アメリカ、ガザ和平計画「第2段階」開始を発表 技術官僚による暫定的統治機構を設置

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アメリカのスティーヴ・ウィトコフ特使は14日、パレスチナ・ガザ地区に関して、ドナルド・トランプ米大統領の和平計画の第2段階の開始を発表した。第2段階では、ガザにパレスチナ人テクノクラート(技術官僚)による暫定的な移行統治機構が置かれることになっている。
イスラム組織ハマスとイスラエルは昨年10月、和平計画の第1段階に合意。戦闘を停止し、イスラエルからガザに連れ去られた人質とイスラエルにいるパレスチナ人囚人をそれぞれ引き渡したほか、イスラエル軍が部分撤退し、ガザへの人道援助の搬入量を増やした。
ウィトコフ特使は、第2段階ではガザの再建と完全な非武装化が進められると説明した。非武装化には、ハマスや、パレスチナのほかの勢力の武装解除が含まれる。
「アメリカは、ハマスが自らの義務を完全に履行することを期待している」と特使は警告。ハマスが負う義務には、死亡したイスラエル人人質の最後の1人の遺体の返還も含まれるとし、「履行しなければ深刻な結果を招くことになる」と述べた。
しかし第2段階には、今後問題になり得る重要なポイントが二つある。
一つ目は、ガザの非武装化だ。ハマスはこれまで、独立したパレスチナ国家の樹立なしに武装解除はできないと主張している。二つ目は、イスラエル軍のガザからの完全撤退だ。イスラエルは第1段階の部分撤退には応じたが、完全撤退については約束していない。
ガザでの停戦もぜい弱で、ハマスとイスラエルは互いに、相手が停戦合意に違反していると非難し合っている。ハマス運営のガザ保健省は、昨年の停戦発効後もイスラエルがガザを空爆し、450人近いパレスチナ人が殺害されたとしている。
国連によると、ガザの人道状況は依然深刻で、不可欠な物資の制限なき搬入が必要だと強調している。
「非武装化、再建へと移行していく」
ウィトコフ氏は声明で、トランプ氏の20項目からなる和平計画の第2段階が14日に開始されたことで、ガザは「停戦から非武装化、技術官僚による統治、そして再建へと移行していく」と宣言した。
「第2段階では、ガザに技術官僚的な暫定的パレスチナ行政機構『ガザ行政国家委員会(NCAG)』を設置し、ガザでの完全な非武装化と復興を開始する。これは、すべての非公認人員の武装解除が中心となる」
交渉を仲介するエジプト、カタール、トルコは、「ガザ地区を統治するパレスチナ技術官僚委員会」の設置だとして、アメリカの発表を歓迎。地域の「安定強化と人道状況の改善を目指す取り組み」に寄与するものだとした。
暫定的な委員会は15人で構成される。パレスチナ自治政府(PA)元副大臣のアリ・シャース氏が同委員会を率いると、仲介3カ国は明らかにした。パレスチナ自治政府は現在、パレスチナ・ヨルダン川西岸地区のイスラエルの支配下にない一部地域を統治している。
トランプ氏が3カ月前に発表した20項目からなる和平計画に基づき、ガザの暫定的な委員会は、トランプ氏が議長を務める「平和評議会」の監督下で運営される。
「平和評議会」に関する発表は、今後数日中に行われる見込み。トランプ氏は来週にスイス・ダヴォスで開かれる世界経済フォーラム年次総会(WEF、ダヴォス会議)に出席予定で、この総会の最中に発表される可能性もある。
「平和評議会」の現地代表には、ブルガリアの政治家で、国連の中東特使を務めたことのあるニコライ・ムラデノフ氏が就任する見通し。
トランプ氏の和平計画では、国際安定化部隊(ISF)がガザに派遣され、審査を受けたパレスチナ警察部隊の訓練と支援を行うとされる。

ハマスや自治政府の反応
ハマスと、ガザの武装組織でハマスと同盟関係にある「パレスチナ・イスラム聖戦(PIJ)」は14日、共同声明を発表。パレスチナ人技術官僚による暫定的な移行統治機構の設置を支持すると表明し、その活動開始に向けて「適切な環境を提供」するとした。
ハマスと対立するファタハが主流を占めるパレスチナ自治政府も、支持を表明した。
マフムード・アッバス自治政府議長の側近フセイン・アルシェイク氏は、トランプ氏の指導力のもと、すべてのパレスチナ派閥や機関、社会層が「この重要な移行期を確実に成功」させる必要があるとした。そして、「一つの制度、一つの法律、一つの正当な武器」という原則を維持するため、ヨルダン川西岸とガザの機関を連携させることが重要だと強調した。
トランプ氏の和平計画は、パレスチナ自治政府で改革がなされ、「安全かつ効果的に」統治できる状況になれば、パレスチナ自治政府がガザの統治を引き継げるとしている。
人質の遺体返還は
イスラエル首相官邸は14日夜、ガザで死亡したイスラエル人人質ラン・グヴィリ氏の両親とベンヤミン・ネタニヤフ首相が面会したと発表した。ガザに残されているイスラエル人人質の遺体は、グヴィリ氏1人のみ。
ネタニヤフ首相は、グヴィリ氏の父イツィク氏と母タリク氏に対し、「ランの帰還は最優先事項だ。ランをユダヤ教式埋葬のために帰還させる取り組みが、技術官僚による委員会設置に関する宣言の影響を受けることはない」と明確に伝えたという。
イスラエル人の人質家族でつくる「人質・行方不明者家族フォーラム」は、「ラン・グヴィリがガザにいる限り、第2段階など存在しない。(第1段階の条件である)ランの帰還という段階が先だ」と強調した。
イスラエル政府は、グヴィリ氏の遺体返還をハマスが意図的に遅らせていると非難。第1段階の条件の一つである、ガザとエジプトの境界にあるラファ検問所の再開について、遺体が返還されるまで行わないとしている。
24歳のイスラエル人警官グヴィリ氏は、2023年10月7日のハマスによるイスラエル南部襲撃でガザに連れ去られた251人のうちの1人。この攻撃ではイスラエルで約1200人が殺害された。
イスラエルはこの攻撃を受けてガザでの軍事作戦を開始。ハマス運営のガザ保健省によると、これまでに7万1430人以上が殺されている。











