中国、昨年は経済成長目標を達成 「トランプ関税」による混乱の中

工房で水色のマスクを着けたライン労働者が、赤いエレキギターを手にしている

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画像説明, 中国安徽省淮南市の輸出向け楽器の生産ラインで働く人。中国は先週、史上最大の貿易黒字を発表した

アダム・ハンコック・ビジネス記者、スランジャナ・テワリ・アジアビジネス担当編集委員

中国政府は19日、同国経済が昨年、記録的な輸出に支えられ、政府目標の5%の成長を達成したと発表した。

政府が発表した統計は一方で、昨年10~12月の経済成長率が前年同期比4.5%減速したことも示している。

中国は国内消費の底上げに苦労し、不動産危機の長期化や、ドナルド・トランプ米大統領の関税政策による混乱があるなかで、2025年の経済成長率の目標を「5%前後」に設定していた

専門家らは、今回の数値が「二速経済」を示していると指摘する。製造業と輸出が成長を支える一方で、国内では人々は依然として消費に慎重で、不動産市場が引き続き経済の足かせとなっている。

この日の発表は、中国が目標を達成したことを示すものだが、一部のアナリストらは、データの正確性に疑問を呈している。

英調査会社キャピタル・エコノミクスの中国担当エコノミストの黄子春氏は、「2025年(の国内総生産)は5%成長となり政府目標と一致したが、私たちは、公式統計が示すよりも成長は鈍いとみている」と話した。

黄氏はまた、同社の独自試算から、中国の公式の成長率統計は少なくとも1.5パーセントポイントは「経済拡大のペースを過大に示している」とみられるとした。

この日の中国の発表では、同国の出生数が昨年、統計を取り始めた1949年以降で最低を記録したことも明らかになった。

国家統計局のデータによると、昨年は出生総数が790万人に減少。人口は340万人減って14億人となった。減少は4年連続だった。

経済学者らは、出生率の低下によって住宅や消費財への需要が弱まると、国内の課題がさらに深刻化し、すでに苦境にある不動産市場にさらなる圧力がかかると指摘している。

政府は、子どもを増やすインセンティブを夫婦に提供し、出生率の向上を図っている。それにもかかわらず、今回の統計では、中国の人口危機が深刻化していることが浮き彫りになった。

試される輸出依存度の高さ

中国は先週、2025年の貿易黒字が過去最大の1兆1900億ドル(約189兆円)に上ったと発表した。アメリカのドナルド・トランプ大統領が関税政策を継続する中で、同国以外の市場に向けた輸出が増加した。

フランス系銀行ナティクシスのアジア太平洋地域チーフエコノミスト、アリシア・ガルシア=エレロ氏はBBCに、「中国は実質的に赤字を出しながら輸出で成長を押し上げているが、これは持続可能ではない。価格引き下げによって輸出量を維持できるかもしれないが、利益を損ない、最終的には成長そのものを損なう」と語った。

国家統計局の康義局長は19日、中国経済が「強い供給と弱い需要といった問題と課題に直面している」と述べたが、同時に「今年は安定した健全な成長の勢いを維持できる」とした。

アナリストらは、輸出への依存度が高まることで中国が世界的な貿易摩擦の影響を受けやすくなると警告している。特に、アメリカの関税政策に対する不透明感が増す中で、その懸念は強まっている。

トランプ氏は最近、イランと取引する国やグリーンランド領有計画に反対する国に対し、新たに課税すると脅している

中国をはじめとするアジア各国は、イランから石油を購入している。

中国経済は、米中が関税の一時停止で合意した後にアメリカが設定した関税が予想より低かったことにも助けられた。しかし、この合意は2026年11月に期限切れとなる。

一方、中国国内の課題が最も顕著に表れているのは不動産セクターだ。

不動産危機が続き、地方政府は債務が増加。それが企業に投資をためらわせ、消費者を支出に対して慎重にさせている。

今回の新たな統計データによると、住宅価格は、政府が不動産市場の安定に苦労する中、昨年12月も下落が続いた。前年同月比で2.7%下がり、直近の5カ月で最も急激な下落となった。不動産投資も、昨年は17.2%減少した。

かつて中国経済の約4分の1を占めていた不動産業界の不況が長引くことで、建設活動や家計資産、地方政府財政が深刻な影響を受けている。

数百万世帯が未完成の住宅や価値が大幅に下落した不動産を抱える事態となり、かつて最も安全な貯蓄先と見なされていた不動産への信頼が損なわれた。

さらに、土地売却収入の減少も、地方政府の歳入を圧迫している。

経済調査会社オックスフォード・エコノミクスのアジア経済部門責任者ルイーズ・ルー氏は、「中国のGDP(国内総生産)が5%と報告されたことは、メディア報道を安定させようという政治的な動機を考慮すれば驚くべきことではない。だが、これは明らかに、ひどい投資データを覆い隠している」と話した。

小売売上高は、昨年12月は0.9%増にとどまり、過去3年間で最も伸び率が鈍化した。一方、昨年12月の工場生産高は前年比5.2%増で、11月の同4.8%増を上回った。

ナティクシスはデータ発表後の報告書で、5%の経済成長目標が達成された後、中国の政策当局者は追加刺激策を控える姿勢を示し、実質的に今年のための資源を温存したと指摘。昨年末の小売売上高と投資の減速は、経済の急激な悪化ではなく、政策のタイミングを反映していると付け加えた。

中国の指導層は今年、消費者と企業の信頼感を支えるための「積極的な」政策を約束している。しかしデータは、基礎的な経済が依然脆弱であることを示唆している。

当局は、景気刺激策による成長回復と債務増加の抑制、そして不透明感が増す貿易環境下で輸出依存を回避する方策の模索という、微妙なバランス調整に直面している。