イスラエル首相、人質解放なければ「ガザ停戦を終了」 15日期限

画像提供, Reuters
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は11日、イスラム組織ハマスが「15日正午までに人質を返還しない」場合、パレスチナ・ガザ地区での停戦を終了し、激しい戦闘を再開すると警告した。
ネタニヤフ氏は、ハマスが、さらなる人質の解放を「追って通知があるまで」延期すると発表したことを受け、イスラエル軍にガザ地区内とその周辺に集結するよう命じたと明らかにした。
ガザに残る76人の人質全員の解放を要求しているのか、それとも15日に解放される予定の3人の返還を求めているのかは、ネタニヤフ氏は明言しなかった。しかし、閣僚の1人は、人質「全員」の解放を意味していると述べた。
ハマスは、イスラエルが停戦合意に違反し、重要な人道支援を妨害していると非難していた。イスラエル側はこの主張を否定している。
ネタニヤフ氏の声明を受け、ハマスは自分たちは停戦合意にいまも取り組んでいると主張。イスラエル側に「事態の複雑化や遅延の責任がある」とした。
ハマスが15日に予定されていた人質の解放を延期する決定を下すと、アメリカのドナルド・トランプ大統領は、15日までに「人質全員」が返還されないのなら、イスラエルは停戦合意を全面的に破棄し、「地獄のような事態が始まるに任せろ」と述べた。
ネタニヤフ氏の最後通告
ネタニヤフ氏は11日、4時間にわたるイスラエル安全保障内閣の会合後、「トランプ大統領の要求を歓迎する」とのビデオ声明を出した。
「ハマスが合意に違反し、人質を解放しないと発表したことを受け、私は昨夜、IDF(イスラエル国防軍)に対し、ガザ地区内とその周辺に部隊を集結させるよう指示した」
「この行動はいまこの瞬間にも実行されており、間もなく完了する」
そして、安全保障内閣で全会一致の承認を得たとする最後通告を発表した。
「ハマスが15日正午までに我々の人質を返還しない場合、停戦は終了し、イスラエル国防軍はハマスの最終的な敗北を実現するまで激しい戦闘を再開する」
ネタニヤフ氏が人質全員を15日までに解放するよう求めているのかどうかについて、イスラエル政府関係者からは相反するメッセージが出された。
ある情報筋は、イスラエル紙ハアレツに対し、予定通り3人の人質が15日に解放されれば、停戦を継続するだろうと語った。
しかしその後、安全保障内閣の一員であるミリ・レゲフ運輸相は、15日に人質全員の解放を求めるトランプ氏の声明を支持すると、ソーシャルメディアに投稿した。
こうした中、IDFは、ガザでの作戦を担当する南部司令部の即応態勢レベルを引き上げ、予備役を含む追加部隊で態勢を強化すると発表した。

画像提供, EPA
トランプ氏は4日、アメリカがガザを「所有」し、「中東のリヴィエラ」として経済的に再開発すると表明。ガザに住む約200万人のパレスチナ人については、ほかの場所に永久的に移住させるとした。
トランプ氏のこの計画は物議を醸している。ハマスは11日、この計画は受け入れないと、改めて表明した。
ハマスは、トランプ氏の発言は「人種差別的で、パレスチナの大義を一掃し、我々の民族の不可侵の権利を否定することを目的とした、民族浄化の呼びかけだ」とした。
パレスチナ自治政府とアラブ諸国も、この計画を断固拒否している。国連は、住民の強制移住は国際法で禁止されており、「民族浄化に等しい」ものだと警告している。
一方、ネタニヤフ氏は、ガザに対するトランプ氏の「革命的ビジョン」だとして称賛している。
ハマス高官のバセム・ナイム氏は11日、BBCに対し、アメリカとカタール、エジプトの仲介役が停戦合意を再び軌道に乗せるための扉は開かれていると語った。
「我々はこの合意が決裂することを望んではいない」とナイム氏は述べた。「我々はいかなる障害も挑戦も避けるよう最大限の努力をしている。したがって、仲介役を通じて状況が修正されれば、次の土曜日(15日)に捕虜を引き渡す用意がある」。
ナイム氏はイスラエルについて、ガザ北部のパレスチナ人避難民の帰還を当初の予定より48時間から72時間遅らせたり、緊急に必要な食料や医療、避難所の供給のための輸送を妨害したりするなど、停戦合意に対する「継続的な違反」を行っていると非難した。

画像提供, Reuters
1月19日に発効した停戦合意の第1段階では、イスラエル人の人質計33人が6週間の間に釈放され、引き換えに、イスラエルで収監されている1900人のパレスチナ人が釈放されることになっている。
これまでに解放された人質は16人。また停戦合意とは別の取り決めで、タイ人5人も解放された。
残りのイスラエル人人質17人(子供2人、女性1人、50歳以上の男性5人、50歳未満の男性9人)については、今後3週間のうちに解放されることになっている。イスラエルとハマスは、このうち8人はすでに死亡していると発表しているが、名前が公表されているのは1人だけだ。
停戦合意に基づき、イスラエル軍はガザの人口密集地から撤退し、何十万人もの避難者がガザ北部へ帰還できるようになった。また、1日あたりトラック数百台分の援助物資がガザに運び込まれるようになった。
ハマスは2023年10月7日、イスラエル南部に前代未聞の攻撃を仕掛け、約1200人を殺害、251人を人質としてガザへ連れ去った。イスラエル軍は直後に、ハマス壊滅を掲げてガザでの軍事作戦を開始した。
ハマス運営のガザ保健省によると、ガザではこれまでに4万8210人が殺害されている。
ガザの住民のほとんどが何度も家を追われ、建物の7割近くが損傷または破壊されたと推定されている。医療や水の供給、衛生システムは崩壊し、食料や燃料、医薬品、避難所も不足している。











