イスラエル国防相、パレスチナ人のガザ退去に備えるよう計画策定を軍に指示

画像提供, Reuters
イスラエルのイスラエル・カッツ国防相は6日、パレスチナ・ガザ地区の住民で「ガザを出たいと希望する住民は全員そうできるよう」にするとして、イスラエル軍に計画の準備を指示した。ドナルド・トランプ米大統領は、ガザ地区をアメリカが所有したうえで再開発するとし、ガザ地区に住むパレスチナ人約210万人は域外に再定住すべきだと主張している。
カッツ国防相は、ガザの住民に「移動と移住の自由」を与えるべきで、イスラエルがイスラム組織ハマスと戦争していることを批判する国々には、ガザ住民を受け入れる「義務がある」と述べた。
トランプ大統領はこの日、戦闘終了後にイスラエルがガザ地区をアメリカに「引き渡す」ことになると述べた。
他方、パレスチナ自治政府の議長府は、この計画を国際法違反だとしてあらためて拒否。「パレスチナは売り物ではない」と強調した。
ハマスは2023年10月7日、イスラエル南部に異例の奇襲攻撃を実施。イスラエル人を中心に約1200人が殺害され、251人が人質に取られた。イスラエルはこれに対して、ハマス壊滅作戦を開始。ハマスが運営するガザの保健省によると、4万7550人以上が殺され、11万1600人が負傷している。
ガザ住民のほとんどは地区内避難を繰り返すことになり、ガザ地区の建物の約70%が破壊または損傷していると推定されている。
医療、飲料水、衛生システムは崩壊し、食料、燃料、医薬品、避難所が不足している。
カッツ国防相は6日、ソーシャルメディア「X」で、トランプ大統領の「大胆な提案」を歓迎。「非武装化され、脅威のない場所になったハマス後のガザで、長期的な再建努力を支える」計画になり得ると述べた。
カッツ氏は、「(ガザ地区外への)移住を希望するガザ住民は誰でも、受け入れ意思のあるどの国にでも移動できるようにする計画の準備」をイスラエル軍に指示した。
「この計画には、陸路の出国に加え、海路および空路での特別な出国手配も選択肢として含まれる」とも国防相は書いた。
「スペイン、アイルランド、ノルウェーなど、ガザでのイスラエルの行動を誤って非難した国々は、ガザの住民を受け入れる法的義務がある。拒否すれば彼らの偽善が露呈するだろう」とも、カッツ氏は主張した。
国防相はさらに、ハマスがガザで住民脱出を阻止していると主張。住民には「移動と移住の自由の権利」が認められるべきだと述べた。
ハマス当局者のバセム・ナイム氏は、カッツ国防相が「ガザでの戦争目的を何一つ達成できなかった国家」のために、その事実を隠蔽(いんぺい)しようとしていると非難。パレスチナ人は退去を拒否すると述べた。

画像提供, AFP
他方、パレスチナ自治政府の議長府報道官は、「土地と歴史と聖地のあるパレスチナは売り物ではない」と主張した。
ナビル・アブ・ルデイネ報道官はさらに、パレスチナ人はガザでも占領下のヨルダン川西岸でも「一寸たりとも土地を譲らない」と述べた。
「パレスチナの人々と指導層は、1948年と1967年の悲劇の繰り返しを許さない。パレスチナの人々の正当な大義を、投資プロジェクトによって消滅させようとする、どのような計画も阻止する。そのような投資プロジェクトは、パレスチナにもその土地にも、あってはならない」とも報道官は強調した。
1948年の「ナクバ」(アラビア語で「大災厄」の意味)では、イスラエル建国に伴って起きた戦争の前後に、パレスチナ数十万人が家から逃げたり、追われたりした。
その際に避難した多くはガザにたどり着き、現在のガザ地区の住民の約3分の2が、その時の人たちや子孫からなっている。
国連によると、さらに避難民として登録されている90万人がヨルダン川西岸地区に住むが、イスラエルは1967年の中東戦争でガザと共に西岸地区も占領した。このほか、パレスチナを逃れた約340万人がヨルダン、シリア、レバノンに住んでいる。
