トランプ氏、ウクライナ和平協議に近く進展なければ仲介「見送る」可能性示す 

ドナルド・トランプ米大統領(18日、ホワイトハウス)

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アメリカのドナルド・トランプ大統領は18日、ロシアやウクライナが和平合意への到達を「とても難しくする」なら、アメリカはウクライナでの戦争をめぐる協議の仲介を「見送る」ことになると述べた。

トランプ氏は大統領執務室で記者団に対し、自分は「具体的な日数」内での停戦実現を期待しているのではないが、「素早い」実現を望んでいると語った。

ロシアとウクライナの和平合意について質問がおよぶと、トランプ氏は「我々は人が死んでいっていることについて話をしている。理想としては、それを止めさせるつもりだ」と答えた。

「もし何らかの理由で、当事者のいずれかがそれをとても難しくするなら、こちらとしてはただこう言う。『お前たちは愚かで、ばかで、ひどい奴らだ』と。そして、それ以上の関与を見送るだけだ」

クレムリン(ロシア大統領府)のドミトリー・ペスコフ報道官は、停戦についてトランプ氏がロシアの回答を待っていると発言したことについて記者団から反応を求められ、「現在進行中の交渉はかなり難しいものだ」と答えた。

「ロシアは国益を確保するため、この紛争の平和的解決に至るよう努めているし、対話に前向きだ」と、ぺスコフ氏は述べた。

2022年にウクライナへの全面侵攻を開始したロシアは、停戦を実現するための条件を多数提示している。

トランプ政権は当初、早期に停戦にこぎつけるという自信を見せていた。それにもかかわらず、全面停戦への試みはいまだ実現せず、米政権はロシアとウクライナを非難している。

トランプ氏は1月の就任前まで、自分はロシアとウクライナの戦争を就任から24時間以内に終結させると繰り返し主張していた。

国務長官は警告、副大統領は「楽観」

イタリアのジョルジャ・メローニ首相(左)とJ・D・ヴァンス米副大統領

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画像説明, イタリアのジョルジャ・メローニ首相(左)とJ・D・ヴァンス米副大統領(18日、ローマ)

トランプ大統領の発言の数時間前には、マルコ・ルビオ米国務長官が、和平協議で近く進展がなければ、アメリカは仲介を打ち切る用意があると警告していた。

ルビオ氏は訪問先のパリで記者団を前に、「この取り組みを何週間も何カ月も果てしなく続けるつもりはない」と述べ、アメリカには「注力すべき優先事項がほかにある」、「(短期間で)これが実行可能なのか、素早く判断しなくてはならない。素早くというのは、数日中にという意味だ」と話した。「もしそれが実現しないなら、我々はただ単に、(仲介から)離れていくだけだ」とも、くぎを刺していた。

ルビオ氏はさらに、和平合意の成立が難しいのは明らかだが、速やかに可能だというしるしが必要だと話していた。

他方、J・D・ヴァンス米副大統領は18日、イタリア・ローマでジョルジャ・メローニ首相と会談した際、ウクライナでの戦争終結について自分はまだ「楽観的」だと述べた。

「ロシアとウクライナの交渉の一部と、この24時間で起きたことについて、首相に報告したい」、「予断をするつもりはないが、我々はこの戦争、この非常に残酷な戦争を終結させることができると、楽観的に考えている」と副大統領は述べた。

鉱物資源取引に向けた覚書

和平協議に関する一連の発言に先立ち、ウクライナとアメリカの経済担当閣僚は、ウクライナの鉱物資源をめぐる取引合意に向けた意向表明の覚書に署名した。ウクライナが18日に発表した

両国は覚書で、4月26日までに鉱物取引を最終的にまとめると合意している。

覚書は、天然資源の扱いについて詳しく触れていないものの、すでにリークされている内容からは、取引の対象は鉱物資源にとどまらず、ウクライナのエネルギー・インフラや、石油や天然ガスも含まれると予想される。

トランプ米政権はこれまで、ロシアとの停戦にあたりウクライナのその後の安全を保証することに抵抗してきた。

これについて覚書は、「アメリカ国民はウクライナ国民と共に、自由で安全な主権国家ウクライナにおいて投資したいと願っている」と表明。アメリカとウクライナは「ウクライナにおいて恒久的な平和を希望し、両国民と両国政府の間の持続可能な協力関係を希望している」とも述べている。

ウクライナの安全を保証するかどうかについて、ホワイトハウスはかねて、鉱物開発のためアメリカ企業がウクライナ国内で活動していること自体、ロシアの攻撃への抑止になると主張している。ただし、2022年2月にロシアがウクライナ全面侵攻を開始した際、アメリカ企業の存在は抑止効果をもたなかった。

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、ロシアとの停戦合意が成立した際にはこの合意を足掛かりに、ウクライナの安全をアメリカが保証するよう、取り決めを確保したい考え。

先月には欧州諸国の指導者に対し、将来的な「安全の保証がない停戦はウクライナにとって危険」だと、ゼレンスキー氏は述べていた。

アメリカとウクライナは2月末の時点でこの計画に正式調印するはずだったが、調印が予定されていた2月28日にホワイトハウスで、トランプ氏とゼレンスキー氏が激しく口論したため、見送られていた。

ロシアの攻撃で破壊されたウクライナ北東部スーミのベーカリー

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ウクライナのユリア・スヴィリデンコ第1副首相兼経済相は18日、署名の様子をソーシャルメディアで明らかにした

スヴィリデンコ氏のソーシャルメディア「X」への投稿には、本人とスコット・ベッセント米財務長官が別々の場所でそれぞれ文書に署名している写真が添えられていた。署名はオンライン会議の形式で行われたもよう。

「やるべきことはたくさんあるが、現在の進行スピードと大きな進展は、この覚書が両国にとって非常に有益なものとなることを期待させるものだ」と、スヴィリデンコ氏は書いた。

トランプ大統領は17日、ホワイトハウスでイタリアのメローニ首相と共に記者会見した際に、この合意について事前にほのめかしていた。

トランプ氏は 「鉱物資源について合意していて、おそらく木曜、来週の木曜日に調印することになる。もうすぐだ。(ウクライナは)合意内容を履行するはずだ。様子を見よう。でも、合意はまとまっている」と話していた。

この場に同席していたベッセント米財務長官は、合意の詳細はまだ調整中だとして、「前に合意した内容と実質的に同じだ。(ゼレンスキー)大統領がここにいた際に、合意の覚書がまとまっていた。いきなり重要事項で合意した。80ページの合意文書だと思う。それに署名することになる」と話していた。

欧州統合に関するウクライナ議会委員会のイヴァンナ・クリンプシュ=ツィンツァゼ委員長は、この合意について「最終決定権」を持つのはウクライナ議会だと、BBCに述べた。

そして、「署名される内容が何であれ、合意が批准される場合、それがこの国と国民の利益になることを保証する十分な理由があることを願っている」と付け加えた。

こうした中、ウクライナのアンドリイ・シビハ外相は17日、フランス大統領府で開かれた協議に出席。ルビオ長官や、ドナルド・トランプ大統領の特使スティーヴ・ウィトコフ氏と、「全面的な停戦、多国籍の参加、ウクライナの安全の保証」などを含む「公平で恒久的な平和に向けた道筋」について話し合った。