英首相、6月21日にロックダウン解除するか慎重な判断約束 変異株拡大

イギリスで新型コロナウイルスの「デルタ株」による感染が増える中、ボリス・ジョンソン英首相は12日、イングランドで6月21日に予定されるロックダウンの解除について慎重に判断すると約束した。BBCの取材に答えた。政府筋によると、政府はロックダウン解除の時期を最大4週間遅らせることを検討している。
ジョンソン首相はBBCのローラ・クンスバーグ政治編集長に対し、行動制限の緩和は「不可逆」なことが大事で、入院患者が増えていると指摘した。
「私たちはデータを見続けている」と首相は述べ、「(ロックダウン解除への)行程表は常に慎重でありつつも、不可逆なものだった。そして不可逆な行程表を実施するからには、慎重でなくてはならない」と話した。
首相はさらに、政府は「ワクチン接種事業で巨大な進歩」を実現したと述べ、「実に大きな成果を出したが、不可逆なことをするには慎重でなくてはならない」とした。
「入院数が増えている、感染者数も増えている。慎重になる理由だ」と首相は述べた。
政府集計によると、イギリスでは12日に7738人の感染が確認された。ウイルス検査で陽性が判明してから28日以内に死亡した人は、12人だった。
過去7日間の新規感染者は4万7868人で、その前の7日間から52.5%増えている。
こうした状況で英医師会(BMA)や政府の医療顧問たちは、ロックダウンの完全解除を遅らせるよう促している。
イングランドでロックダウンが完全に解除されれば、一度に会える人数や家の中に迎え入れる客の人数にも制限がなくなる。パブやクラブ、劇場や映画館は人数制限を設けずに営業できるようになり、スポーツ・イベントも満員の競技場での実施が認められる。ナイトクラブは再開し、結婚式の参列者についても人数制限が取り払われる。
政府は14日にも方針を決定する見通し。BBCのイアン・ワトソン政治担当編集委員は、ジョンソン首相が「慎重」や「不可逆」といった単語を使ってBBCにコメントしたことから、ロックダウン解除が先送りされるのは避けられないだろうと指摘している。

政府の首席科学顧問、サー・パトリック・ヴァランスは記者団に対して、インドで最初に確認された変異株(デルタ株)の感染がイギリスで拡大していると述べた。
イギリス国内では今では感染者の9割が、デルタ株に感染している。イングランド公衆衛生庁(PHE)のデータによると、デルタ株の感染力は、英ケントで特定されたアルファ株より約60%強いとされる。
また、デルタ株に感染した場合、アルファ株に感染した場合に比べて入院する確率が2倍になるという。
一方で、デルタ株に感染した人の約3分の2が、新型ウイルスワクチンを1回も接種していないこともデータで示されている。当局は1回の接種よりも2回接種した方がはるかに高い予防効果が得られると強調している。
英政府が渡航禁止国のいわゆる「レッドリスト」にインドを加えたのは、4月23日だった。当時はインドより感染者が少なかったパキスタンやバングラデシュを「レッドリスト」に加えた2週間後のことだった。
この判断についてジョンソン首相は、「当時はパキスタンの方がインドより、懸念される変異株が13倍多かった。それでもインドを4月23日にレッドリストに加えた。当時はまだ(デルタ株が)懸念される変異株だと特定されていなかった」と擁護した。

政府は今年2月に、イングランドのロックダウン解除の条件に以下を掲げた。
- ワクチン接種事業の成功が今後も続く
- ワクチンを受けた人の重症化や死亡が実効的に減少するというデータが得られる
- 感染者が増えても、入院患者の急増で国民保健サービス(NHS)が逼迫(ひっぱく)する事態にはならない
- 懸念される新しい変異株が出現しても、これまでのリスク評価が根本的に変化しない
ウェールズでは自治政府が6月21日にロックダウンの内容を再検討する。スコットランドは6月28日に「警戒レベルゼロ」へ移行する予定だが、デルタ株の影響で延期される可能性がある。
イギリスでは成人人口の55.4%にあたる2900万人以上が2回のワクチン接種を完了している。
ウイルス感染者1人が次に何人に感染させるかを示す実効再生産数「R」は、イングランドでは1.2~1.4に上昇していると推定されている。これは、ウイルス感染者10人あたり12~14人に感染させることを意味する。









