【解説】 中国恒大集団の破綻の恐れ、どれほど心配すべきなのか

A man and children cycle past the Guangzhou FC football stadium, which is being built by Evergrande.

画像提供, Getty Images

画像説明, 中国恒大集団は危機に陥る前、国内最大級のサッカーチームだった広州FCの新スタジアムの建設を進めていた

世界で最も多額の負債を抱える企業となっている、中国の不動産開発大手、中国恒大集団(エバーグランデ)。会長が警察の監視下に置かれ、経営危機はいっそう悪化している。

恒大をめぐっては、他の幹部や元幹部も拘束されたとの報道が先になされていた。

同社は28日、香港取引所での株式取引を一時停止すると発表。さらなる苦境に直面している。

同社は2021年に債務不履行(デフォルト)に陥り、現在の中国の不動産市場危機を引き起こした。

何をしている会社なのか?

恒大は実業家の許家印氏が1996年に中国南部・広州で創業した。

同社ウェブサイトによると、不動産部門では現在、中国全土280以上の都市で1300以上のプロジェクトを抱えている。

会社全体でみれば、不動産開発は事業の一部でしかない。資産管理、電気自動車の製造、食品・飲料の製造など、幅広い事業に取り組んでいる。国内最大級のサッカーチームだった広州FCを支配できるだけの株式も所有している。

許氏はかつて中国一の富豪で、米誌フォーブスは資産を425億ドル(約6兆3000億円)と推定していた。しかしその後、恒大の問題が大きくなるにつれ、資産は急減している。

なぜ問題になっているのか?

恒大は積極的に事業を拡大。3000億ドル以上を借り入れ、中国最大の企業の一つとなった。

中国政府は2020年、大手不動産開発業者の負債額を管理する新たな規制を導入した。

この措置を受け、恒大は運転資金を捻出するために、物件を大幅に値引きして売ることになった。

現在では負債の利払いに苦しんでいる。

これらの不確定要素から、同社の株価は過去3年間で99%下落した。

今年8月には、米ニューヨークで破産を申請。債権者らと数十億ドル規模の債務再編について協議しながら、アメリカでの資産保護に努めている。

破綻するとなぜ問題なのか?

恒大の問題が深刻な理由はいくつかある。

まず、多くの人が同社の不動産を購入しており、中には工事が始まる前に買った人もいる。それらの人たちは手付金を支払っているが、同社が破綻すればそれを失う可能性がある。

恒大には取引企業が多いこともある。建設会社や設計会事務所、資材サプライヤーなどは、大きな損失を被り、倒産に追い込まれるリスクに直面している。

さらに、中国の金融システムに及ぼす潜在的な影響もある。恒大が破綻すれば、銀行などの金融機関は貸し出しを減らすようになるかもしれない。

そうなると「信用収縮」の状態となり、企業は無理のない金利で借金をするのが難しくなる。

信用収縮は、世界2位の経済大国の中国にとって非常に悪いニュースとなる。借り入れをできない企業は成長が難しく、事業継続すらできなくなることもあるからだ。

そのうえ、外国人投資家が不安を覚え、中国での投資に魅力を感じなくなる恐れもある。

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「大きすぎてつぶせない」のか?

これほど多額の負債を抱えた企業の破綻は、非常に深刻な影響を生む可能性がある。そのため一部のアナリストは、中国政府が救済に乗り出すだろうとの見方を示している。

だが、金融市場調査プラットフォーム、ボンドスーパーマートのジャクソン・チャン氏は、すぐにそうしたことが起こるとは思わないと話す。

「率直に言って、恒大はすでに破綻している」とチャン氏は分析。「強制清算の瀬戸際にある」のではないかと付け加えた。

中国の経済成長の約4分の1を不動産分野が支えていることを考えると、これは同国の経済に大きな影響を与えうる。

チャン氏はまた、数十年にわたる経済停滞に陥った1980年代の日本のような道を、中国がたどる可能性もあるとする。

一方で、恒大の完全な破綻は許されないだろうとの見方もある。

米モンタナ大学マンスフィールド・センターの中国問題ディレクター、デクスター・ロバーツ氏は、「破綻の影響は負債を抱えた他企業にも及び、経済成長にとって非常に重要な不動産セクター全体が打撃を受ける可能性がある」とBBCに話した。

「同時に、家計資産は主に集合住宅の自宅だという多くの人にとっても、打撃は大きいだろう」

ロバーツ氏はジャーナリストとして20年以上中国に滞在した。その知見もふまえ、「かつての恒大はもはや存在しない」と分析。当局は同社を存続させるかもしれないが、「すっかり縮んだ企業になるだろう」と述べた。

(取材:ピーター・ホスキンス、大井真理子)