イスラエル、人質全員の解放を要求 ガザ停戦案の受け入れに疑問符

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イスラエル政府関係者は19日、パレスチナ・ガザ地区で拘束されている人質50人について、全員の解放を要求すると述べた。前日にはガザのイスラム組織ハマスが、60日間停戦するという案への同意を示したが、この新たな案をイスラエルが受け入れることに疑問符が付いた。
この案はカタールとエジプトが示していたもので、停戦中に人質の半数近くを解放するという内容。カタールによると、イスラエルが以前受け入れたアメリカによる提案と「ほぼ同じ」だという。
イスラエルは今回の案を明確に拒絶してはいない。しかし、同国政府は「部分的な合意」には関心がないと、ダヴド・メンサー報道官はBBCに説明。「今や状況は変わった。(イスラエルの)首相はガザの将来計画を打ち出している」と述べた。
パレスチナの情報筋によると、今回の案では、人質の生存者10人と死者18人の遺体がイスラエルに引き渡される。同時に双方が、恒久的な停戦と残りの人質の返還について交渉することになっている。
イスラエルは、1年10カ月にわたって戦争が続く中、人質50人のうち今も生存しているのは20人だけとみている。
イスラエルの内閣は今週末、軍によるガザ市占拠の計画を承認する見通し。同市ではすでに何千人もの住民が、激化するイスラエルの空爆のために避難を強いられている。
停戦合意をめぐっては、イスラエルとハマスの間で先月、間接交渉が決裂。その後、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、パレスチナの全住民約210万人の大半が避難している地域を含む、ガザ全域を制圧する意向を表明した。
一方、ハマスは18日夜に声明を発表し、ハマスと他のパレスチナ組織が、前日にカイロで仲介国のエジプトとカタールからハマス代表団に示されていた停戦案に同意したとした。
ハマス幹部のタヘル・アル・ヌヌ氏は、「包括的な合意につながる部分的な合意」である今回の案に、いかなる修正も求めていないと、アル・アラビーTVに話した。
また、合意発効の初日には恒久的停戦の合意を目的とした交渉が開始されるとも強調した。
カタール外務省のマジェド・アル・アンサリ報道官は19日、ドーハで記者団に、今回の案はアメリカのスティーヴ・ウィトコフ中東担当特使が6月に提示したものと「98%」似ていると述べた。
イスラエルは当時、ウィトコフ氏の案を受け入れたが、ハマスは一時停戦が恒久的な停戦につながる保証がないなどとして拒んだ。

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さらなる交渉を要望か
パレスチナ当局者がBBCに説明したところでは、今回のエジプトとカタールの案では、ハマスが停戦初日、生存している人質8人を解放し、50日目にさらに2人を解放する。死んだ人質の遺体は、7日目と30日目に5体ずつ、60日目に8体をそれぞれ引き渡す。
それと引き換えに、イスラエルはガザ出身の拘束者1500人と、イスラエルで終身刑に服しているパレスチナ人囚人150人、15年以上の刑に服している囚人50人をそれぞれ釈放するという。
停戦中、ガザに展開しているイスラエル軍は、イスラエルとの境界から800~1200メートルに位置する地域に撤退する。だが、ガザ南部のモラグとフィラデルフィ軍事回廊での駐留は続けるという。
停戦交渉に詳しいエジプトの情報筋が19日午後にBBCに話したところでは、仲介国はイスラエルから、新たな案に対する正式な反応をまだ受け取っていないという。
ただ、イスラエル首相官邸の関係者は、同国のジャーナリストらに、「イスラエルの方針は一貫して変わっていない。イスラエルは、戦争を終結させるために閣議で決定された原則に従い、人質50人全員の解放を要求する」と述べた。
これは、新たな案を明確に拒むものではないが、イスラエルがさらなる交渉を望んでいる可能性を示唆している。
ネタニヤフ氏は、ハマスの敗北まで戦争を続け、その後にガザを併合するよう主張する、極右の連立政権パートナーからの圧力に直面している。
一方、人質の家族やイスラエル国民の大多数は、ハマスと合意して今すぐ戦争を終結させ、人質全員を取り戻すようネタニヤフ氏に求めている。
ハマス率いる勢力は2023年10月7日、イスラエル南部を攻撃し、約1200人を殺害、251人を人質としてガザに連れ去った。それを受け、イスラエル軍はガザで軍事作戦を開始した。
ハマスが運営するガザ保健当局によると、以来、ガザでは少なくとも6万2064人が殺されている。
ガザ住民のほとんどはたびたび移動を余儀なくされ、住宅の9割以上が損壊または全壊したと推定されている。医療、水、衛生、衛生システムは崩壊し、国連が支援する食料安全保障の専門家は、「飢饉(ききん)という最悪のシナリオが進行中だ」と警告している。













