フィンランド、「自国への核兵器持ち込み容認」の法改正へ ロシアの脅威を念頭

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フィンランド政府は5日、自国領内への核兵器の持ち込みを長年禁止してきた政策を転換し、容認する方針だと明らかにした。これにより、北大西洋条約機構(NATO)の核抑止政策に、いっそう足並みをそろえられるとしている。
アンティ・ハッカネン国防相は、2022年にロシアがウクライナへの全面侵攻を開始して以降、フィンランドと欧州の安全保障環境が「根本的かつ大きく変化した」と述べた。
フィンランドは数十年にわたり軍事的に中立を保ってきた。しかし、ロシアの脅威に対する懸念の高まりを受け、2023年にNATOに加盟した。
1987年に制定されたフィンランドの原子力法は、平時・戦時を問わず、核爆発物の自国への輸入、国内での製造、保有、爆発を禁止している。
政府案はこの方針を転換し、「フィンランドの軍事防衛に関連する場合に、核兵器をフィンランドに持ち込むこと、国内で輸送・引き渡し・保有すること」を可能にするものだと、ハッカネン氏は説明した。
ハッカネン氏は5日の記者会見で、「法改正は(NATO)同盟の一員としてのフィンランドの軍事防衛を可能にし、NATOの抑止力と集団防衛を最大限に活用するために必要だ」と述べた。
集団防衛というNATO創設の原則は、NATOの核抑止戦略の基盤となっている。 NATO条約の第5条は、一つの加盟国に対する攻撃はすべての加盟国に対する攻撃とみなすと定めている。
NATO加盟国には複数の核保有国が含まれることから、加盟国への直接攻撃は核による報復のリスクを伴う。軍備管理・核不拡散センターによると、アメリカの核兵器は複数の欧州諸国に配備されている。
フィンランド政府案の実現には、原子力法と刑法の両方の改正が必要となる。
中道右派で連立政権第1党の国民連合は、4月2日まで意見を募ったうえで、改正案を議会に提出するとしている。
フィンランドは、ロシアと全長1340キロの国境を接している。これは、欧州連合(EU)加盟国とNATO加盟国の中で最も長い。フィンランドの指導者たちは、ロシアがウクライナに全面侵攻を開始して以降、自国の安全保障環境が悪化していると繰り返し警鐘を鳴らしてきた。
2023年4月にフィンランドが31カ国目のNATO加盟国となったことは、NATOの東方拡大を長年批判してきたロシアのウラジーミル・プーチン大統領にとって、戦略的な後退だと広く受け止められた。隣国スウェーデンも2024年にNATOに加盟した。
以来、NATOは北極圏やバルト海、そして2カ国の加盟により拡大した東側の境界に沿って軍事プレゼンスを強化している。
フィンランド政府の今回の方針は、ウクライナでの戦争や、世界的な不安定化への対応として、欧州各国が防衛協力を強める中で示された。
複数のNATO加盟国では昨年、空港や空軍基地の上空でドローンの目撃情報が相次ぎ、航空便に混乱が生じた。欧州の一部当局者は、ロシアの「ハイブリッド戦争」との関連を指摘している。ロシア政府は関与を否定したが、一連の事案は集団防衛をめぐる議論を再燃させた。
2日にはフランスとドイツが、核抑止力に関連する欧州のパートナーとの協力を強化すると発表した。
スウェーデンのウルフ・クリステション首相は先に、自国領内に外国部隊や核兵器を配備しないというドクトリン(基本原則)について、スウェーデンが「まったく異なる状況」に置かれた場合には「適用されない」と述べていた。











