ブレア元英首相、「ガザの戦後」めぐるホワイトハウス協議に参加

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米ホワイトハウスで27日、ドナルド・トランプ大統領らがパレスチナ・ガザ地区の戦後計画を協議し、イギリスのトニー・ブレア元首相が参加したことを、BBCは確認した。ガザではイスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘が続いている。
ブレア氏は2007年に首相を退任後、中東担当特使を数年間務め、パレスチナ地域の経済開発と「2国家解決」の条件整備に注力した。
アメリカのスティーヴ・ウィトコフ中東担当特使は、アメリカは戦争終結の「翌日」に向けて「非常に包括的な」計画を策定中だとしている。しかし、協議の詳細についてはほとんど明かされていない。
一方でイスラエルのギデオン・サール外相は、パレスチナ国家に関する計画について記者団から問われた際、そのような計画は存在しないと答えた。
ホワイトハウスでの協議に先立ち、ガザ市制圧に向けて準備を進めるイスラエル軍は、同市からの「避難は不可避」だとパレスチナ人に警告を発していた。
複数の目撃者によると、イスラエル軍の戦車が夜間にガザ市内の新たな地域に侵入。住宅を破壊し、さらに多くの住民が避難を余儀なくされたという。
イスラエル軍の直近の進軍を受け、すでに数千人が避難している。その大半は、ガザ市内のほかの地域へ移っている。同市には今も約100万人のパレスチナ人が残っている。
イスラエルは8月上旬、ガザ全域の占領計画を発表した。同国はガザ市を「ハマスの最後の拠点」だとしている。
国連やNGOは、イスラエルのガザ市への攻撃は「恐ろしい人道的影響」をもたらすと警告している。国連は先週、ガザ市で飢饉(ききん)が発生していると発表していた。
国連安全保障理事会のアメリカを除くすべての理事国は27日、ガザでの飢饉は「人為的な危機」だとし、国連が支援する総合的食料安全保障レベル分類(IPC)の最新報告書の内容に「深刻な懸念と不安」を感じているとする声明を出した。
同声明は、人道支援への制限を「即時かつ無条件で」解除するようイスラエルに求め、飢餓を「戦争の武器」として使用することは国際法で禁じられていると改めて強調した。
年内に戦争終結と米特使
26日の米FOXニュースのインタビューで、ウィトコフ氏は、ガザでの戦争は今後4カ月以内に終結する可能性があると語った。
「今年末までには、何らかのかたちで解決する」と、ウィトコフ氏は述べた。
戦後のガザ統治計画については、「非常に包括的な計画を策定中で、それがどれほど強固で善意に満ちたものなのか、そして、トランプ大統領の人道的な動機を反映しているものなのか、多くの人々が理解することになるだろう」と述べた。
ホワイトハウスは「トランプ大統領は戦争の終結と、同地域の全ての人に平和と繁栄をもたらすことを望んでいることを、明確に示してきた」としている。
戦後のガザに関する提案の詳細はまだ公表されていないが、トランプ氏は2月に、ガザ住民を近隣諸国に恒久的に移住させ、アメリカがガザを「中東のリヴィエラ」に変えるという案を示唆していた。リヴィエラは、リゾート地として有名なフランスからイタリアにまたがる地中海沿岸地域の呼称。
米ニュースサイト「アクシオス」によると、トランプ氏の娘婿で、政権1期目に大統領上級顧問を務めたジャレッド・クシュナー氏も27日の協議に出席したという。
ガザ市の状況
ガザ市では26日夜、北部イバド・アル・ラフマン地区に複数の戦車が入り、一部の住宅を破壊したと、ロイター通信が目撃者の話として報じた。
「突然、戦車がイバド・アル・ラフマン地区に突入したとの知らせを受けた。爆発音がどんどん大きくなり、私たちがいる地域に人々が逃げてくるのが見えた」と、現場から約1キロメートル離れたジャラ通りの自宅から、サアド・アベド氏は報告した。
27日には、戦車はさらに北のジャバリア地区へ撤退したと報じられている。イスラエル軍はジャバリア地区でも活動している。
ガザ市のシェジャイヤ、ザイトゥン、サブラの各地区でも爆撃が続いた。
イスラエル軍は27日に声明で、ジャバリア地区とガザ市郊外で戦闘を行い、「テロリストの小集団」を排除し、武器貯蔵施設を発見したと発表した。
イスラエル軍のアラビア語報道官アヴィチャイ・アドラエ氏は27日、「ガザ市からの非難は不可避」だとソーシャルメディアに投稿。ガザ市の住民にガザ南部への移動を促した。
アドラエ氏はガザ南部には「空き地がある」としたうえで、移動した家族には「最も寛大な人道援助」が提供されるとした。
ただ、国連とNGO団体は先週、数十万人をガザ市からガザ南部へ強制的に避難させることは「さらなる惨事の引き金となり、強制移送に該当する可能性がある」と警告している。
また、避難先とされる南部地域は「過密状態で、大勢の人間の生存を維持するには設備が整っていない」とも指摘している。
イスラエルで停戦求めるデモ
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、停戦と人質解放に関するハマスとの間接交渉が先月決裂した後、ガザ地区全体を制圧する意向を表明した。
しかし、ガザへの攻撃を続けるネタニヤフ氏は、戦闘停止を求める国内外からの圧力に直面している。
イスラエル・テルアヴィヴでは26日夜に数万人の抗議者が集まり、ハマスに拘束されているイスラエル人の人質を帰国させるための停戦合意の実現を訴えた。ガザに残る人質50人のうち今も生存しているのは20人だけとみられる。
イスラエルは、周辺地域の仲介役が提案した60日間の停戦と人質の半数を解放する案を受け入れていない。イスラエルは自国が提示する条件に沿って、人質全員の帰国と戦争終結を実現する包括的な合意しか受け入れないと主張している。
ハマス率いる勢力は2023年10月7日、イスラエル南部を攻撃し、約1200人を殺害、251人を人質としてガザに連れ去った。それを受け、イスラエル軍はガザで軍事作戦を開始した。
これ以来、ガザでは少なくとも6万2900人が殺されたと、ハマスが運営するガザ保健省は発表している。
大半のガザ住民は繰り返し移動を余儀なくされており、ガザ地区では住宅の9割以上が損壊または全壊したと推定されている。医療、水、衛生、衛生システムも崩壊している。国連が支援する総合的食料安全保障レベル分類(IPC)は、ガザ市および周辺地域で飢饉(ききん)が発生していることを確認している。











