ハマスが4人の遺体返還、イスラエルは620人以上釈放へ

(左上から時計回りに)オハド・ヤハロミさん、ツァチ・イダンさん、イツィク・エルガラトさん、シュロモ・マンスールさんの写真

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画像説明, ハマスは26日、人質4人の遺体をイスラエルに返還した。(左上から時計回りに)オハド・ヤハロミさん、ツァチ・イダンさん、イツィク・エルガラトさん、シュロモ・マンスールさんの遺体とみられる

パレスチナ・ガザ地区でのイスラエルとイスラム組織ハマスの停戦合意に基づき、ハマスは26日夜、人質にしていた男性4人の遺体を赤十字国際委員会経由でイスラエルに返還した。それに伴う儀式は行わなかった。これを受けてイスラエルは、パレスチナ人収監者620人以上の釈放を開始した。これは1月19日に発効した停戦合意の第1段階にもとづく最終交換で、第1段階は3月1日に終了する予定。

パレスチナ人約600人については、イスラエルは当初22日に釈放する予定だったものの、ハマスが人質返還の際に多くの戦闘員を人質たちと壇上で並ばせる式典が「屈辱的」だと抗議し、収監者釈放を延期していた。ハマスが死亡したイスラエル人女性とは別人の遺体をいったんイスラエルに引き渡したことについても、イスラエルは強く非難していた。こうした状況でハマスはこの日の遺体返還を儀式なしで実施すると合意し、イスラエルは収監者釈放に応じた。

イスラエル首相府は、人質4人の遺体がイスラエルに戻ったと確認した。

イスラエルは遺体の身元確認のためにDNA検査を行っているが、ハマスは遺体はシュロモ・マンスールさん(86)、オハド・ヤハロミさん(50)、ツァチ・イダンさん(50)、イツィク・エルガラトさん(69)のものだと説明。2023年10月7日の攻撃の際に拘束したのだという。

停戦合意の第1段階の取り決めに基づき、ハマスはこれまでにイスラエル人の人質33人を解放した。25人が生還し、8人が遺体となって引き渡された。イスラエル側は合意に基づき、収監していたパレスチナ人約1900人を釈放した。

また、停戦合意とは別の合意によって、タイ人の人質5人も解放された。

オフェル刑務所を出発したバス

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画像説明, オフェル刑務所を出発したバス(26日、ヨルダン川西岸)
動画説明, イスラエルの刑務所から釈放された人たちを大勢が歓迎した(28日、ヨルダン川西岸地区ラマラ)
イスラエルの刑務所から釈放された人たちを大勢が歓迎した(28日、ヨルダン川西岸地区ラマラ) Friends and family members welcome their relatives released from Israeli prisons, as they arrive at Ramallah Cultural Palace in the West Bank city of Ramallah, early 27 February 2025. Israel released 641 Palestinian prisoners, 42 of them were released to the West Bank and Jerusalem, 97 were exiled to Egypt and the rest to Gaza, in exchange for the bodies of four hostages from Gaza as part of the Israel-Hamas hostage-release and ceasefire deal. Release of Palestinian prisoners, Ramallah - 27 Feb 2025

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画像説明, イスラエルの刑務所から釈放された人たちを大勢が歓迎した(28日、ヨルダン川西岸地区ラマラ)

人質の遺体返還を受けて、イスラエルは収監者の釈放を開始した。今回解放される予定の625人の中には、終身刑に服していた50人と、2023年10月以降にガザ地区で拘束された400人以上が含まれる。

イスラエルが占領するヨルダン川西岸地区にあるオフェル刑務所から、釈放された人たちを乗せた赤十字のバスがヨルダン川西岸地区ラマラに到着すると、待ち受けた大勢が釈放された男性たちを歓迎した。

ラマラのほか、エジプトへ強制送還される元受刑者や、ガザ地区へ戻される人たちもいるとみられる。

釈放された男性を抱きしめる女性(27日、ラマラ)

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画像説明, 釈放された男性を抱きしめる女性(27日、ラマラ)

死亡したイスラエル人親子を追悼

4人の遺体返還に先立ち、イスラエル南部では同日、ガザで拘束中に死亡した母親と幼い息子2人の葬儀が行われ、各地で大勢がその犠牲を追悼した。

2023年10月に拘束された当時32歳だったシリ・ビバスさんと、それぞれと4歳と9カ月だったアリエルちゃんとクフィルちゃんは、人質解放を求めるイスラエルの苦しみを象徴する存在となった。アリエルちゃんとクフィルが特徴的な赤毛だったこともあり、オレンジ色が親子を表す色となっているため、各地でオレンジ色の花や風船が追悼の意を表した。

シリさん、息子のアリエルちゃん、クフィルちゃんの墓に手向けられたオレンジ色の風船や花輪

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画像説明, シリさん、息子のアリエルちゃん、クフィルちゃんの墓にはオレンジ色の風船や花輪が手向けられた(26日、イスラエル・ツォハル)

身内だけで母子3人を埋葬した後、イスラエルのテレビ各局は弔辞や葬列の様子を生中継した。主要都市テルアヴィヴの人質広場に集まった人たちは、大型スクリーンでその様子を見守った。

葬列の様子を見るために人質広場に集まった人たち。「決して許さない、決して忘れない」と書かれたプラカードを掲げる人もいた

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画像説明, 葬列の様子を見るために人質広場に集まった人たち。「決して許さない、決して忘れない」と書かれたプラカードを掲げる人もいた(26日、テルアヴィヴ)

「この3人は私の心に、そして私たち全員の心に刻まれました」と、イスラエル北部から葬列を見守るために南部に来たという女性は、チャンネル12に話した。

「今朝4時半に出発した。眠れなかったので、南へ向かった。ガザの国境地域にできるだけ近づき、この別れの一部になりたかった」と、この女性は話した。

シリさんの夫で息子たちの父親、ヤルデン・ビバスさんは今年2月1日に解放された。ヤルデンさんは葬儀で、シリさんを「最も素晴らしい妻であり母」として称え、これからも愛すると語った。

「世界で、そしてここイスラエルで何が起こっているのか、すべてをあなたに伝えたい」、「シリ、みんなが私たちを知っていて、愛してくれています」ともヤルデンさんは弔辞で述べた。

オレンジ色のキッパ(ユダヤ教の帽子)をかぶったヤルデンさんは、子供たちとの思い出を語り、2人目の子供も赤毛だった時に夫妻で驚き喜んだのだと振り返った。

葬列の始まりに、ビバス家はイスラエル人の支援に感謝し、「再び喜びの瞬間に集まれる日を待ち望んでいる」と述べた。

イスラエル大統領官邸もこの日、ビバス家を象徴するオレンジ色に照らされた。

停戦合意の第2段階は

ハマスとイスラエルが今後、停戦合意に基づく第2段階に移行できるかが、今後の焦点となる。

第2段階では、残る人質の解放と帰還、これまで以上のパレスチナ人収監者の釈放に加え、永続的な停戦の条件を確立するほか、イスラエル軍がガザ地区から完全撤退することが求められる。

第2段階のこのための交渉は第1段階の途中で始まることに当初なっていたものの、実際にはまだ始まっていないとされている。

第2段階の合意内容が無事実現した場合には、ついに最終段階となる第3段階へ移る。そこでは、すでに死亡した残る人質全員の遺体がイスラエルに返還されるとともに、ガザの再建が始まる。ガザ再建には何年もかかるとみられている。