ブレア元英首相、ガザ和平の監督を支援 トランプ氏の計画に当事者が合意なら

座ってハンドマイクで話すブレア氏。濃紺のスーツに白いシャツ、青いネクタイ姿。左手を上げている。背景は抽象的な模様の入った緑青のグラデーションの画像

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画像説明, トニー・ブレア元英首相

サム・フランシス政治記者

アメリカのドナルド・トランプ大統領は29日、パレスチナ・ガザ地区での戦争を終わらせるアメリカの計画を監督する国際機関に、イギリスのトニー・ブレア元首相が参加を望んでいると述べた。

トランプ氏のこの日の発表によると、イスラエルとイスラム組織ハマスがアメリカの計画を受け入れた場合、トランプ氏がトップを務める新たな「平和評議会」が、一時的にガザの統治を監督する。そのメンバーとして、トランプ氏は最初にブレア氏の名前を挙げ、「他の国の指導者たち」の名前も追って発表されるとした。

この評議会は、イスラエルとハマスの2年近くにわたる紛争の終結を目的とした20項目からなる計画の一部。計画にはこのほか、ガザにおける非武装化や再開発などが含まれている。

ブレア氏はこの計画について、「2年に及ぶ戦争、惨状、苦しみを終わらせる最良のチャンスだ」と述べた。

停戦交渉に詳しいパレスチナの消息筋がBBCに話したところでは、ハマス側はアメリカの20項目の提案をすでに受け取っているという。

これよりも先、ハマス幹部はBBCに、戦争終結のためのすべての提案を検討する用意が、ハマスにはあると話した。ただ、いかなる合意も、パレスチナの利益を守り、イスラエルをガザから完全撤退させ、戦争を終わらせるものでなければならないと強調した。

ブレア氏は、1997~2007年に英首相を務めた。2003年にはイラク戦争にイギリスを参戦させた。退任後は、アメリカ、欧州連合(EU)、ロシア、国連からなる「カルテット」の中東担当特使を務め、パレスチナの経済発展と2国家解決の実現に向けた環境整備に取り組んだ。

このところは、ガザの将来に関するアメリカなどとのハイレベル協議に参加してきた。8月には、米ホワイトハウスでトランプ氏との会合に加わり、ガザ計画を話し合った。アメリカのスティーヴ・ウィトコフ中東担当特使は、この会合を「非常に包括的」と表現したが、その中身はほとんど明らかにされていない。

トランプ氏が29日夜に発表した計画では、双方が合意すれば、戦争は「直ちに終結」する。

イスラエル人の人質は、生存者20人全員と、死亡したとみられる20数人の遺体が、72時間以内にイスラエルに戻る。

イスラエルは、パレスチナ人の終身刑の囚人250人と、今回の戦争が始まった2023年10月7日から拘束されたままの1700人を釈放する。

ガザには「完全な支援」が直ちに送られる。情勢の安定のために多国籍軍が展開し、治安維持を支援し、地元警察を訓練する。イスラエル軍は段階的に撤退する。

計画には、「ガザは、ガザ住民のための公共サービスと自治体の日常的な運営に責任を負う、専門的かつ政治色のないパレスチナ委員会の一時的な暫定統治下に置かれる」と書かれている。

そして、「この委員会は、要件を満たすパレスチナ人と外国の専門家らで構成され、新たな国際的な暫定機関『平和評議会』が監視・監督する。同評議会はドナルド・J・トランプ大統領がトップを務めるもので、トニー・ブレア元首相や国家元首ら他のメンバーは追って発表される」と記されている。

ハマスについては、「直接、間接、いかなる形でも」ガザの統治で役割をもたないと書かれている。

トランプ氏は、ハマスがこの提案を拒否すれば、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相が「しなければならないことをする」ことになり、トランプ氏はそれを「全面的に支持する」と述べた。

今回の計画は、最終的にパレスチナ国家が誕生する可能性を残している。ただし、パレスチナ自治政府が抜本的な改革を実施した場合に限るとしている。

トランプ氏は発表の際、パレスチナ国家を「愚かにも」承認した国々があると批判した。イギリス、オーストラリア、カナダ、フランスなどは先週、承認を表明した。

ブレア氏、トランプ氏に感謝

ブレア氏は今回の発表を受けて、「トランプ大統領は大胆かつ賢明な計画を打ち出した。合意されれば、戦争終結、ガザへの即時救済、ガザの人々にとっての明るくより良い未来のチャンス、イスラエルの絶対的かつ永続的な安全保障、人質全員の解放が確実になるものだ」とした。

また、「2年間にわたる戦争を終わらせる最良のチャンスを提供するものだ。トランプ大統領のリーダーシップ、決意、コミットメントに感謝する」とした。

さらに、「特に、新たなガザを監督する平和評議会の議長を務めるという彼の意志は、ガザの未来、イスラエル人とパレスチナ人が平和への道を見いだす可能性、そして過激主義の勢力に対抗し、国家間の平和と繁栄を促進するための、広範な地域的・世界的同盟の可能性に対する支持と信頼の大きなシグナルだ」とした。

今回の計画は、トランプ政権が以前から掲げていた構想を転換することを意味する。トランプ氏は2月、アメリカがガザ地区を占領し、「中東のリヴィエラ」を建設すると宣言していた。これはパレスチナ人の強制移住を伴うもので、国際法に違反する。ブレア氏側はこの案を支持しないと表明している。

ハマスは2023年10月7日にイスラエルを攻撃し、約1200人を殺害、251人を人質として拘束した。これを受けたイスラエルの攻撃により、ガザではこれまでに少なくとも6万6055人が殺害されていると、ハマスが運営するガザ保健当局は発表している。

国連が支援する総合的食料安全保障レベル分類(IPC)は8月、ガザ市とその周辺地域で飢饉(ききん)が起きているとの報告書を公表。今月初めには、国連人権理事会の調査委員会が、イスラエルがガザのパレスチナ人に対してジェノサイド(集団殺害)を行っていると認定した。イスラエルは事実ではないと強く否定している。