英イングランド、ロックダウン緩和を4週間延期へ 感染拡大で

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イギリスのボリス・ジョンソン首相は14日、イングランドで21日に予定していた新型コロナウイルス流行に伴うロックダウン緩和を4週間延期すると発表した。
社会的接触への法的制限が残ることになり、ナイトクラブなどは営業が再開できないほか、可能な場合は引き続き在宅勤務が推奨されるようになる。
イングランドではこれまでに段階的にロックダウンが緩和されており、次回が最終段階。施設やイベントでの法的な人数制限が21日に解除される予定だった。
ジョンソン氏は記者会見で、延期は2週間後に見直すが、全体で4週間を超えないことに「自信がある」と述べた。ただ、さらなる延期の可能性も排除できないとした。
また、現在の制限を21日以降も続けるのは、新型ウイルスがワクチンに勝っており、今後さらに数千人の死者が出る「現実の可能性」を示唆するものだと話した。
一方で、国民保健サービス(NHS)がワクチン接種をさらに進めると説明。「状況を毎日監視し、2週間後にもしリスクが低くなっていれば、(緩和の最終の)第4段階と完全な解除へと早めに進む可能性がある」と述べた。
ロックダウンの延長は、今月中に下院での投票を経て決定されるが、与党・保守党から多くの造反が出るとみられている。
スコットランドでは28日に、全地域が制限レベル「ゼロ」に移行する予定。カフェやパブ、レストランなどでの大人数の集会も可能になるが、社会的距離を保つ施策は続けることになる。
北アイルランドは、21日に屋内での集会規則を緩和する。ウェールズもこの日、現在の制限を見直すとしている。
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イギリスでは13日、新たに7490人が感染。新規感染報告の7日間平均は、前の7日間に比べて49%増加した。一方、検査で陽性が判明してから28日以内の死者は8人だった。
イギリス政府は、イングランドでのロックダウン緩和について4つの条件を設けている。
- ワクチン接種事業が成功している
- ワクチンが重症化や死亡例を減少させている証拠がある
- 感染率が抑制されている
- 変異株によるリスクが高まっていない
同国ではこれまでに4100万人以上が1回目のワクチン接種を終えており、3000万人近くが2回目も完了している。
現在の感染増加はインドで最初に特定されたデルタ株が原因で、イギリスの新規感染の90%を占めている。デルタ株は、英ケントで特定されたアルファ株に比べて感染力が60%ほど強く、感染者の入院率も2倍に達している可能性があるという。
政府非常時科学諮問委員会(SAGE)のアンドリュー・ヘイワード教授は、現時点でのロックダウン緩和は感染増加を「あおることになる」と述べていた。

重症化は「ワクチンを打っていない人と、1度しか打っていない人」
BBCブレックファストに出演したエドワード・アーガー保健次官は、デルタ株の感染者の「増加には懸念を感じている」と述べたほか、入院患者数も「増え始めている」と指摘した。
また現在、重症化が確認されているのはワクチンを打っていない人、あるいは1度しか打っていない人だと説明。現在のワクチン接種速度から計算すれば、4週間の猶予があれば約1000万人が2度目の接種を終えられると述べた。
新型ウイルスのデルタ株による感染が拡大する中、科学者からはかねて、ロックダウンを延長することでより多くの人にワクチンを接種してもらえるとの指摘が相次いでいた。
また、ロックダウンが延長されることで、ワクチンが感染の重症化を防ぎ、入院の必要性を減らしているのか、それとも単に入院の可能性を低くしているだけなのか、さらに研究が進められるという。
「ヨーヨーはしたくない」
ドミニク・ラーブ外相は13日、BBC番組「アンドリュー・マー・ショウ」に出演し、イギリス政府は「ロックダウン施策を出たり入ったりするヨーヨーはしたくない」と語った。
その上で、ロックダウンを緩和するか延長するかの判断は、感染と入院の関連性が強くなったかどうかで決まると述べていた。
ロックダウン緩和の最終段階では、店舗やイベント、結婚式などでの人数制限が撤廃される予定だった。ただし、その後もマスクの着用や社会的距離を保つ施策は継続されることになっていた。
ジョンソン首相は先に、いったん解除した制限を再び戻すことはできないため、政府は慎重に方針を決める必要があると話していた。

ロックダウン延長で「壊滅的な」影響
イギリスの夜間産業協会は、ロックダウン緩和が21日以降にずれこめば、昨年3月から営業停止を続けているナイトクラブなどが「壊滅的な」影響を受けると警告していた。
同協会によると、こうした業界では21日の営業再開に向けてすでに数百万ポンドがつぎ込まれていたという。
保守党内でも、下院議員による「COVID回復グループ(CRG)」のメンバーなどから、緩和延期に反対する声が上がっていた。
CRG会長のマーク・ハーパー議員は、緩和の延期は「政治的な選択」にすぎないと批判。「変異株はこれからもずっと現れ続ける。共存することを学ぶべきだ」と話した。
「非常に効果的なワクチンをもってしても制限から解放されないなら、他のどんな手段でも不可能になってしまう」
CRG副会長ののスティーヴ・ベイカー議員(保守党)も、ロックダウンは産業界への打撃だけでなく、人のメンタルヘルス(心の健康)にも「壊滅的な影響」を及ぼしており、いつまで「手探りし続けるつもりなのか」と政府を糾弾した。
最大野党・労働党のエミリー・ソーンベリー議員は、緩和の最終段階は政府が科学に従い、国民に明確に説明する「最後のチャンス」だと述べていた。










