【解説】 あまりにも容赦ない報告書、ジョンソン元英首相に打撃

クリス・メイソン政治編集長

Boris Johnson

画像提供, Reuters

何ということだ。英下院特別委員会が公表した報告書は、広く深く、ボリス・ジョンソン元首相の人格と品行をとことん非難している。

率直に言おう。ジョンソン氏がうそをついたと、この報告書は断言している。

特別委は15日、新型コロナウイルス対策のロックダウン中に首相官邸などでパーティーが開かれた、いわゆる「パーティーゲート」に関する調査報告書を公表した。

報告書は、ジョンソン元首相がこの問題をめぐる答弁で「議会を故意にミスリード」していたと結論し、90日間の議員資格停止処分に当たるとした。

ジョンソン氏の半生を貫くテーマは、彼と真実との関係性だ。

英紙タイムズの若い記者だったころ、彼は人のコメントを作文して解雇された。

下院議員になると、2004年には不倫問題についてうそをついたとして、当時野党だった保守党の影の閣僚の職を解任された。

わずか40週間前、ジョンソン氏はイギリスの首相だった。議会で圧倒的過半数を持つ政府のトップだった。

その後、まずは閣僚席を追われ、一般議員が座る議場の後方席に追いやられた。そして、今や議会からも退場した。

ジョンソン氏のキャリアは、同僚議員たちによって残酷なほどあっという間に解体された。

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今日のこれは、パンデミック中のパーティーだけに限った問題ではない。

公職者の行動の、そして社会全体の根幹をなす、根本的な支柱のありようが問われているのだ。

品行、ふるまい、信頼性、一貫性。

真実を神聖視すること。うそを軽蔑すること。

与党・保守党の議員4人と野党議員3人からなる特別委が、判断を迫られた。自分たちがこんな重大な調査の中心になるとは、委員の誰も想像もしていなかっただろう。

委員の多くは、有名な政治家というわけではない。

私があえてここでそれを言うのは、委員たちを軽蔑したり軽んじたりするためでは、まったくない。むしろ、議会の力を強調するために言ったのだ。

ジョンソン氏は今、議会のその力をかつてないほど痛感している。

ジョンソン氏の言い分は主に、自分はただ単にミスをしただけで、わざと議会を欺いたわけではない、陰謀ではなくてミスなのだという内容だった。

いくら調査委が警察の鑑識のように緻密(ちみつ)に、そして良心的に問題を吟味(ぎんみ)したといっても、自分の意図を理解するために自分の頭の中に入り込むなどできなかったはずだと。これがジョンソン氏の主な言い分だ。

これに対して特別委は、自分たちはジョンソン氏の頭の中に入り込もうとしたし、その意図は理解したと言っている。

ジョンソン氏は、「委員会は、私が意図的に議会をミスリードしたと言う。私が発言したその時、不正な出来事について知っていた内容を、私が議会から意識的に隠していたのだと言う。ばかばかしい。そんなのはうそだ」と主張した。

ある閣僚経験者は私に、「元議員の人たちにはあっという間に、過去の人」になってもらいたいのだと話した。

また、ここ数日の保守党議員のワッツアップ・グループや公ので発言を見るに、下院内でジョンソン氏を支持する人数は激減しているのだという。

一方で、容赦ないこの報告書によって、ジョンソン氏は殉教者にまつりあげられるのではないか、むしろ支持拡大につながるのではないかと、そう考える人もいるだろう。

保守党の一般議員で、ジョンソン氏を擁護するブレンダン・クラーク=スミス氏は、報告書は「意地悪で、執念深く、行き過ぎている」と言う。

閣僚の1人は私に、「ボリスはマンホールに頭から落ちても、足から着地できるような男だ」と言った。

だとしても、これはとんでもないマンホールだ。