英政府、パンデミック対策に尽力の人たちに叙勲 ワクチン開発者も

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エリザベス英女王の公式誕生日6月12日に発表される「誕生日の叙勲」で、イギリスの新型コロナウイルス対策に尽力した研究者やボランティアが多く、叙勲の対象になった。
アストラゼネカ社と共同でワクチン開発に関わった、オックスフォード大学のサラ・ギルバート教授や、英政府のワクチン作業部会をまとめたケイト・ビンガム氏は、「デイム」の称号を受けることになった。
オックスフォード大学のワクチン開発に関わったアンドリュー・ポラード教授は、「ナイト」の称号を受ける。政府のワクチン・タスクフォースでワクチン製造に関わったイアン・マカビン氏と、アストラゼネカ社のグローバルサプライ戦略担当、マーク・プロクター氏はCBE(大英帝国勲章3等)を授けられることになった。
ワクチン開発や臨床試験の確立に取り組んだディーヴァ・チャダ・マネクさんはOBE(大英帝国勲章4等)を受ける。
国民保健サービス(NHS)の医療従事者たちに、各地の調理師が作った食事を提供するチャリティ「Food4Heroes(英雄のために食事を)」を立ち上げた、ジョン・ブラウンヒルさんとアマンダ・ゲストさんにはBEM(大英帝国メダル)が贈られる。
ブラウンヒルさんとゲストさんのきょうだいは、長時間勤務の後にスーパーに行っても食べ物が何も買えずに泣き崩れるヨークシャーの看護師の動画が話題になった際、これを見て、活動を思いついたという。これまでにNHSに20万回分の食事を提供してきた。今では失職した人に就労機会を提供するコミュニティー・カフェの設立を計画しているという。
スコットランド・サウスグラモーガンで自分のウィスキー蒸留所を使い、NHSや市民のため100万本以上の手指の消毒液を作った、25歳のリス・マロウスさんにもBEMが授けられる。
北ウェールズ警察で家庭内暴力対策に取り組むマイケル・タガート警官は、MBE(大英勲章5等)を受けることになった。タガート警官はロックダウン中に家庭内暴力の被害が見えにくくなったことを懸念し、大手スーパー・チェーン「テスコ」のデリバリー・サービスや薬局、フードバンクなどと連携して、北ウェールズ一帯で被害者を支援するプログラムを立ち上げた。

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母親を継父に殺される経験を15歳の時にしたタガート警官は、「母さんはいませんが、もちろんその魂はいます。とても誇らしく思ってくれるはずです」と叙勲を喜んだ。
内閣府が発表した叙勲名簿には、1129人が名を連ねており、その多くは介護施設や医療機関、地域の取り組みなどで感染対策にあたった人たち。この傾向は今年の新年の叙勲や、昨年10月に延期された「誕生日の叙勲」の流れを受け継ぐもの。内閣府は「今後も何回も」叙勲で、こうしてパンデミック対策に取り組んだ人たちを表彰していく方針だとしている。
ほかには、イングランド代表のサッカー選手ラヒーム・スターリングさんがMBE(大英勲章5等)を受けることになった。スポーツにおける人種差別解消に取り組んできたことが評価された。マンチェスター・シティ在籍のFWスターリング選手は、競技場でもオンラインでも人種差別的な中傷と闘ってきた。
今回の叙勲で対象となったうち15%が人種的マイノリティーで、割合としては過去最高。

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最も若い受勲者は21歳のアミカ・ジョージさん。「生理の貧困」をなくすため、学校で生理用品を無料配布するよう運動してきたジョージさんは、MBEになった。
インド系のジョージさんは、MBEを受けるのは身が引き締まる思いだとしながらも、「大英帝国」の名のつく勲章を受けることにためらう気持ちもあったと話した。

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これまでに叙勲対象になった多くの人が、大英帝国の植民地政策や奴隷制に抗議し、叙勲を拒否している。最近では、「大英帝国勲章(Order of the British Empire)」の「E」を「Empire=帝国」ではなく「Excellence=優秀」に変更するよう政府に求める運動も起きている。
ボリス・ジョンソン英首相は今回の叙勲名簿について、「この国のため過分の働きをした人たち」を称えるものだとコメント。パンデミックによって「日常的な英雄が無数に出現」したとして、「今日、受勲した人たちの物語に心を強くし、この人たちの勇気と優しさに奮い立ち」、「社会として団結すればこれだけのことができるのだと、この人たちを通じて思い出したい」と述べた。










