英イングランドのロックダウン緩和、「延期も視野に」=保健相

Matt Hancock
画像説明, ハンコック英保健相

イギリスのマット・ハンコック保健相は6日、必要な場合には今月21日に予定されているイングランドのロックダウン緩和を遅らせる用意が「大いにある」と述べた。イギリスでは現在、インドで最初に特定された新形コロナウイルス変異株(デルタ株)の感染拡大が問題視されている。

ハンコック保健相は、6月21日という日付は制限解除の「締め切り」ではないと述べ、首相官邸は「データを見て判断する」と語った。

また、インドで特定されたデルタ株の感染力は、英ケントで特定されたアルファ株より40%強いと話した。

一方で、入院患者数は「おおむね横ばい」で推移しており、ワクチンが奏功しているとの見方を示した。

政府の統計によると、6日には新たに5341人の感染者が報告されたほか、検査で陽性が判明してから28日以内に亡くなった人は4人だった。

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イングランドのロックダウン緩和は、次が最終段階となる。社会的距離に関する法的制限をすべて解除すると共に、ナイトクラブの営業再開、エンターテインメントや結婚式などの制限も撤廃される。

しかし、イギリスでは現在、デルタ株が最も優勢なウイルスとなっており、一部の科学者からは緩和の延期を求める声が上がっている。

イギリスの新型コロナウイルス対策を策定している非常時科学諮問委員会(​SAGE)は先に、デルタ株にアルファ株の1.5倍の感染力がある可能性が「現実としてある」と述べていた。

その上で、感染力が40~50%高い場合、「入院患者が急増」し、国民保健サービス(NHS)に圧力をかけることになると推測していた。

ワクチン接種者の入院は「非常に少数」

BBC番組「アンドリュー・マー・ショウ」に出演したハンコック氏は、デルタ株の感染力の高さが、ロックダウン緩和の決定を「一層難しくしている」と述べた。

もしデルタ株に関するデータが「悪いもの」だった場合、ロックダウン緩和を延期するのかという質問には、「それが必要なら、(延期を)実行する用意は大いにある」、「ロードマップではそうした変更も考慮に入れてある」と答えた。

また、新規感染者は「多少増加」している一方で、デルタ株による入院患者数は「おおむね横ばい」で推移していると説明。現在入院しているのはワクチンをまだ打っているない人がほとんどのようで、完全に接種が終わっている人は「非常に少数」だと述べた。

さらに、2回のワクチン接種を終えている人は重症化もしない傾向にあるようだと話した。

ハンコック氏は、マスク着用や在宅勤務といった感染対策が6月以降も続けられるのかという質問にも、「その可能性は除外しない」と述べている。

次回のロックダウン緩和については、14日に最終決定が下される予定。

Chart showing UK Covid hospital admissions
画像説明, イギリス国内で、新形コロナウイルス感染症で入院している人数。6月3日は932人。

7月末までの全成人接種「一歩近づく」

ハンコック保健相はワクチン接種事業について、イングランドでは今週から30歳以下も対象になると発言。7月末までに全成人が接種するという政府目標に「一歩近づく」と話した。

また、現在2回の接種を終えた成人は全体の52%だが、6月21日には「約5分の3」まで到達するとの見方を示した。

イギリスの医薬品当局は先週、米ファイザー製のワクチンの12~15歳への接種を承認した。

子どもたちへのワクチン接種を推進するかどうかについてハンコック氏は、やるべきだと断言はしなかったものの、政府は「医学的助言」に従うと強調した。

その上で、大人への感染予防や教育を守るという観点で、子供への接種には意味があると話した。

労働党はロックダウン緩和に難色

最大野党・労働党のリサ・ナンシー影の外相は、イングランド北西部、特に若年層への感染拡大を受け、21日のロックダウン緩和は「とても難しそうだ」と発言。ワクチン接種を「さらに加速させるべき」だと指摘した。

また、海外渡航をめぐる政府の信号システムを批判し、黄色信号を「撤廃」すべきだと訴えた。

「黄色信号の区分けは無意味だと考える。混乱を招くし、現時点では混乱は危険につながっている。ここまでの進展をすべて覆すことになりかねない」

そのほかの英政界の動きは以下の通り。

  • トニー・ブレア元首相は「アンドリュー・マー・ショウ」に出演し、ワクチン接種を終えた人の行動制限をさらに緩和すべきだと発言。海外旅行に関する制約を軽くすることで、ワクチン接種率を上げることができると述べた
  • ハンコック保健相はイングランドの児童に対し、半期休み明けには検査を受けてから学校に戻るよう呼びかけた
  • ボリス・ジョンソン首相は、11日に開かれる主要7カ国(G7)首脳会議で、来年末までに世界中でワクチン接種が終わるよう協力することを、各国に申し出る予定
  • 一方で慈善団体からは、イギリス政府が海外補助金への歳出を削減したため、G7サミットでイギリスの信頼が「激しく」損なわれる恐れがあると批判が出ている