【解説】グリーンランドめぐるトランプ氏の関税脅威、欧州はどう対応するのか

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ニック・ビーク欧州特派員(ブリュッセル)
ヨーロッパの指導者たちがドナルド・トランプ米大統領の2期目に備えてから、まだ1年もたっていない。それでも、現在のジェットコースターのような展開は、最も危険な局面に差し掛かったように感じられる。
トランプ氏は現在、欧州連合(EU)加盟国デンマークの領土保全を支持する国々の頭上に、経済的制裁の脅しをぶら下げている。同氏は17日、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、オランダ、ノルウェー、スウェーデン、イギリスの8カ国に対し、アメリカによるグリーンランド領有に協力しないなら、2月から追加関税を課すと発表した。
欧州首脳らは今後数日中に、この問題をめぐるEUの緊急首脳会議を開く予定だ。もしEUが同様の対抗措置で反撃するなら、アメリカとの全面的な貿易戦争になるリスクがある。
一方、もし欧州が行動を起こさなければ、トランプ氏はこう結論するだろうか。27カ国からなる欧州の連合体は弱く、分断され、おびえているので、(購入もしくは軍事併合で)グリーンランドを取得するという自分の脅しを阻止できないのだと。
フランスのエマニュエル・マクロン大統領はEUの「貿易バズーカ」、つまり「反威圧措置(ACI)」を初めて使う時が来たと述べている。これは、EUが対抗関税を発動し、単一市場へのアクセスを制限し、EUとの利益の大きい契約を申請できなくするものだ。
ACIはもともと、敵対的な外部勢力からの強圧的な干渉に対抗するために設計されたものだ。それだけに、そのACIを発動しようという提案は、実に皮肉だ。
ACIを用意した時に欧州が想定していた相手は、中国だ。アメリカではない。
足元では一部のEU指導者が、マクロン氏のアプローチにへきえきとしつつある。その中には、トランプ氏と比較的良好な関係を保ってきたイタリアのジョルジャ・メローニ首相も含まれる。
メローニ氏は、デンマークを含む一部のヨーロッパ諸国によるグリーンランドへの部隊派遣をめぐり、アメリカとの間に「理解とコミュニケーションの問題」があったと述べた。ただし、何が誤解されたのかは詳しく話さなかった。
この部隊派遣の狙いが、トランプ氏をなだめ、北極圏の防衛強化が必要だという米大統領の主張は全くもってその通りだと、欧州側の同意を示すことだったなら、結果的にはむしろ逆効果だったようだ。欧州諸国の兵がグリーンランドに上陸したその光景は、むしろトランプ氏を挑発し、そのせいで追加関税という最新の脅しに至ったように見える。
欧州側の真意がトランプ氏にうまく伝わらなかったようだというメローニ氏の説明からは、今のEUとアメリカの間の危うい危機について、もっと外交的に取り組むという方針へ、扉が開かれる。
18日にブリュッセルで開かれたEU大使級の緊急会合は、警備のために交通を停めて道路を封鎖し、指導者たちが次々とカメラに向かって見解を述べるという通常のトップレベル会議とは異なる、控えめな会合だった。
誰が次の一手を打つのか、そしてトランプ氏は最新の脅しを少しクールダウンさせるのか、それともむしろ態度を硬化させるのかは、情勢は不透明だ。
これほどの難問に対するEUの行動が、迅速かつ全会一致で決まる見込みは低い。
第2次トランプ政権について、ヨーロッパはこれまでできる限りトランプ氏をなだめようとしてきた。これを老練だと呼ぶ者もいれば、追従的だと呼ぶ者もいる。
しかし今や、トランプ氏は大西洋をまたぐ外交の架け橋を跳ね上げるだけでなく、それを丸ごと吹き飛ばすと脅している。そういう、はっきりとした感触がある。












