「最も激しい攻撃はこれから」とアメリカ イランも報復続行、ホルムズ海峡を封鎖と

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アメリカのドナルド・トランプ大統領は2日、イランを攻撃後初めてホワイトハウスで演説し、「大規模な戦闘作戦」は継続中で、これまでに1250 以上の標的を攻撃したと述べた。また、イランに対して戦争を仕掛けることを決断したのは、イランの政権を阻止する「最後の、最善のチャンス」だったからだと述べた。アメリカのマルコ・ルビオ国務長官は同日、「米軍による最も激しい攻撃はまだこれからだ」との見解を示した。一方、イラン側も報復攻撃を続けており、ホルムズ海峡を封鎖したとしている。
アメリカとイスラエルは2月28日にイランを攻撃。イランの最高指導者アリ・ハメネイ師を殺害した。
イスラエルはその後も、イランの首都テヘランを攻撃している。
イラン国営放送IRIBのトップ、ペイマン・ジェベリ氏は、テヘランにある放送局の一部が攻撃を受けたと報告した。イスラエル国防軍(IDF)もソーシャルメディア「X」のペルシャ語アカウントで、IRIBを「イラン革命防衛隊(IRGC)のうそと抑圧の心臓部」と呼び、標的にしたことを認めた。
イスラエルはまた、レバノンでも複数回にわたり、イスラム教シーア派組織ヒズボラ関連の標的だとする場所を攻撃している。
レバノンの保健当局は、イスラエルの攻撃で52 人が殺害されたと発表。首都ベイルートの住民数百人が、避難所で避難を余儀なくされているとした。
イスラエルは、脅威が完全に「排除」されるまで、軍事作戦は終わらないと表明している。

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一方、アメリカの中央軍司令部は、オマーン湾でイランの艦船11隻を撃沈し、同海域からイランの艦船を完全に排除したと発表した。
また、「大規模な戦闘作戦は継続している」とした。
同司令部によると、米東部時間2日午後4時(日本時間3日午前6時)時点で、攻撃開始からの米兵の戦死者が6人になったという。
ホワイトハウスのキャロライン・レヴィット報道官は、これまでのイランへの空爆で「イラン政権の最高幹部49人」を殺害したと、Xに投稿した。

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一方、報復に出ているイランも、近隣国の米関連の施設や、イスラエルに対する攻撃を続けている様子。
イスラエル軍は、イランがイスラエルの複数地域に向けてミサイルを発射し、イスラエルの防空システムが「脅威を迎撃するため作動中」だと発表。国内全域を対象に、避難指示の電話警報を発した。
ロイター通信は、サウジアラビアの首都リヤドの在外公館が集まる地区で、爆発が起きたと報じた。米大使館で火災が発生したという。
カタール国防省は、イランから飛来した航空機2機、ミサイル7発、ドローン5機を撃墜したと発表した。
こうしたなか、イラン当局者は、ホルムズ海峡を通過しようとする船舶には「火を放つ」と警告した。同海峡は、世界の石油・ガスの約2割が通過する重要輸送ルート。
イラン革命防衛隊の最高司令官を補佐するイブラヒム・ジャバリ氏が国営テレビで述べた。同氏はホルムズ海峡は封鎖されたとし、「(船舶は)この地域に来るべきではない。我々の厳しい対応に、間違いなく直面することになる」とした。
4~5週の作戦予定を「大幅に前倒し」とトランプ氏
トランプ氏はこの日、ホワイトハウスでの名誉勲章授与式で演説した。
その中で、イランへの攻撃について、目的は「明確」だと主張。同国の核兵器保有を永久に阻止することに加え、「イランのミサイル能力の破壊」と「海軍のせん滅」が目的だとした。
トランプ氏はまた、イランのミサイル計画は核兵器開発を隠すためのものだったと主張。イランがアメリカの警告を無視し、「核兵器の追求をやめるのを拒んだ」と述べた。さらに、イラン政権が核兵器と長距離ミサイルを持てば、中東地域だけでなくアメリカ国民にとっても「耐え難い脅威」になるとした。
そして、このタイミングで戦争を決断したのは「攻撃のための最後の、最善のチャンス」だったからだとし、「この病的で邪悪な政権がもたらす耐え難い脅威」を排除するためだったと説明した。
トランプ氏はさらに、作戦の当初の予定は4~5週間だったが、「大幅に前倒し」で進んでいると主張。アメリカには「もっと長期に展開する能力がある」と述べた。
「最も激しい攻撃はこれから」と米国務長官

