ベラルーシ、強制着陸で拘束のジャーナリストを記者会見に出席させる

Roman Protasevich at media briefing in Minsk, 14 Jun 21

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画像説明, プロタセヴィッチ氏は記者会見で、制服姿の軍幹部の隣に座った(14日、ミンスク)

ベラルーシ政府は14日、民間機を強制着陸させて拘束した反政府ブロガー、ロマン・プロタセヴィッチ氏(26)を記者会見に出席させた。会見では軍幹部が、5月23日に旅客機ライアンエアー4987便を着陸させた経緯について、ベラルーシ側の見解を語った。

会見冒頭まで現場にいたBBC記者は、プロタセヴィッチ氏が明らかに本人の意思に反して出席させられていたと伝えている。

ベラルーシの首都ミンスクで国家保安委員会(KGB)の刑務所に収監されているプロタセヴィッチ氏は、体調は良く、暴行は受けていないと話した。自分がベラルーシに損害を与えたため、今では事態を改善したいとも述べた。

政府の捜査当局トップ、ディミトリー・ゴーラ氏は、プロタセヴィッチ氏の交際相手で同時に逮捕したロシア人のソフィア・サペガ氏(23)を、社会不和と対立を扇動した罪で起訴したと明らかにした。サペガ氏もミンスクのKGB刑務所に収監されている。

ベラルーシ当局は5月23日、ギリシャからリトアニアに向かっていたライアンエアー4987便に向けてベラルーシ空軍のミグ戦闘機を発進させ、旅客機を誘導。ミンスク空港に強制着陸させた。ベラルーシは機内に爆弾が仕掛けられているという情報を得たからだと、旅客機を着陸させた理由を説明している。乗客を下ろして機内を探したものの、爆弾は見つからなかった。他の乗客は機内に戻ったが、プロタセヴィッチ氏とサペガ氏は戻らず、そのまま逮捕された。

リトアニアへ向かっていた旅客機をベラルーシが自国内で強制着陸させたことに、欧米諸国は激怒。ベラルーシの旅客機の乗り入れを禁止し、航空各社にベラルーシ上空の飛行を避けるよう呼びかけた。

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しかしこの日の記者会見で、ベラルーシ空軍トップのイーゴリ・ゴルブ少将は、旅客機の着陸について、「ライアンエアー機の飛行を制止していないし、国境から強制的に航路を変更させたこともなく、着陸を強制したこともない」と、複数の目撃談を否定した。

Roman Protasevich and officials at media briefing in Minsk, 14 Jun 21

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画像説明, 旅客機着陸の経緯について自説を展開するベラルーシ軍幹部と、その横に座ったプロタセヴィッチ氏

プロタセヴィッチ氏は昨年まで、反政府メディア「ネフタ」のテレグラム・チャンネルの編集長を務めていた。母国ベラルーシを出てリトアニア在住で、ベラルーシではテロリストに指定されている。逮捕前にプロタセヴィッチ氏は、逮捕されれば死刑になるかもしれないと危機感を示していた。

ベラルーシの国営テレビは今月3日、プロタセヴィッチ氏が涙ながらにアレクサンドル・ルカシェンコ大統領を称賛し、自分はかつて政権を倒そうとしていたと認めた。映像でプロタェヴィッチ氏の手首には圧迫の痕跡が見えた。人権団体や野党活動家たちは、同氏が拷問を受けたに違いないと批判している。

ベラルーシでは昨年8月の大統領選後、在任27年のルカシェンコ氏が不正選挙で6選したと反発する市民の抗議デモが相次いだ。プロタセヴィッチ氏がかかわる「ネフタ」のチャンネルは、抗議の中心的役割を果たしていた。ルカシェンコ氏は抗議を徹底的に取り締まり9月には就任式を強行した。野党幹部や反政府活動家の多くは、亡命を余儀なくされている。

<解説> マスコミ向け見世物に拘束活動家を登場させ――ジョナ・フィッシャーBBC特派員(ミンスク)

私たちが記者会見の会場に着くと、ライアンエアーFR4978便が5月23日にたどった航路の、注釈つき地図を渡された。ベラルーシ当局はあの日、同機に航路を変えさせ、ミンスクに着陸させた。

新情報があるかどうか私たちが地図を眺めていると、会見場の前方で、登壇者の名札が変更された。事前発表されていた登壇者のほかに、別の人が新たに加わることになったのだ。

政府関係者5人の隣に座ったのは、ライアンエアー機に乗っていて拘束されたジャーナリストの、プロタセヴィッチ氏だった。

報道陣の前にプロタセヴィッチ氏を引き出して、ベラルーシ当局が何を達成したかったのかは不明だ。当局側は依然、旅客機を着陸させたのは爆弾の情報を知らせるメールがあったからで、プロタセヴィッチ氏とは無関係だと主張している。

ベラルーシではここ数週間、プロタセヴィッチ氏を何度かテレビカメラの前に座らせ、政府の公式見解を繰り返させている。罪状とされるものを認めさせ、自分は不当な扱いを受けていないと主張させている。

拘束中のプロタセヴィッチ氏が会見場に連れてこられた時、自分の意志でそうしていないのはほぼ確実で、私たちは退室することにした。それから間もなく、複数の外交官も同じように部屋を出た。