トランプ氏、グリーンランドに関し「合意の枠組み」を協議と 関税の脅し引っ込める

ダークスーツに赤いネクタイのトランプ氏が口を開いている

画像提供, Reuters

画像説明, トランプ米大統領(21日、スイス・ダヴォス)

アメリカのドナルド・トランプ大統領は21日、領有に意欲を示しているデンマーク自治領グリーンランドに関して合意を模索しているとし、アメリカの野望に反対してきた欧州諸国に対する関税の脅しを引っ込めた。

トランプ氏はこの日、北大西洋条約機構(NATO)のマルク・ルッテ事務総長と会談。終了後、「非常に生産的な会談」をし、「グリーンランド、そして実際のところ、北極圏地域全体に関して、将来の合意の枠組みを形成した」と、自らのソーシャルメディアのトゥルース・ソーシャルで説明した。

そして、「この解決策が実現すれば、アメリカ合衆国、そしてすべてのNATO加盟国にとって、素晴らしいものになる」とした。

トランプ氏はまた、「話し合いが進むにつれ」、詳しい情報は提供されるだろうと記述。交渉ではマルコ・ルビオ国務長官とスティーヴ・ウィトコフ特使がトランプ氏に「直接報告する」ことになるとした。

また、デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、フランス、ドイツ、オランダ、フィンランドの各国にも、同じ措置を適用するとしていた。これらの国はすべて、1949年設立のNATOの加盟国。

ルッテNATO事務総長は、トランプ氏との会談で、グリーンランドをめぐるデンマークの主権という核心の問題については議論しなかったと、米FOXニュースに話した。

NATOのアリソン・ハート報道官は、ルッテ氏とトランプ氏が「アメリカを含むすべての同盟国にとっての、北極圏における安全保障の重要性を協議した」と、声明で説明。

「デンマーク、グリーンランド、アメリカの間で交渉を進め、ロシアと中国がグリーンランドに、経済的にも軍事的にも決して足場を築かないようにする」とした。

デンマークのラース・ルッケ・ラスムセン外相は、「今日という日が、始まったときより良い形で終わろうとしている」とする声明を発表。

「デンマーク王国のレッドライン(譲れない一線)を尊重しながら、北極圏におけるアメリカの安全保障上の懸念に対して私たちがどう対処できるか、腰を落ち着けて考えよう」と呼びかけた。

武力行使を否定

トランプ氏はこの日、この投稿に先立ち、スイス・ダヴォスで開催中の世界経済フォーラムで演説。アメリカの安全保障に不可欠だと位置づけているグリーンランドについて、領有のために武力行使はしないとした。一方で、アメリカの領有権確保に向けた即時交渉を望んでいると述べた。

トランプ氏は、「私が過剰な武力行使を決断しない限り、おそらく何も得られないだろう。私たちを止めることはできないだろうが、私たちはそれをしない」と発言。「武力を使う必要はない。武力は使いたくない。武力は使わない」と述べた。

同氏はまた、グリーンランドの領有権をアメリカがデンマークから得るのを認めるよう、世界の指導者に要求。「イエスと言えば、私たちは非常に感謝する。ノーと言えば、私たちはそのことを忘れない」と述べた。

そして、完全な領有権に至らない、グリーンランドの使用に関するいかなる合意も受け入れないとした。

トランプ氏は演説で、フランスのエマニュエル・マクロン大統領を批判し、フランスは何十年もの間、アメリカを「だましてきた」と述べた。

マクロン氏は前日のダヴォスでの演説で、トランプ氏のこれまでの関税の脅しを非難。アメリカからの「新たな関税の果てしない積み重ね」は「根本的に受け入れられない」と述べていた。

マクロン氏は欧州連合(EU)に対し、アメリカの新たな課税に対する報復措置を検討するよう求めている。

トランプ氏はさらに、カナダのマーク・カーニー首相への批判も述べた。カーニー氏も前日、ダヴォスで演説し、オーストラリアやアルゼンチン、カナダのような「中堅国」が結束すべきだと訴えていた

トランプ氏は、カーニー氏にはアメリカに対する感謝の気持ちがないと非難。「カナダが生きているのはアメリカのおかげだ」、「そのことを思い出してくれ、マーク、次にあなたが発言するときは」と述べた。

合意の内容

アメリカとNATOとの間で協議された合意に関しては、のちに詳細の一部が明らかになった。

トランプ氏は米CNBCに対し、合意は「永遠に」続くもので、鉱業権やミサイル防衛構想「ゴールデン・ドーム」も関係し得ると述べた。同構想についてトランプ氏は、長距離ミサイル攻撃からアメリカを守るための、陸・海・宇宙にまたがる迎撃ミサイルと探知機による盾と位置づけている。

トランプ氏は米CNNの取材では、合意の枠組みは「かなり進んでいる」と発言。「私たちは必要なものすべてを得ることになる」と述べ、それには「真の国家安全保障と国際安全保障」が含まれると強調した。

ただ、その枠組みにアメリカのグリーンランド領有も含まれるのかは明言しなかった。

トランプ氏はこれまで、グリーンランドを借り受けるという考えを否定。「所有しているものは守る。借り受けているものを守ることはしない」と述べている。

米紙ニューヨーク・タイムズは、検討されている案について、グリーンランドのわずかな部分についてアメリカの領有を認め、そこに米軍基地を建設するものだと報じた。また、NATOの会議に参加した複数の関係者の話として、キプロスの英領に英軍基地があるのと似た形だと伝えた。

BBCが提携する米CBSは外交筋の話として、グリーンランドをアメリカが支配または領有する合意は存在しないと伝えた。