「後戻りはない」とトランプ氏、グリーンランドへの強硬姿勢を強調 ダヴォス会議には遅れて到着か

スーツにネクタイ姿のトランプ氏が、演壇から上半身を乗り出すようにして、記者の話を聞いている。背後にはアメリカ国旗が立てられている

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画像説明, 米ホワイトハウスで記者会見を開くトランプ大統領

アメリカのドナルド・トランプ大統領は20日、デンマーク自治領グリーンランドをアメリカが領有するとの脅しをさらに強め、「後戻りはない」と述べた。

また、グリーンランドを取得するためにどこまで踏み込むつもりかと記者に問われると、トランプ氏は「いずれ分かるだろう」と答えた。

一方、フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、スイス・ダヴォスで開かれている世界経済フォーラムの会合で、「ルールのない世界への転換」について警告した。また、カナダのマーク・カーニー首相は、「古い秩序は戻ってこない」と述べた。

トランプ大統領は21日にダヴォスに到着し、演説する予定だが、米大統領専用機「エアフォース・ワン」で軽微な電気障害が発生したため、機体は引き返すことになった。

この遅延がトランプ氏の日程にどのような影響を及ぼすかは不明。ホワイトハウスは、トランプ氏は別の航空機でスイスに向かうと明らかにした。

トランプ氏は、グリーンランドについて「多くの会合が予定されている」と述べている。

これに先立ち、長時間に及んだ記者会見の中でトランプ氏は、グリーンランドについて「事態はかなりうまく進むだろう」とも語った。

BBCの記者が、北大西洋条約機構(NATO)の分裂という代償を、グリーンランド取得のために支払う覚悟なのかと問うと、トランプ氏は「あらゆる意味で、私ほどNATOのために尽くした者はいない」と答え、こう続けた。

「NATOは満足するだろうし、我々も満足するだろう」

「世界の安全保障のためにそれが必要だ」

しかしトランプ氏はこれよりの前の質問で、NATOがアメリカの支援要請に応じるか疑問だと述べていた。

トランプ氏は記者団に対し、「我々が(NATOを)助けに行くことは分かっているが、彼らが我々を助けに来るのかどうかは、本当に疑問に思っている」と語った。

NATOには現在、32カ国が加盟している。アメリカは創設時の12カ国の一つ。

この同盟は集団防衛を通じて自由と安全を守ることを目的にしており、その中核原則の一つがNATO条約の第5条だ。

この条項では、1カ国または複数の加盟国に対する武力攻撃は、全加盟国に対する攻撃と見なされるとしている。

トランプ大統領は、グリーンランドを取得するために軍事力を行使する可能性を排除していない。先には、米NBCニュースで、武力併合を計画しているのかとの質問に「ノーコメント」と答えた。

黒いトップスを着た女性が口をへの字にしている

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画像説明, グリーンランド自治政府のナーヤ・ナサニールセン産業・天然資源相

一方、20日夜に放送されたBBCの報道番組「ニューズナイト」で、グリーンランド自治政府のナーヤ・ナサニールセン産業・天然資源相は、グリーンランドの人々はトランプ氏の要求に「当惑している」と述べた。

ナサニールセン氏は、「私たちはアメリカ人になりたいわけではなく、その点については非常に明確にしてきた」と語った。

また、「私たちの文化や、将来において自分たちに何が起きるのかを決める権利に、どれほどの価値を置いているのか」と指摘した。

ダヴォスでも各国指導者が言及

ダヴォスでの会合を前に、トランプ氏は、マクロン仏大統領とNATOのマルク・ルッテ事務総長から送られてきたとするテキストメッセージのスクリーンショットを、自身のソーシャルメディアで共有した。

その中でルッテ事務総長は、グリーンランドをめぐる問題について前進する道を見いだすことに尽力していると述べている。一方でマクロン大統領は、「あなたが何をしているのか理解できない」と書いた上で、パリで他の首脳らとの会合を主催する用意があると伝えていた。

欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は20日、ダヴォス会議の出席者に向けた演説でこの問題に直接言及し、北極圏の安全保障をめぐってヨーロッパは「全面的に関与している」と強調した。

ただし、その実現は共同で取り組むことによってのみ可能だとした上で、トランプ氏が提案する追加関税は「誤りだ」と述べた。

トランプ大統領は、グリーンランドの領有権獲得に反対する欧州諸国に追加関税を課すと表明。2月1日からグリーンランド買い取りの合意が成立するまで、イギリスからアメリカへの「あらゆる物品に」10%の関税を追加で課すと説明した。6月1日からは税率を25%に引き上げるとした。

フォン・デア・ライエン委員長は演説で、欧州連合(EU)はグリーンランドとデンマーク王国に「全面的な連帯」を示していると付け加え、両者の主権には「交渉の余地がない」と強調した。

カナダのマーク・カーニー首相も演説でこの意見に呼応。NATO第5条に対するカナダの関与は「揺るぎない」と述べた。

カーニー首相はまた、「我々はグリーンランドとデンマークと強く連帯しており、グリーンランドの将来を自ら決定するという彼ら独自の権利を全面的に支持する」と語った。

マクロン大統領は、「いじめよりも敬意を」、「残虐さよりも法の支配を」選ぶと述べた。

トランプ氏はこの直前、マクロン大統領がパレスチナ・ガザ地区をめぐる「平和評議会」への参加要請を断ったと報じられたことを受け、フランス産ワインとシャンパンに200%の関税を課すと脅していた。

マクロン氏は、「新たな関税の際限ない積み重ね」について、特に領土主権に対する圧力として用いられる場合は「根本的に容認できない」と非難した。

マクロン大統領は、トランプ氏の関税の脅しに対し、いわゆる「貿易バズーカ」と呼ばれる「反威圧措置(ACI)」を含めた報復措置をEUが検討すべきだと訴える首脳の一人だ。

欧州議会の国際貿易委員会に近い関係筋によると、EUは昨年7月に合意された米欧貿易協定の承認を停止する意向を示している。実現した場合、アメリカとヨーロッパの緊張はさらに高まるとみられている。