イスラエル軍、ガザを南北に分ける軍事区域から撤退
イスラエル軍が9日、パレスチナ・ガザ地区を南北に分ける軍事区域「ネツァリム回廊」から撤退した。
これを受け、パレスチナ人がマットレスなど生活物資を積んだ車や荷車に乗り、大挙してガザ北部に戻り始めている。
イスラエル軍は、ネツァリム回廊の東部から撤退したことについて、公式なコメントは出していない。
イスラエル紙ハアレツは、ガザでイスラム組織ハマスが運営する内務当局が、住民らに対して「安全のため、慎重に行動し、既存の移動ガイドラインを守る」よう呼びかけていると伝えている。
この撤退は、1月19日に発効したイスラエルとイスラム組織ハマスの停戦合意に沿ったもの。この合意の下で、これまでイスラエル人の人質16人とパレスチナ人の収監者566人が解放されている。
今後、合意の第1段階が3週間後に終了するまでに、合計して人質33人と収監者1900人が解放される予定。イスラエルは、解放予定の人質33人のうち8人はすでに死亡しているとしている。
ハマスは2023年10月7日にイスラエルを攻撃し、約1200人を殺害、251人を人質に取った。これをきっかけに、ガザでの今回の戦争が起きた。
ハマスが運営する保健当局によると、ガザでは少なくとも4万8189人のパレスチナ人が、イスラエルの攻撃によって殺害された。国連は、ガザにあった建物の約3分の2が、イスラエルの攻撃で破壊または損壊したとしている。

戻った住民「ここには住めない」
ネツァリム回廊では9日、多くのパレスチナ人が南から北へと移動し、自宅を目指した。
ネツァリムの北のアルマグラカの住民で、1年以上、ガザ南部ハンユニスで避難生活を強いられていたオサマ・アブ・カミルさん(57)は、「目の前にあったのは大惨事、恐ろしい破壊だった。(イスラエルの)占領軍はすべての家、店、農場、モスク(イスラム教礼拝所)、大学、裁判所を破壊した」とAFP通信に説明。
「自分と家族のため、自宅のがれきの横にテントを張る」つもりだとし、「選択の余地はない」と話した。
近くのゼイトゥン地区に自宅があるマフムド・アルサルヒさんは、「ネツァリム回廊に来ることは、今朝までは死ぬことを意味していた」とAFP通信の取材にコメント。
「破壊された自分たちの家を初めて見た」、「地区全体が廃墟になっている。ここには住めない」と述べた。

画像提供, Reuters
今回の戦争では初期に、イスラエル軍がガザ地上侵攻の開始前に、住民に対して大規模な避難命令を発出。ガザ北部の約70万人が南部に逃れた。
その後、イスラエル軍がガザ南部にも侵攻したため、避難者の多くはたびたび移動を強いられた。ネツァリム回廊を越えて北部の自宅に戻ることもできなくなった。
しかし先月になり、イスラエル軍が回廊の西側から部分的に撤退。パレスチナ人は初めて、海岸沿いのラシード通りを歩いて、ガザ北部に入ることが許された。
車で戻る場合は、通行路はサラ・アル・ディン通りに限定されている。途中、アメリカとエジプトの警備業者による武器検査を受ける。
アラブ諸国が緊急首脳会合開催へ
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は週末、訪問していたアメリカからイスラエルに戻り、閣議を開いた。首相は、アメリカのドナルド・トランプ大統領が打ち上げたガザ再建構想について、「イスラエル国家にとってはるかに良い、全く異なるビジョン」だと評価した。
閣議に関する公式発表によると、ネタニヤフ首相は「革命的で創造的なビジョンで、私たちはそれについて協議している」、「(トランプ大統領は)実行に移す決意を固めている。それは私たちに多くの可能性を与えるものでもある」と述べたという。
トランプ大統領の構想は、国際法上の犯罪となる可能性がある。アラブ諸国を含むほぼすべての国が、構想を受け入れていない。
サウジアラビア外務省は8日、「パレスチナ人から決して奪えない権利について、その権利のどのような侵害も、強制移住させようとするどのような取り組みも」認めないと表明。イスラエルは「民族浄化」をしていると非難した。
エジプトも、パレスチナ人のガザ地区外への強制移住案を受け入れない考えを示している。また、今月27日にアラブ連盟の緊急首脳会議を招集し、パレスチナの「深刻な」動向について話し合うとしている。












