【ミラノ・コルティナ・パラ】 開会式でロシア代表選手が行進、ウクライナなどボイコット イラン選手は出場できず

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ミラノ・コルティナ・パラリンピックは6日夜(日本時間7日午前)、イタリア北部の都市ヴェローナの「ヴェローナ・アリーナ」で開会式が催され、正式に幕を開けた。今大会はパラリンピック開始から50年目の節目。ウクライナ全面侵攻が始まって以降、パラリンピックやオリンピックで国を代表して出場することが認められてこなかったロシアとベラルーシの選手が、それぞれの国の国旗と共に入場した。これに抗議するウクライナなどいくつかの国は、選手が行進しなかった。一方、緊迫した情勢が続くイランの選手は、大会に出場できなくなった。
ヴェローナでは競技は開かれないが、2000年の歴史をもち、ユネスコ世界遺産に登録されている円形闘技場が、開会式の会場となった。2月にあったミラノ・コルティナ・オリンピックの閉会式も同じ場所で催された。
大会は15日まで続き、55カ国から計660人以上の選手が6競技に参加する。
日本は44人、イギリスは25人の選手団を送り込んでいる。イランから唯一出場予定だったクロスカントリースキーの選手は、中東での紛争により安全に移動できないため出場できなくなったと、6日に発表された。
この日の開会式では選手行進が行われたが、大会参加55カ国のうち実際に選手が入場したのは28カ国にとどまった。
日本は、アイスホッケーの福西朱莉選手と中村俊介選手らが行進した。スノーボードの小須田潤太選手と車いすカーリングの小川亜希選手は旗手として、離れた場所から映像で参加した。
イギリス・チームは、政治的な理由ではなく移動面での事情から、選手が行進しなかった。

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ウクライナは、ロシアとベラルーシの選手が国旗の下で参加することに抗議し、選手が行進しなかった。ボランティアがウクライナ国旗を手に入場すると、観客席からは、この夜で最大級の歓声が上がった。
抗議以外の理由で開会式に参加しなかった選手団は、事前に収録した旗手と選手らの映像が、イタリアのハウス音楽アーティスト「メドゥーサ」による大音量の音楽と共に会場に流れた。

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ヴェローナは、シェイクスピアの戯曲「ロミオとジュリエット」の舞台で、「愛の都」として知られる。これを受けて式典では、モダンダンスで「ロミオとジュリエット」を再現し、恋に落ちる人々を描いた。
開会式は、ミラノとコルティナに設置された二つのパラリンピック聖火台に聖火が同時にともされ、クライマックスを迎えた。
国際パラリンピック委員会(IPC)のアンドリュー・パーソンズ会長はスピーチで、「パラリンピアンたちは、可能性というものを再定義し、人間の能力の限界を押し広げ、人間が尊重され成功の機会を与えられた時に何を成し遂げられるのかを示す準備ができている」と述べた。
さらに、「これからの日々で、過去最多の選手と参加国が冬季パラリンピック競技の最高峰を披露する。卓越したスポーツのパフォーマンスを通して、パラリンピアンたちは、障害はそれ自体が制約ではなく、人間の多様性の素晴らしい側面なのだと世界に示す」と強調した。
そして、「パラリンピックの競技は意識を変え、あらゆる場所で人々を鼓舞することになる。会場にいる人、自宅で観戦する人、自らの未来を夢見る人、そしてスポーツの力をまだ発見していない人たちを」と述べた。
軍事紛争に揺れる大会
今大会は、ロシアの選手6人とベラルーシの選手4人が出場する。2022年に始まったウクライナ全面侵攻で、ロシアとベラルーシの選手の出場が禁止されて以来、両国の選手が自国旗の下でパラリンピックに出場するのは初めてとなる。
このことは、大会前から大きな関心を集めてきた。ウクライナなど7カ国は抗議のため、この日の開会式をボイコットした。
イギリスは、今大会の開会式および閉会式に閣僚や高官は出席しないと発表している。政府報道官は、「ウクライナに対する野蛮な全面侵攻が続く間、ロシアとベラルーシは国際スポーツにおいて代表されるべきではないと、私たちは一貫して明確に表明してきた」と理由を説明している。
パラリンピックでロシア国旗が掲揚されたのは、同国で開催された2014年ソチ大会が最後。当初は国ぐるみのドーピング問題が理由だったが、その後、ウクライナでの戦争をめぐる追加制裁によって、ロシア国旗は大会から排除された。
IPCのパーソンズ会長は開会式のスピーチで、「冬季パラリンピックは、私たちの過去をたたえ、現在を祝い、より包括的な未来を形作る。そして今、私たちはこれまで以上に未来を必要としている」と主張。
さらに、「私は4年前、世界で恐ろしいことが起きていると話した。残念ながら、状況は改善していない」、「国によっては指導者の名前の方が有名だというこの世の中で、私は選手たちの名前によって、その国を知りたいと思う」と述べた。
「スポーツは、もう一つの前進の道、もう一つの視点を世界に提示する。パラリンピックは、本当に違う何かを提示する。ここでは、違いとはお互いを分断する理由ではなく、力の源だ。ここでは、各国が隣国として集まり、選手たちは激しく、公正に競う。だが、互いとスポーツのルールを尊重する点で一致団結している」

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開会式の前には、イランから唯一出場予定だったクロスカントリースキーのアブルファズル・ハティビ・ミアナエイ選手が、大会への参加を取りやめると発表された。
IPCのパーソンズ会長は、「世界のスポーツと、何よりアブルファズルにとって、彼が大会に参加できないのは本当に残念だ」、「だが、中東全域で紛争が続いている状況では、人命に対するリスクが大きすぎる」とした。
イランでは2月28日、アメリカとイスラエルが共同攻撃を開始。ミサイル関連施設、軍事拠点、指導部を標的とした。これに対しイランは、イスラエルを含む中東全域への攻撃を開始した。
ミラノ・コルティナ2026大会組織委員会のジョヴァンニ・マラゴ委員長は、開会式のスピーチで、「戦争と悲嘆と苦難によって裂かれ、深く分断された世界の中で、現代の最も劇的な転換点の一つの最中に、この大会は開かれる。そのことを、私たちは無視できない」と強調。
「まさにこの理由から、オリンピック・パラリンピック運動の核心にある平和、包摂、連帯のメッセージは、これまで以上に意義が大きく重要だ」と述べた。
こうしたなか、IPCのパーソンズ会長は6日、ウクライナとの戦争で負傷したロシア兵について、今後のパラリンピック出場を認める考えをBBCに示した。
パーソンズ会長は、「総会がロシアとベラルーシの資格停止解除を決定した際、両国を他のパラリンピック委員会と同様に扱うことが決定された」、「多くの国が軍から選手を募集している。ロシアがそうするとしても、唯一の国ではない」と説明。
「(選手らが)過去に戦場で何をしたかは、私たちにとって問題ではない。もちろん戦争犯罪は別問題だが、私たちがこの(パラリンピック)運動で提供するのは、第2のチャンスだ」と会長は述べた。








