デンマーク首相、総選挙の早期実施を発表 グリーンランド問題が焦点

議会で演説するフレデリクセン氏のバストアップ画像。髪の毛を後ろで一つにまとめ、白いジャケット着ている

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画像説明, デンマーク議会で演説するフレデリクセン首相。同国の政界では、アメリカのトランプ大統領のグリーンランド「支配計画」が論議の中心となっている
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デンマークのメッテ・フレデリクセン首相は26日、今秋までに実施することになっている総選挙を3月24日に実施すると発表した。今後4年間はデンマークにとって「決定的な」期間になると、首相は述べた。

フレデリクセン首相は議会で、「デンマーク人として、そしてヨーロッパ人として、私たちは真に自立しなければならない」と語った。そして、「アメリカとの関係を明確にする必要がある」と付け加えた。

デンマーク政界はここ数カ月、デンマーク自治領グリーンランドの併合に意欲を示しているアメリカのドナルド・トランプ大統領の脅しで持ち切りとなっている。

トランプ氏は先月上旬、今後起こり得るロシアと中国の攻撃から守るために、北極圏にあるグリーンランドをアメリカが「所有」する必要があると主張。北大西洋条約機構(NATO)の同盟国であるデンマークに対し、武力行使の可能性をちらつかせていたが、その後、「武力を使う必要はない。武力は使いたくない。武力は使わない」と否定した。

フレデリクセン氏は26日に議会で、「安全保障は今後何年にもわたり、デンマーク政治の根幹であり続ける」と述べた。

「欧州大陸の平和を確保するため、我々は再軍備を進めなければならない」とも、フレデリクセン氏は主張。「我々はヨーロッパで結束し、デンマーク王国共同体(デンマーク、グリーンランド、フェロー諸島)の未来を守らねばならない」と訴えた。

そして、「私が引き続き首相を務めるかどうかは、(現在の連立政権の第1党である)社会民主党が皆さんからどれだけ信任を得られるかにかかっている」とした。

グリーンランドは人口密度がきわめて低い土地だが、北米と北極の間に位置するため、ミサイル攻撃の早期警戒システムや、船舶監視の拠点に適している。

トランプ氏はかねて証拠を示さないまま、「ロシアと中国の船がそこら中にいる」と主張してきた。

アメリカはすでに第2次世界大戦以来、グリーンランド北西端のピトゥフィク基地に兵100人以上を恒久的に駐留させている。

デンマークとの既存の協定では、アメリカは自らの判断でどのような規模の部隊でもグリーンランドに派遣する権限を持っている。

しかしトランプ氏は、グリーンランドを「取得」する計画を放棄してはいない。過去にも、アメリカがグリーンランドを所有してこそ適切に防衛できると発言しており、グリーンランド全体の支配権確立をめぐる協議は続いている。

デンマークとグリーンランドは、グリーンランドの主権をアメリカに移譲することには同意しないと表明している。ヨーロッパの同盟国もデンマークとグリーンランドの支援に動いている。

21日にはトランプ氏が、医療品を満載した病院船をグリーンランドに派遣するつもりだと、自分のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」に投稿。グリーンランドには病気の人が「大勢」いて、「ケアを受けていない」と主張した。

これに対し、グリーンランド自治政府のイェンス=フレデリク・ニールセン首相は、グリーンランドではアメリカと異なり、すべての市民に無料で医療が提供されているとし、トランプ氏の提案は「結構だ」と押し返した。