「パーティーゲート」でジョンソン氏の弁護費用に公費、約4400万円の返還求める声

Boris Johnson giving evidence to the Privileges Committee

画像提供, House of Commons/UK Parliament

新型コロナウイルス対策のロックダウン中にイギリス首相官邸などでパーティーが開かれた、いわゆる「パーティーゲート」をめぐり、ボリス・ジョンソン元首相が自らの弁護に公費で弁護士を雇ったことについて、弁護費用24万5000ポンド(約4400万円)を、国庫に返還するよう野党が求めている。

英下院特別委員会は15日、「パーティーゲート」に関する調査報告書を公表。ジョンソン元首相がこの問題をめぐる下院答弁で「議会を故意にミスリード」していたと結論し、90日間の議員資格停止処分に当たるとしている。イギリスの歴代首相で、議会をミスリードしたと認められたのは、ジョンソン氏が初めて。報告書はこのほか、ジョンソン氏がパーティーゲートを否定することで、繰り返し違反を犯していたとしている。

この委員会調査などでジョンソン氏の弁護に当たった弁護士たちの費用は、納税者の税金から支払われた。

ジョンソン氏は公表前の9日に調査報告書のコピーを受け取っており、その日のうちに議員を辞職している。

英下院では通常、審議中に閣僚がわざとうそをついたり、議会をミスリードしたりしたと発覚した場合、それは辞職・解任理由になる。議会をミスリードするとは、虚偽と知りながら議会に虚偽の情報を事実であるかのように提示し、誤った方向へ議会を導くことを意味する。

最大野党・労働党は、「最後の1ペニーに至るまで」ジョンソン氏が弁護費用を国庫に返還するよう、リシ・スーナク首相が要求するべきだと主張している。

イギリス政府はこれまで、閣僚経験者の弁護費用を政府が支援するという前例はあると説明していた。しかし、実際に下院委員会による調査について公費負担による弁護支援を受けた閣僚の名前を、政府はこれまでのところ例示できていない。

労働党のアンジェラ・レイナー副党首は、ジョンソン氏の弁護費用を政府が負担することについて前例があるという説明の裏付けを、与党・保守党の閣僚たちはまったく提示できていないと批判した。

「ボリス・ジョンソンの『パーティーゲート』弁護費用を、国民が負担する羽目になっている。この濁った取り決めは前例がないばかりか、正当性もない」とレイナー副党首は強調した。

野党・自由民主党は、「正しい対応」をスーナク首相に求め、「ジョンソンに自分の費用は自分で払わせるべきだ」と促した。同党幹部のクリスティーン・ジャーディーン下院議員は、「ボリス・ジョンソンのみっともないふるまいの費用を、勤勉な納税者が払うことになっているなど、正直言って信じられない」と述べた。

野党・スコットランド国民党(SNP)のスティーヴン・フリン下院代表は、「国民が支払った弁護費用は、ジョンソン氏が取り戻さなくてはならない」と話した。

ジョンソン氏の広報担当はこれについて、政府説明に言及し、閣僚経験者の弁護費用を政府が負担することには前例にもとづく、長年の慣習があると説明している。

下院特権特別委員会によるジョンソン氏への調査は昨年4月に始まった。与党・保守党の委員が過半数を占める同委員会は、15日に公表した報告書で、ジョンソン氏の弁護団が提出した委員会への批判には「取り上げるべき内容がない」と一蹴した。

ジョンソン氏は、委員会の調査は「政治的暗殺」に等しいと反発し、調査報告書の結論は「狂っている」と罵倒している。

曖昧な前例

内閣府は昨年、ジョンソン氏がまだ首相だった当時に、その弁護費用を公費で負担すると決定した。

BBCは、かつて「議会をミスリード」したとして議会調査の対象になった閣僚経験者2人に話を聞いた。2人とも、弁護費用の公費支援はなかったという。

労働党の元下院議員で運輸相だったスティーヴン・バイヤーズ氏は、2005年に4カ月間にわたる議会調査の対象になったが、政府からの弁護費用支援はなかったという。

同様に、労働党の元下院議員で財務省主計長官だったジェフリー・ロビンソン氏は2001年に、議会調査の結果「意図せずして」下院をミスリードしたとされたが、調査の際の弁護費用支援はなかったという。

ジョンソン氏の弁護費用がこのほど下院審議で取り上げられた際、ジェレミー・クイン内閣府担当相は、閣僚としての行動に関する議会調査について政府が費用負担するのは正当なことだと説明した。

ただし、実際の前例は提示しなかった。

質問をした労働党のカール・ターナー議員は、その前例は内閣府が今回、ジョンソン氏の弁護費用を負担することで作ったものだと指摘した。

その結果、議会調査を受ける閣僚経験者は公費の支援を受けられるが、一般議員は受けられないという、「不公平」な二重の制度ができてしまったと、ターナー議員は批判した。

政府の歳出を監督する英監査局(NAO)は、議会調査でのジョンソン氏の弁護費用の負担について、政府の決定内容を精査している。