シリア暫定政府、クルド系「シリア民主軍」と停戦合意 統合へ

黒いひげをたくわえたアル・シャラア氏が、署名した合意文書をカメラの方に向けている

画像提供, Ali Haj Suleiman/Getty Images

画像説明, 合意文書を手にするシリア暫定政府のアフメド・アル・シャラア大統領

シリア暫定政府は18日、クルド人主体の武装組織「シリア民主軍(SDF)」と全国で即時停戦し、国のほぼ全域を掌握したと発表した。国営メディアが伝えた。

SDFとシリア政府軍の間では、2週間にわたって戦闘が続いていた。今回の停戦は、SDFをシリア軍および国家機関に統合する全14項目の合意の一部だという。

アフメド・アル・シャラア大統領は首都ダマスカスで、この合意によってシリアの国家機関が東部および北部のハサカ、デリゾール、ラッカの3県を再び掌握できると述べた。

アル・シャラア氏はこの発言に先立ち、アメリカのトム・バラック特使とダマスカスで会談した。バラック氏は、この合意を「一つのシリア」への一歩だと称賛した。

アル・シャラア氏によると、SDFのマズルーム・アブディ司令官もこの会談に出席する予定だったが、天候不良のため移動できず、ダマスカス訪問は19日に延期された。

アブディ氏はテレビ演説で、会合の事実を認めるとともに、ダマスカスから戻り次第、国内のクルド人に合意の詳細をさらに伝えると語った。

クルド系テレビ局「ロナヒ」に対してアブディ氏は、シリア政府と合意した内容には、より広範な戦争を避けるための停戦が含まれていると述べた。また、戦闘はSDFに対して「押し付けられた」ものだと強調した。

SDFはアメリカから強い支援を受けており、シリア内戦中の約10年前に北東部で自治行政を樹立した。アメリカは武装組織「イスラム国」(IS)との戦いにおいて、SDFを主要な現地パートナーとして武装・訓練してきた。

米軍の支援を受けたSDFは、シリア北東部の大部分からISを掃討。クルド系とアラブ系の双方が多数を占めるこの地域を統治するに至った。

クルドの権利を認める条項も

アル・シャラア氏とアブディ氏が署名した合意の下、シリア当局は、SDFの自治を支えてきた民間機関、国境検問所、石油・ガス田を引き継ぐことになった。

SDFの軍事・治安要員は、審査を経てシリアの国防省および内務省に統合される。一方でシリア当局は、数万人の外国籍のIS戦闘員とその家族を収容している刑務所や収容キャンプの管理責任を引き継ぐ。

さらにシリア当局は、クルド語を公用語として認めるほか、クルドの新年「ネウロズ」を祝日として定めるなど、クルドの文化的・言語的権利を認めると改めて表明した。シリアでクルド人の権利が正式に承認されるのは、こ1946年のフランスからの独立以降で初めて。

アブディ氏は、SDFは引き続きシリア北東部におけるクルド主導の行政の「成果」と「固有の特性」を守っていくと述べたと、クルド系メディアは伝えている。

合意はまた、アメリカ主導の対IS国際有志連合にシリアが参加することを改めて示した。

シリア当局とSDFの交渉は一度、合意に至れず、数カ月にわたって停滞していた。そうしたなか、ラッカおよび周辺の油田地帯では18日、早い時間にSDFが撤退した後、シリア政府が進軍した。

アル・シャラア大統領は先週、武装組織が国土の4分の1と石油および主要資源を支配することは容認できないと述べていた。