ハマス、人質解放を延期と発表 イスラエルの停戦合意違反を非難

人質の写真に「彼らを家に帰して」と書かれたプラカードを持った女性たち

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パレスチナ・ガザ地区のイスラム組織ハマスは10日、予定されているイスラエル人の人質の解放を延期すると発表した。イスラエルによる停戦合意違反を理由としている。

15日には、ガザで拘束されている人質3人とイスラエルで収監されているパレスチナ人が交換される予定になっている。

ハマスのアブ・オベイダ報道官は、イスラエルがガザ北部へのパレスチナ人避難民の帰還を遅らせ、人々に発砲し、合意された人道支援の搬入を許可しなかったと非難した。

AFP通信は、イスラエルが義務を履行すれば15日に予定されている交換が実施される「扉は開かれたまま」だとハマスが述べたと報じている。

一方、イスラエルのイスラエル・カッツ国防相は、ハマスの発表を「停戦合意の完全な違反」と呼んだ。

カッツ国防相は、「ガザでのあらゆるシナリオに備え、コミュニティーを守るために最高レベルの警戒態勢を整えるよう」イスラエル国防軍(IDF)に命じたと述べた。

「10月7日の現実に戻ることは許さない」と、カッツ氏は付け加えた。

ハマスの発表のあった10日、テルアヴィヴでは、イスラエル人の人質アロン・オヘル氏の24歳の誕生日を祝うため、人々が集まった。

オヘル氏は2023年10月7日のノヴァ音楽フェスティバルでハマスに連れ去られた。この日はオヘル氏にとって、人質になって2度目の誕生日となった。

この集会に参加したミア・ゴールドスタイン氏は、BBCに対し、残りの人質を解放するために「大きな圧力」が必要であり、ハマスの遅延は「恐ろしい」と述べた。

ハマスの発表後にテルアヴィヴで行われた抗議活動に参加したミハル・ニーマン氏は、人質は「数カ月前に解放されるべきだった。状況を見れば、人質はガザで死んでいて、その死はこの政府の責任だ」と話した。

国連のファルハン・ハク報道官は、脆弱(ぜいじゃく)な停戦合意への「いかなる遅延」も問題だと指摘。関係するすべての当事者は以前に述べた合意とタイムラインを順守すべきだと述べた。

トランプ米大統領も反応、停戦取り消しを示唆

イスラエルの主要同盟国アメリカのドナルド・トランプ大統領は、ガザで拘束されている「すべて」の人質が15日までに返還されない場合、停戦合意を破棄べきだと示唆した。

トランプ氏は、「15日の12時までに返還されるべきだと思う(中略)すべての人質がだ。少しずつ、2人、1人、3人、4人、2人といった形ではなく」と述べた。

一方で、「これは私自身の意見だ」、「イスラエルはこれを無視できる」と強調した。

トランプ氏は、人質が解放されなければ「地獄が解き放たれるだろう」と付け加えた。

それはイスラエルからの報復を意味するのかという質問には、「(その時になれば)君たちも、彼らも知ることになる。私が何を意味しているのか、ハマスも知ることになる」と答えた。

トランプ氏は先週、アメリカがガザを「所有し再開発する」と提案し、物議をかもした。

トランプ氏の提案には、パレスチナ人をこの地域外に再定住させることが含まれており、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相から「革命的で創造的」と称賛された。一方、西側諸国や国連、パレスチナはこの発言を非難している

ハマスは10日の発表で、トランプ大統領やアメリカの政策には言及していない。

ハマスとイスラエルは、停戦合意以降も非難の応酬を続けている。

イスラエルは先に、ハマスがイスラエル人女性民間人の人質解放の約束を破ったと非難し、ガザ北部へのパレスチナ人避難民の帰還を2日間遅らせた

最近では、ガザでの人質解放が群衆の中で行われたことに怒りを示し、占領下のヨルダン川西岸地区に解放されるパレスチナ人収監者を乗せたバスを一時的に遅らせた。

7日には、ハマスが停戦合意に基づき8日に解放される人質の名前を発表するのが期限をわずかに過ぎたため、イスラエルに懸念を引き起こした。これは、イスラエルがガザへの人道支援の増加に関する約束を守らなかったとハマスが非難した後のことで、国連の人道支援責任者による、人道支援の「大規模な増加」と表現とも矛盾していた。

ガザには現在、2023年10月7日のハマスによるイスラエル攻撃で捕らえられた73人と、約10年前に捕らえられた3人が、人質として拘束されている。

1月19日に停戦合意が発効して以来、これまでに16人のイスラエル人と5人のタイ人の人質が解放され、566人のパレスチナ人収監者と交換された。

停戦の第一段階が終了する3週間後までに、全体で33人の人質と1900人のパレスチナ人が解放される予定だ。イスラエルは、33人のうち8人が死亡していると発表している。

ハマスは2023年10月の攻撃で251人の人質を取り、約1200人を殺害した。イスラエルはこれに対して軍事作戦を開始。ハマスが運営するガザの保健省によれば、少なくとも4万8000人のパレスチナ人が殺された。