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アメリカのマルコ・ルビオ国務長官は2日、記者団の質問に答え、「戦術について詳しいことは明らかにしないが、米軍による最も激しい攻撃はまだこれからだ」と述べた。
ルビオ長官はまた、「今回の作戦の目的は(イランの)弾道ミサイル能力と海軍能力の破壊だ」と説明。アメリカによる攻撃には、イスラエルの攻撃に対するイランの反撃を先制的に阻止する意味もあったと主張した。
ルビオ氏は、米軍の攻撃とタイミングをめぐって人々の間で誤解があるようだと発言。米政府はイスラエルがイランを攻撃することを事前に把握していたとし、アメリカが先制攻撃をしなければアメリカ側に「はるかに多い死傷者」が出ていたと主張した。
BBCのトム・ベイトマン米国務省担当特派員は、長官によるこの先制防衛の説明は、攻撃の開始主体がトランプ氏ではなくイスラエルだと述べているようだと説明する。
トランプ氏が2月28日の演説で、アメリカがイラン国民の不満をふまえて体制転換を促すために攻撃を実施したのだと主張した際の、積極姿勢とはかけ離れていると、ベイトマン記者は指摘。ルビオ長官が近く連邦議会で攻撃について説明する際に、野党議員たちがこの点に大いに疑念をぶつけるだろうと記者は述べた。
攻撃不参加は「熟慮の上」とスターマー氏

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こうしたなか、イギリスのキア・スターマー首相は2日の下院審議で、アメリカとイスラエルによるイラン攻撃に参加しなかったのは、「熟慮の上」での判断だったと述べた。そして、英政府は「空からの体制転換を良いことだとは思わない」との見解を示した。
スターマー氏はまた、最善の道は「交渉による解決」だと主張。イランが核兵器開発への「あらゆる野心」を放棄し、中東全体を「不安定にする活動」を止めると合意すべきだと述べた。
スターマー氏によると、中東地域には推定約 30 万人のイギリス国民がいる。これには居住者、休暇中の家族、乗り継ぎ客が含まれる。
スターマー氏は、イギリス国民が滞在している空港やホテルをイランが攻撃していると説明。「これは本院全体、そして国全体にとって、非常に憂慮すべき事態だ」と述べた。
スターマー氏は前日、アメリカがイギリスの軍事基地から防衛措置を取ることを許可すると表明した。
これについてトランプ氏は英紙テレグラフの取材に対し、スターマー氏が許可を出すまでに「あまりに時間がかかりすぎた」とコメント。また、アメリカによる基地使用の要請の受け入れが遅れたのは「おそらく、両国間でこれまでなかったことだ」とし、「(スターマー氏は)合法性を気にしていたようだ」と付け加えた。
首相官邸の報道官は、トランプ氏の発言について問われ、イランの攻撃がイギリスの国益にも及んでいることから、イギリスとして立場を変えたのだと説明した。そして、英米両国は「強固な同盟国」だとした。
イラン政府は国民に街に出ないよう警告

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イラン国営テレビは2日、北東部マシュハド(ハメネイ師の生誕地)などの都市で集会が開かれたもようを伝えた。
映像では、人々が「イスラエルに死を」、「アメリカに死を」などと叫ぶ声が聞こえる。
イランの国営通信は同日、夕方の礼拝後に最高指導者の死を悼むため人々が集まる場所として、テヘランの22カ所のリストを発表した。
ハメネイ師殺害を受け、イラン政府は40日間の服喪期間を発表している。
政府主催の集会が行われる一方で、当局は国民に対し、抗議のために街へ出ないよう警告するテキストメッセージを送っている。
いくつかの都市ではハメネイ師の死後、人々が集まって喜びを表現していることを、BBCは動画から確認している。












