーツジムなどの利用でワクチン接種を条件とした時と同様の協力を期待しているとした。
訴訟の動きも
ジョー・バイデン大統領も、ワクチン接種を全国の民間企業の従業員に義務付ける方針を打ち出している。だが、議会と裁判所で反対にあい、進展していない。
そうした中、従業員の出社条件にワクチン接種を加える民間企業も多数出てきている。モルガン・スタンレー、ブラックロック、ゴールドマン・サックスといった巨大投資会社や、マクドナルド、ウォルグリーンズ、ウォルマートなどだ。
一方、ニューヨーク市のビジネス団体「Partnership for New York City」のキャスリン・ワイルド会長は、今回のデブラジオ市長の発表に、ビジネス界は「不意打ちを食らった」と述べた。
「連邦、州、市のレベルで方針がばらばらで困る。それに、市長の指示を誰が実施するのか、そもそも合法的なのか、といったことが不透明だ」
ニューヨーク市議会の野党・共和党のジョー・ボレリ院内総務は、今回の市長の指示が実行され次第、訴訟を起こす考えがあることをツイッターで明らかにした。
ボレリ氏は、ワクチン義務付けの拡大は今月末で退任するデブラジオ市長ではなく、エリック・アダムス次期市長が実施するか決めるべきだと主張した。
デブラジオ市長は今回、レストラン、バー、スポーツジムなどの利用に関する規制の強化も発表した。これまではワクチン接種を1回受ければ利用できたが、ジョンソン・エンド・ジョンソン製ワクチンの接種者を除き、2回の接種が条件となる。
また12歳未満の子どもも、ワクチン接種の対象に含まれたことから、今月14日以降は、上記施設を利用する際に接種証明の提示が必要になる。









