【検証】 米ミサイルがイランの軍事基地に着弾、近くには学校 動画分析で分かること

イラン南部上空を飛来する長距離巡航ミサイル「トマホーク」の静止画に、青い縁取りとBBCヴェリファイのロゴを組み合わせたコラージュ画像
画像説明, イラン南部上空を飛来する長距離巡航ミサイル「トマホーク」の静止画
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マーリン・トーマス、シャヤン・サルダリザデ(BBCヴェリファイ)

アメリカとイスラエルが対イラン攻撃を開始した先月28日、イラン南部の小学校で爆発があり生徒や教師らが殺害される事態が起きた。イラン当局は子ども約110人を含む168人が犠牲になったと発表した。当時の様子を捉えた動画を専門家が分析したところ、アメリカの長距離巡航ミサイル「トマホーク」が小学校近くの軍事基地に着弾していたことが示された。

イランの準公式メディア「メフル通信」が3月8日に公表し、BBCヴェリファイ(検証チーム)が本物だと確認した動画には、イラン南部ミナブにあるシャジャレ・タイエベ小学校に隣接するイラン革命防衛隊(IRGC)の基地に、ミサイルが着弾する直前の様子が映っている。

動画説明, イラン南部の学校近くに着弾するアメリカの長距離巡航ミサイル「トマホーク」の映像(注意:不快に感じるかもしれない映像が含まれます)

BBCヴェリファイはこれまでに、衛星画像や検証済み動画、専門家の分析を通じて、小学校周辺が複数の攻撃を相次ぎ受けたことを確認している。

新しく公開された動画について専門家たちは、動画にトマホークが映っている点と、同地域が複数回の攻撃を受けたという証拠から、これがアメリカの作戦行動だったことがうかがえると、BBCに説明した。専門家によると、イスラエルとイランのいずれも、トマホークを保有していない。

また、同時刻にイラン側のミサイル1発が当該地点に着弾し、報告されているほどの死者を出すというシナリオは、極めて考えにくいと、専門家の1人はBBCヴェリファイに語った。

アメリカのドナルド・トランプ大統領は7日、学校への攻撃の責任はイランにあると主張していた。

「あれはイランによるものだと我々は考えている。ご存知の通り、彼らの兵器は非常に精度が低い」と、トランプ氏は大統領専用機「エアフォース・ワン」の機内で記者団に語った。

BBCがアメリカで提携するCBSによると、当該事案に関するアメリカの初期評価は、この致命的な攻撃の責任は、「おそらく」アメリカにあるものの、学校を意図的に狙ったわけではなく、誤って攻撃した可能性があると示している。

イスラエル政府筋はCBSに対し、イスラエルは攻撃に関与しておらず、自軍は学校付近で活動していないと述べた。

イランは、この攻撃の責任はアメリカとイスラエルにあると非難している。アメリカとイスラエルは、公にこれを肯定も否定もしていない。

BBCは新しい動画に対する専門家の評価について、米政府にコメントを求めている。

BBCヴェリファイの動画分析によると、基地内の医療クリニック(イラン・メディアはIRGC海軍の施設と報道)は、動画に映るトマホークの直撃を受けた可能性が高い。同クリニックは小学校から約200メートルの場所にある。この動画は、英調査報道サイト「べリングキャット」が最初に分析した。

検証済みの動画には、トマホークが視認される前に、小学校近くに大きな煙が立ち上る様子が映っている。つまり、動画に映るミサイルが軍事基地で爆発するよりも前に、小学校が攻撃を受けていたことを示唆している。

これは、小学校が、隣接するIRCGの複合施設のほかの建物とほぼ同時に攻撃されたとする、BBCヴェリファイのこれまでの分析と一致する。

検証済みの動画に映っているのはアメリカのトマホークだと、3人の専門家が特定している。

マッケンジー・インテリジェンス・サービスの上級アナリストは、動画に映っている兵器について、航程の「終末段階にあるアメリカのトマホークのあらゆる特徴」がみられると説明した。

トマホークは、潜水艦、艦船、航空機から発射可能な長距離巡航ミサイルで、アメリカが数十年にわたり運用している。

一部の外壁が崩れ、鉄骨がむき出しになった小学校。室内のピンクと緑の壁が見える

画像提供, Anadolu via Getty Images

画像説明, 一部が破壊されたイラン南部ミナブの小学校

米空軍出身の国家安全保障アナリスト、ウェス・ブライアント氏も、動画のミサイルがトマホークだと確認した。

また、IRGCの複合施設全体に複数回の攻撃があったという証拠は、アメリカの作戦が「意図的かつ精密なものだったことを示唆している」と付け加えた。

弾薬専門家で、豪コンサルタント会社アーマメント・リサーチ・サービス代表のN・R・ジェンゼン・ジョーンズ氏は以前、イランのミサイルが、小学校で確認されたような大規模な爆発被害を引き起こす可能性は低いと、BBCヴェリファイに述べていた。その理由として、イランのミサイルの弾頭が「比較的小型」だからだとしていた。

米軍制服組トップのダン・ケイン統合参謀本部議長は2日、米海軍が「南側戦線での攻撃」の一環としてイランに向けて最初に発射したミサイルは、トマホークだったと述べていた。

米国防総省は4日の記者会見で、対イラン戦争の、「最初の100時間」と題された地図を示した。そこには、ミナブ地域を含むイラン南部沿岸で米・イスラエルが攻撃した地点と、イランの防空拠点の位置が記されていた。

イラン国内ではインターネット遮断が続いており、この件の詳細を独自検証するのは難しくなっている。

また、イラン国内で国際ジャーナリストが自由に取材することも制限されているため、先月28日にミナブで起きたことを正確に把握するのは極めて困難だ。