EUのドローン防衛システム、2027年末までの完全導入目指すと 対ロシア防衛を強化

白いロシア製ドローンが上空を飛んでいる

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画像説明, 複数のEU加盟国はすでに、多層的なドローン防衛計画を支持している。画像はウクライナを標的にするロシア製ドローン

欧州連合(EU)のカヤ・カラス外務・安全保障政策上級代表は16日、新たな対ドローンシステムの「完全運用を2027年末までに」実現する方針を示した。ロシアに対する防衛体制の強化と、今後起こり得る紛争への備えを2030年までに完了させる取り組みの一環だという。

カラス氏は、ウクライナで続くロシアによる戦争と、ロシアがEU諸国を攻撃するかもしれないという懸念に言及し、「ドローンはすでに、戦争のあり方を再定義しつつある。誰にとっても、ドローン防衛はもはや任意ではない」と述べた。

欧州委員会が発表した「防衛ロードマップ」は、EUの東側境界の防衛強化や、空中および宇宙空間における「シールド」(防衛網)の構築も提案している。

複数のEU加盟国では、ロシアによる領空侵犯が相次いでおり、アメリカのドナルド・トランプ大統領はEUに自衛力を強化するよう促している。

欧州では、たとえウクライナでの戦争が終結しても、ロシアは欧州の西側へと侵略し続けるかもしれないとの懸念が高まっている。また、トランプ氏が欧州の安全保障に長期的に関与していくのか不透明な状況も続いている。そうした中で、今回の防衛計画が策定された。

16日にベルギー・ブリュッセルで記者団の取材に応じたカラス氏は、「ウクライナでの戦争が終わっても危険が無くなるわけではない。ロシアに対する防衛体制を強化する必要があるのは明らかだ」と語った。

白いブラウスを着た金髪のカヤ・カラス氏が、「平和と防衛体制の維持」というスローガンが書かれたグレーの背景を前に立ち、前方を見ている

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画像説明, 欧州連合のカラス外務・安全保障政策上級代表は、ウクライナでの戦争が終わっても欧州各国で危険が無くなるわけではないと述べた

ウクライナでの戦争が近く終結する可能性は低いとされる中、トランプ氏は16日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と「長時間」電話で協議したと発表した。翌17日には、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領との直接会談を控えている。

トランプ氏はこのところ、プーチン氏がウクライナでの戦争終結に向けた動きを見せなければ、アメリカがウクライナに長距離巡航ミサイル「トマホーク」を供与する可能性があると示唆している。ロシア側は、トマホークの供与は「事態激化」に等しいと主張している。

カラス氏と共に記者団の取材に応じた欧州委員会のアンドリウス・クビリウス委員(防衛担当)は、「我々のロードマップは、2030年までに防衛体制を整えるために必要な、すべての主要なマイルストーンを示している。これにより、我々はロシアの侵略行為を抑止し、戦争を回避し、平和を維持することができる」と強調した。

プーチン氏は、ロシアはEUへのいかなる攻撃も計画していないと、繰り返し主張している。6月には、「ロシアが欧州や北大西洋条約機構(NATO)諸国への攻撃を計画しているという作り話は、信じがたいうそで(中略)ナンセンスだ」と述べている。

欧州委員会は、27カ国からなるEUは2030年までに「高強度紛争を含むあらゆる危機に対応できる」体制を整えるべきだとした。

また、防空や対ミサイル防衛、砲兵システムを含む「重要な(防衛)能力のギャップ」を「共同開発と調達によって埋める」よう、EU加盟国に求めた。

多くのEU加盟国は、NATOにも加盟している。NATOのマルク・ルッテ事務総長は、東側境界に位置する加盟国を空からの脅威から守るために、加盟国が連携していると述べた。

EUは、EUの「主要な」防衛プロジェクトをNATOと「緊密に連携して」発展させる方針で、西側の防衛同盟の活動と重複することはないと強調している。

EUは防衛計画への総拠出額について、見積もりは示していないが、欧州委員会のクビリウス委員によると「数千億ユーロという額ではない」という。

この「防衛ロードマップ」を運用するには、来週開催される首脳会議で加盟国の承認を得る必要がある。

すでに多数のEU加盟国が、ロシアのドローンを迅速に検知し、追跡・破壊するための多層的な「ドローンの壁」を構築する計画への支持を表明している。

相次ぐロシアの領空侵犯

ここ数週間、ポーランドルーマニアが自国の領空にロシア製ドローンが侵入したと発表するなど、EUとロシアの間で緊張が高まっている。ポーランドとルーマニアはいずれもNATO加盟国。

同じくNATO加盟国のエストニアも先月、ロシア軍の戦闘機「ミグ31」3機が12分間にわたり領空を侵犯したと発表。NATO加盟国に対応を協議するよう要請した。

ロシア国防省は、自軍の戦闘機は「国際空域の規則を厳格に順守した定期飛行中」で、「他国の国境を侵犯していないことは客観的な監視によって確認されている」と主張した。

欧州の多数の政治家や軍事専門家は、NATOの対応能力を試すとともに、同盟国間に意見の対立を招くことがロシアの狙いだと指摘している。

一部のNATO加盟国はこうした事態を受け、東側境界の安全確保のために部隊や砲兵、防空システムを配備している。