イスラエル軍、ガザ市制圧作戦の第1段階を開始と発表

空爆によって土煙などが立ち込める中、パレスチナの人々があわてて避難している

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画像説明, パレスチナ・ガザ地区北部ガザ市のジャバリア地区でイスラエルが空爆を実施した

イスラエル軍は20日、パレスチナ・ガザ地区のガザ市全域の制圧・占拠に向けた地上攻撃の「予備的な行動」を開始し、すでに同市の郊外を掌握したと発表した。

軍報道官によると、部隊はすでにガザ市のゼイトゥンとジャバリアの両地区で作戦を展開し、攻撃の足固めをしているという。この作戦は、イスラエル・カッツ国防相が19日に承認したもので、今週中に安全保障内閣に提出される。

イスラエルはこの作戦のため、予備役の兵士約6万人を9月初めに向けて招集する。

ロイター通信によると、ガザのイスラム組織ハマスは、イスラエルが「罪のない民間人に対する残虐な戦争」を続けるために停戦合意を妨害していると非難している。

イスラエルによるガザ市占領計画の準備が進むにつれ、同市のパレスチナ人数十万人に避難命令が出され、ガザ南部の避難所への移動を命じられることが予想される。

イスラエルの友好国の多くは、この計画を非難している。フランスのエマニュエル・マクロン大統領は20日、「双方の人々に災いをもたらすだけであり、地域全体を永続的な戦争の連鎖に陥れる危険性がある」と警告した。

赤十字国際委員会(ICRC)も、さらなる避難と戦争行為の激化は、ガザの全人口210万人にとって「すでに破滅的な状況を一層悪化させる恐れがある」としている。

イスラエル政府は先月、停戦と人質解放に関するハマスとの間接交渉が決裂した後、ガザ地区全域を制圧する意向を表明した。

イスラエル国防軍(IDF)のエフィ・デフリン報道官は20日の記者会見で、1年10カ月にわたって続いている戦争により、ハマスは「打ちのめされ、傷ついている」と述べた。

また、「我々はテロ組織の政府および軍によるテロの拠点であるガザ市で、ハマスへのダメージを深める」、「地上と地下でテロのインフラの損害を深め、住民のハマスへの依存を断ち切る」と述べた。

デフリン氏はさらに、IDFは作戦の開始を「待つことはしない」と主張。「私たちは予備的な行動を開始しており、すでに現在、IDF部隊はガザ市の郊外を掌握している」と付け加えた。

同報道官によると、ガザ市ゼイトゥン地区では2旅団が展開している。同地区では最近、武器が保管されている地下トンネルが見つかったという。また、ジャバリア地区では1旅団が活動しているという。

また、「民間人への危害を最小限に抑える」ため、ガザ市の市民には避難を求める警告が出されるだろウと述べた。

停戦合意案にイスラエルは未回答

ガザでハマスが運営する民間防衛隊のマフムード・バサル広報担当は19日、ガザ市内のゼイトゥンとサブラ地区の状況は「非常に危険で耐え難い」とAFP通信に話した。

AFP通信によると、ガザ全域で20日、イスラエルによる空爆と銃撃で25人が殺害された。死者には、ガザ市西部のシャティ難民キャンプのバドル地区にある自宅が爆撃された子ども3人とその両親が含まれているという。

IDFのデフリン氏は、ガザでハマスに拘束されている人質50人(うち20人は生存しているとみられている)への危害を防ぐため、IDFはあらゆる手段を講じていると述べた。人質の家族らは、地上攻撃によって人質が危険にさらされることを恐れている。

ICRCは、ガザでの軍事活動が激化すれば、パレスチナ住民と人質の両方が破滅的な状況に直面すると警告。即時の停戦と、ガザ各地に人道支援物資が迅速かつ妨害されることなく届けられることを求めた。

仲介国のカタールとエジプトは、停戦合意を実現しようと、60日間の停戦と人質の約半数解放という新たな案を提示している。

一方、イスラエルはまだ正式な回答を提出していない。だが、イスラエル政府関係者らは19日、部分的な合意はもはや受け入れないとし、すべての人質を解放する包括的な合意を要求した

ロイター通信によると、ハマスは20日の声明で、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相が仲介国の停戦案を無視していると非難した。そして、ネタニヤフ氏こそが「あらゆる合意にとっての真の障害」だとした。

ハマス率いる勢力は2023年10月7日、イスラエル南部を攻撃し、約1200人を殺害、251人を人質としてガザに連れ去った。それを受け、イスラエル軍はガザで軍事作戦を開始した。

ハマスが運営するガザ保健当局によると、以来、ガザでは少なくとも6万2122人が殺されている。ガザ保健当局の発表は、死傷者に関する統計で最も信頼できるものとして、国連などが引用している。