ガザ暫定統治を監督、「平和評議会」メンバーにブレア元英首相やルビオ米国務長官ら

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アメリカのドナルド・トランプ政権は16日、パレスチナ・ガザ地区の暫定的な統治を監督する「平和評議会」の創設メンバーに、マルコ・ルビオ米国務長官やトニー・ブレア元英首相らを任命した。「平和評議会」は、トランプ氏による和平計画の第2段階として発足した。
トランプ氏が議長を務める「平和評議会」の設置は、イスラエルとハマスの戦争終結に向けた20項目からなる和平計画の一環。同評議会は、ガザの暫定的な統治を監督し、復興を管理するとされる。
「平和評議会」の構成はまだ明確になっていないが、二つの個別の執行委員会がそれぞれ発表された。
ひとつは、投資や外交に注力する高官級の「創設執行委員会」。もうひとつの「ガザ執行委員会」は、戦後のガザ統治を担う技術官僚による暫定的パレスチナ行政機構「ガザ行政国家委員会(NCAG)」の現場での活動を監督する。
「ガザ執行委員会」には、平和評議会の創設執行理事会の一部メンバーも加わるという。
ホワイトハウスは16日の声明で、アメリカのスティーヴ・ウィトコフ中東特使や、トランプ氏の娘婿で、第1次政権で上級顧問を務めたジャレッド・クシュナー氏も、「創設執行理事会」に加わると発表した。
「創設執行委員会」には、未公開株式投資会社の代表マーク・ローワン氏、アジェイ・バンガ世界銀行総裁、ロバート・ゲイブリエル大統領次席補佐官(国家安全保障問題担当)が名を連ねる。
ホワイトハウスは声明で、各メンバーが「ガザの安定化と長期的な成功に不可欠な」担当分野を担うとしている。
トランプ氏は15日に評議会の発足を発表した際、「これまでに、いかなる時代や場所で結成されたものの中で最も偉大で、最も権威ある評議会」だと述べていた。
カナダのマーク・カーニー首相の事務所はBBCに、首相がトランプ氏から「平和評議会」に参加するよう求められ、首相はこれに応じるつもりだと明らかにした。
アルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領はソーシャルメディア「X」に、トランプ氏から「平和評議会」の創設メンバーに招かれたと明らかにし、招待状の写真を投稿した。
エジプトの外務省によると、アブドゥルファッターハ・アル・シーシ大統領も招かれたため、エジプトとして「この件を検討している」という。
創設メンバーに任命されたサー・トニー・ブレアは、1997~2007年に労働党政権を率いて英首相を務めた。2003年にはイラク戦争にイギリスを参戦させた。退任後は、アメリカ、欧州連合(EU)、ロシア、国連からなる「カルテット」の中東担当特使を務め、パレスチナの経済発展と2国家解決の実現に向けた環境整備に取り組んだ。
ブレア元首相は声明で、「平和評議会」の創設メンバーに選ばれたのは光栄だとして、これまでウィトコフ特使やクシュナー氏と共に働いてきたことは「本当にありがたい」ことだったと感謝した。
「今後も二人やその他の同僚と共に、平和と繁栄の推進を目指す大統領のビジョンに沿って、働くことを楽しみにしている」と元首相は述べた。

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ブレア元首相を除くと、創設執行委員会は全員、アメリカ国民で構成される。
昨年9月にウェス・ストリーティング英保健相はBBCに、イラク戦争での元首相の関与を思えば、サー・トニーの任命を意外に思う人もいるだろうと述べた。
ただし、1998年4月10日にイギリスとアイルランドの間で結ばれた北アイルランド問題に関するベルファスト合意を元首相が仲介したことにも触れ、「外交と国家運営において、かなりの才覚の持ち主なので、それを駆使することができるなら、それは良いことでしかない」とも、ストリーティング氏は述べた。
和平計画の第2段階をめぐっては、米政府はすでに、戦後のガザ統治を担う「ガザ行政国家委員会(NCAG)」の設置を発表している。
暫定的な委員会は15人で構成され、パレスチナ自治政府(PA)元副大臣のアリ・シャース氏が同委員会を率いることになる。パレスチナ自治政府は現在、パレスチナ・ヨルダン川西岸地区のイスラエルの支配下にない一部地域を統治している。
この委員会による暫定的統治を、「平和評議会」が監督することとなる。
ホワイトハウスの声明によると、「平和評議会」の現地代表には、ブルガリアの政治家で、国連の中東特使を務めたことのあるニコライ・ムラデノフ氏が就任し、NCAGとガザで連携していく。

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トランプ氏の和平計画
トランプ氏の和平計画では、国際安定化部隊(ISF)がガザに派遣され、審査を受けたパレスチナ警察部隊の訓練と支援を行うとされる。ホワイトハウスは、ジャスパー・ジェファーズ米軍少将がこの部隊を指揮し、「治安の確立、平和の維持、持続的なテロのない環境の構築」を担うと、声明で説明した。
アメリカによる和平計画の第1段階は昨年10月に発効し、今月14日に第2段階に入った。しかし、ガザ地区、そしてそこで暮らす約210万人のパレスチナ人の将来については、依然として不透明な状況だ。
イスラム組織ハマスとイスラエルは昨年10月、和平計画の第1段階に合意。戦闘を停止し、イスラエルからガザに連れ去られた人質とイスラエルにいるパレスチナ人囚人をそれぞれ引き渡したほか、イスラエル軍が部分撤退し、ガザへの人道援助の搬入量を増やした。
アメリカのウィトコフ特使は14日、第2段階ではガザの再建と完全な非武装化が進められると説明した。非武装化には、ハマスや、パレスチナのほかの勢力の武装解除が含まれる。
「アメリカは、ハマスが自らの義務を完全に履行することを期待している」と特使は警告。ハマスが負う義務には、死亡したイスラエル人人質の最後の1人の遺体の返還も含まれるとし、「履行しなければ深刻な結果を招くことになる」と述べた。
しかし、ガザでの停戦はぜい弱で、ハマスとイスラエルは互いに、相手が停戦合意に違反していると非難し合っている。ハマス運営のガザ保健省は、昨年の停戦発効後もイスラエルがガザを空爆し、450人近いパレスチナ人が殺害されたとしている。一方でイスラエル軍は、同じ期間にイスラエル兵3人が、パレスチナの武装勢力による攻撃で殺害されたとしている。
国連によると、ガザの人道状況は依然深刻で、不可欠な物資の制限なき搬入が必要だと強調している。
2023年10月7日、ハマスはイスラエル南部を襲撃し、約1200人を殺害、251人を人質として連れ去った。
これを受けてイスラエルはガザ地区への軍事作戦を開始した。ハマス運営のガザ保健省によると、この軍事作戦でこれまでに7万1260人以上が殺されている。