イスラエルは2005年にガザ地区から一方的に軍と入植者を撤退させたものの、境界、空域、海岸線の管理を継続し、人や物資の移動を実質的に管理している。イスラエルがガザをさまざまな側面から掌握しているため、国連は依然としてガザをイスラエル占領下の地域と見なしている。
ヨルダン国王は5日、「ガザとヨルダン川西岸で、土地を併合したり、パレスチナ人を追放したりする試みを、いっさい拒否する」と表明した。エジプト外相は「パレスチナ人がガザ地区を離れることなく」再建することの重要性を強調した。
イスラエル、アメリカ、イギリスなどがテロ組織と指定しているハマスは、トランプ大統領の計画を「ばかげている」とし、地域で「火に油を注ぐだけだ」と批判した。
国連の人権高等弁務官事務所(OHCHR)も、占領地からの強制移動や強制送還は国際法上、厳しく禁じられていると警告した。
国連のアントニオ・グテーレス事務総長も、「いかなる形態の民族浄化」にも反対すると警告。ガザは将来のパレスチナ国家の不可欠な一部だとした。事務総長はニューヨークでの会合で、「ある民族全体が、おぞましい方法で組織的に非人間化され、悪魔化されるのを(世界は)目の当たりにしている」と述べた。
トランプ米大統領は4日、訪米中のイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相と米ホワイトハウスで会談後、アメリカがガザ地区を「長期的に所有」し、その再建を「引き取る」計画を明らかにした。
トランプ氏は、ガザ地区を「中東のリヴィエラ」のようなリゾート地に開発するという自分のビジョンを披露し、その実現のためにはパレスチナ人の域外移住が必要だと
主張。ヨルダンやエジプトなどに住まわせることになると述べた。
トランプ氏は、「(パレスチナ人が)戻りたいと思わなくなるような作業ができるといいと思う」とも述べた。これに先立ち、ホワイトハウスの執務室では住民を「永続的に」移住させるつもりだとも話していた。
ホワイトハウスのキャロライン・レヴィット大統領報道官は5日の定例会見で、ガザに残りたいパレスチナ人は全員それが認められるのかと質問されると、「大統領はガザの再建と、そこにいる人たちを一時的に移住させることに、コミットしている。(中略)あそこは解体現場なので」と説明。住民の移住が一時的か永続的かで、トランプ氏の発言と食い違う答え方をした。
マルコ・ルビオ国務長官も、ガザの住民はがれきの撤去と再建が行われる間、「暫定的に」地域を離れるというのが提案だと話した。
トランプ氏は6日、自らのソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」で、「ガザは戦闘終了後、イスラエルがアメリカに引き渡す」と書いた。
イスラエルとハマスの間で1月19日に発効した停戦合意は、戦闘の恒久的な終結を目指している。
「パレスチナ人はそのころまでにすでに、(中東)地域内で新くて現代的な家のある、はるかに安全でもっと美しい、場所に定住し直しているはずだ。そこで幸せに安心に自由に過ごす、実際のチャンスを手に入れる」とも、トランプ氏はソーシャルメディアに書いた。
大統領はまた、安定維持のために米軍兵士は必要ないと述べた。
イスラエルのネタニヤフ首相は5日、米FOXニュースに対してトランプ大統領の提案を「素晴らしい」ものだとたたえ、と「検討し、追求し、実行すべきもの」だと述べた。
ネタニヤフ首相はまた、ガザの住民はいずれガザに帰還できるだろうとほのめかし、「彼らは出ていけるし、それから戻ることができる。再定住してから戻れる。しかしその前にガザを再建しなくてはならない」とも述べた。













