中国の2025年貿易黒字、初の1兆ドル超え 「トランプ関税」で対米輸出減る中

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オズモンド・チア、ニック・マーシュ
中国の2025年の貿易黒字が1兆1900億ドル(約189兆円)だったことが、中国税関総署が14日に発表した貿易統計で明らかになった。アメリカのドナルド・トランプ大統領による関税措置と貿易政策が世界経済に混乱をもたらす中、過去最高額を更新した。
中国の年間貿易黒字が1兆ドルを突破したのは初めて。2024年は9930億ドルだった。
中国の月間輸出黒字は昨年計7回、1000億ドルを超えた。トランプ氏の関税措置が、中国と世界各国との貿易全体にほとんど影響を与えていないことが示された。
対米貿易は縮小したものの、東南アジアやアフリカ、ラテンアメリカなど他地域への輸出が増え、減少分を補った。
中国税関総署の王軍副署長は14日の記者会見で、世界貿易における「深刻な変化」と課題を踏まえると、この数字は「桁外れで、苦労して勝ち取ったもの」と述べた。
王氏によると、環境保全技術や人工知能(AI)関連製品、ロボット工学の輸出が増加した。
巨額の黒字、背景は
この巨額の黒字の背景には、南アジアやアフリカ、欧州など世界の貿易相手国との取引が拡大し、中国製品への海外需要が高まったことと、国内市場の低迷がある。
中国経済は不動産危機と債務増大に圧迫されている。そのため、企業側は投資に慎重になり、消費者も支出を控えている。
結果的に輸入品への需要は低下し、2025年の輸入はわずか0.5%の増加にとどまった。
一方で、人民元安や強い商品供給力、西側諸国のインフレによって、貿易相手国には中国製品がより魅力的なものになっている。
シンガポールのヒンリッヒ財団の貿易政策アナリスト、デボラ・エルムス氏は、この結果は中国にとって「功罪相半ばする」と述べた。
中国は海外事業による売り上げと雇用創出の恩恵を受けているが、中国製品との競争圧力にさらされる海外市場から「より厳しい目」を向けられる可能性があると、エルムス氏は指摘する。
中国の製品やサービスが国際ビジネスにさらに深く根づいていき、2026年も中国の好調な貿易は続くだろうと、エルムス氏は見ている。
中国を取り巻く「不確実性」
中国製品を求める顧客がアメリカ以外にも、世界中にいることを最新の貿易統計が示していると、中国では受け止められるだろう。しかし、中国を取り巻く外部環境は不確実だと、中国税関総署の王副署長は警鐘を鳴らした。
中国製品をめぐっては複数の国が、競争できないほど安価な中国製品が自国市場にあふれていることに懸念を表明している。
企業側も、今年も続くであろうトランプ政権がもたらす混乱と関税措置に備えている。
昨年4月、トランプ氏は90カ国以上の製品に対する包括的な関税措置を発表し、世界経済に混乱を引き起こした。最も厳しい関税の一部は、アメリカが最大の輸出国である中国に向けられた。
世界の2大経済大国間の応酬は激化し、互いに相手国の全製品に3桁の税率の関税を課すと脅す事態となった。
当時、専門家たちはこれを中国の対米依存度を測る試金石とみていた。中国政府は、アメリカは中国企業が製品を売る「多くの市場の一つにすぎない」と主張していた。
その後、昨年10月に韓国で行われたトランプ氏と習近平国家主席の会談を受け、両国は対立を一時停止。貿易関係の完全崩壊を回避した。
ただ、より税率の低い関税はいまも維持されており、中国の対米輸出を大幅に減少させている。











