中国不動産大手の恒大、上場廃止 経済成長の象徴から大転落

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ピーター・ホスキンス、ビジネス記者、BBCニュース
中国の不動産大手、中国恒大集団(エバーグランデ)が25日、香港証券取引所から上場廃止となった。同社の株は10年半以上にわたって同取引所で取引されていた。
恒大はかつて、中国最大の不動産会社で、株式市場での評価額は500億ドル(約7兆3600億円)を超えた。しかし、急成長の原動力となった膨大な借り入れの重圧に耐え切れず、劇的な崩壊をした。
専門家らは、上場廃止は必然かつ決定的だったとしている。
政治リスクコンサルタント会社ユーラシア・グループの中国担当ディレクター、ダン・ワン氏は、「一度上場廃止になれば、戻ることはない」と言う。
恒大は今では、世界2位の経済大国・中国で何年も続く危機の一因をつくったことで知られている。
恒大に何が起こったのか
つい数年前まで、恒大は中国経済の奇跡を象徴する存在だった。
拡大を続けた同社の「帝国」には、電気自動車メーカーや、中国で最も成功したサッカーチームの広州FCも含まれていた。

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恒大は、3000億ドル(約44兆円)という巨額の借り入れで成り立っていた。「世界で最も負債の大きい不動産開発会社」という不名誉な称号を得ていた。
衰退の始まりは、2020年に中国政府が、大手デベロッパーの借入額を規制する新ルールを導入したことだった。
恒大は事業維持の資金を確保するため、大幅な割引価格で物件を提供するようになった。やがて利息の支払いにも苦しむようになった。国外での借り入れの一部は債務不履行(デフォルト)に陥った。
長年の裁判を経て、香港高等法院は昨年1月、恒大の清算を命じた。以来、同社の株式は取引停止となり、上場廃止の危機が迫っていた。
恒大の清算人は今月初め、同社の負債が450億ドルに達し、一方でこれまでに売却した資産は2億5500万ドルにとどまると明らかにした。また、事業の全面的な見直しには「手が届かない」との見方を示した。
中国経済への影響は
専門家らは、恒大の破綻が、他のデベロッパーにおける深刻な問題と共に、中国を大きく苦しめているとしている。
前出のユーラシア・グループのワン氏は、「不動産不況は(中国の)経済にとって最大の足かせになっている。それが、消費が抑制されている究極の理由だ」と話す。

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中国では不動産業界が、国家経済の約3分の1を占めていた。地方政府にとっても、主要な収入源となっていた。それだけに、問題は深刻だった。
金融市場調査プラットフォーム、ボンドスーパーマートのジャクソン・チャン氏は、不動産危機が、多額の負債を抱えたデベロッパーの「大規模なレイオフ(一時帰休)」につながったと説明する。雇用を維持した不動産会社でも、従業員の多くは大幅な給与カットに見舞われたという。
一般世帯は貯蓄を不動産につぎ込む傾向があるため、不動産危機は多くの世帯にも大きな影響を及ぼしている。住宅価格が少なくとも3割下落したことで、多くの世帯で貯蓄が目減りしたと、フランスの銀行ナティクシスのアジア太平洋地域担当チーフエコノミスト、アリシア・ガルシア=エレロ氏は指摘。消費も投資もしにくい状況にあると語った。
こうした事態を受け、中国政府はこれまで何千億ドルも経済に投入している。それでも、かつては目覚ましかった中国の成長率は、「5%前後」まで鈍化し、2010年まで年間10%以上の成長率を誇っていた国にとっては、物足りないものとなっている。
不動産危機は終わったのか
おそらく終わっていない。恒大が注目され続けているが、他のいくつかの不動産会社も大きな課題に直面している。
今月初めには、華南城控股(チャイナ・サウス・シティ・ホールディングス)が香港高等法院から清算を命じられた。恒大以降で、清算を余儀なくされた最大のデベロッパーとなった。
ライバルの不動産大手、碧桂園(カントリー・ガーデン)も、140億ドル以上の対外債務を帳消しにしようと、債権者の合意を取り付けることに努めている。
米デューク大学のシトン・チャオ教授は、「不動産セクター全体が問題を抱えている。さらに多くの中国の不動産会社が倒産するだろう」と指摘した。

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中国政府は不動産市場を強化し、経済全体を支えるため、多くの措置を講じている。ただ、デベロッパーの直接的な救済には取り組んでいない。
米投資大手ゴールドマン・サックスは6月、中国の不動産価格は2027年まで下がり続けると警告した。前出のワン氏も、中国の不動産市場は、需要が供給に追いつく2年後くらいに「底を打つ」と予想している。
前出のナティクシスのガルシア=エレロ氏はより厳しい意見で、「トンネルの終わりにも本当の光はない」としている。











